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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第99話 皇弟妃との面談


「それでセオドア、お前の連れて来た者たちは何者なのだ」


 皇弟妃はとうとう俺たちに目を向けた。


「はい、こちらは私の護衛をしてくださった勇者パーティーの皆様です。黒髪の方が勇者ユーダイ様、こちらの女性がカイブライト王国の聖女であるエリザベート王女様でいらっしゃいます。もうお一人の男性は同じくカイブライト王国のゲオルグ=オーレンドルフ伯爵令息で魔法士をされていらっしゃいます」


「ほう」


「こちらのエリザベート殿下はサクリード皇国に亡命を希望されていいらっしゃいます。そのため、紹介を頼まれたのです」


「うむ、それは聞いておるが……其方、本気で我が国に亡命してよいのか?

 国を捨てるということは王族としての務めを捨てる、言わば家族も民も捨てることになるのじゃぞ」


「悩んだ末の決断でございます。わたくしは国王である父と側妃付きの使用人の娘でございます。母は高い身分ではございませんが、側妃の籍に入れていただいたおかげで王女の身分を得ました。ですが王女としての教育はほとんど受けることは出来ませんでした。王妃の娘である姉テレジア王太子殿下と比べられないように教育に差をつけてられ、下級貴族レベルの最低限のマナーや教育しか受けさせてもらえませんでした」


 エリザはそれ一度話を切ったが、話を促すような仕草をされたのでそのまま続けた。


「わたくしにはほとんど侍女も付けてもらえず、魔力量だけは多かったので同じく魔力の強い子どもを側付きに2人与えられただけでした。その一人がこちらにいるゲオルグでございます」


 その言葉に合わせてゲオルグは頭を下げたが皇弟妃は特に興味を示さなかった。


「もう一人が騎士で、よく訓練でケガをしておりました。それでその怪我を治したいと考えて、良く祈っておりました。すると聖属性魔法を発現するようになり、教会に入ることになりました。今では治癒魔法の他に、防御魔法、浄化魔法、攻撃魔法、支援魔法も扱うことが出来、聖女として認定されました」


「他に能力はあるのか? 例えば調薬や錬金術などだ」


「いいえ、わたくしは不器用な質で、聖属性魔法の扱い以外はあまり得意ではありません」


「そう」


 おいおい、皇弟妃殿下がなんだが興味を失いかけているぞ。聖女の力だけでも立派なものだと思うけど違うのか?



「私は王女として認められていませんでした。それでユーダイ達と共に魔王討伐の旅に出されたのです」


「じゃが魔王は討伐されておらぬぞ」


「それについては俺が補足してよろしいですか?」


 俺には発言を許されていなかったせいか、向こうの侍女がキッとこちらを睨みつけた。だが皇弟妃は気にしないようだ。


「かまわぬ」


「俺はこっちに召喚されて3年近くになります。その間にわかったことは特別魔族が世の中に悪さをしていないことです。もちろん個別で悪いことをしているヤツはいると思います。でもそれは人間だって同じです。魔王が率先してヒト族を殺しまわっているわけではありません。女性を誘拐している魔族がいると聞いて行けば、その女性が虐待されていて助けているだけでした。逆にダンジョンの管理や増え過ぎた魔獣の間引きなどもやっている、この世界に必要な存在なんじゃないかと思い始めています。

 むしろ俺を召喚したカイブライト王国の方が非道なことをするとすら思っています」


「そなた、召喚勇者なのか?」


「そうです、100人の魔法士の命と引き換えにこちらに呼びつけられた者です。その犠牲者の中にこのゲオルグの婚約者もいました」


 皇弟妃がそれなのになぜ大人しくしているのか? と言いたげに不思議なものを見るようにゲオルグに顔を向けた。


「はい、間違いございません」


「こ奴が憎くないのか?」


「全く何も感じないとは言いません。ですが私は……王太子殿下は私が協力すれば婚約者の命を助けてくれると言ったのに、実際には彼女は召喚に協力させられ魔力枯渇で死にました。私の目の前でです。あの国はそういう国なのです」


「今回仲間の一人が亡くなり帰国したのですが、姉が実権を握っていました。このままではわたくしは望まぬ結婚をさせられ、命の危険があると判断しました。それで貴国に亡命を考えたのです」


「王族の結婚など望んでできるものはごく一部じゃ。命の危険も常にある。それはこの国とて同じこと」


「それでも確実に殺されるとわかっているのと、かもしれないでは大きな差です!」



 フゥと皇弟妃はため息をついた。


「わたくしも国では聖女と崇められていた。そなたのようないかにも聖女という力ではなく、先見ができるからじゃ」


「そう……なのですね」


「この国に嫁入りの話が持ち込まれ、当時第3皇子であったリュートの妻になった」


「はい……」


「今リュートには2人の夫人がいる。元々皇太子であった第1皇子が失脚し、その妻を娶らなければならなくなったのだ。わたくしは第1夫人であったのに、今では第2夫人に落とされておる。ちなみに第1夫人は元第1皇子の第2夫人で、この国の有力者の娘だ。身分的には私は王女であったのに、この国の貴族の娘の下におるのじゃ。

 第1皇子の第1夫人は、元第2王子であった現皇帝の第2夫人であらせられる。彼女もこの国の貴族の娘じゃ。つまり後ろ盾の力が大きい。

 わかるか? 初めに嫁いだ相手と違う相手に嫁ぐこともあるのだ。しかも後ろ盾の有無も大きい。祖国と不仲でないわたくしよりも、其方はもっと条件が悪い。それが何を意味する?

 しかも今其方の年頃で嫁げるとなれば我が夫か、皇太子殿下である。皇太子殿下は現在16歳、しかも子が生まれたばかりで今朝神聖力が発現し、祝いのさなかじゃ。

 それで其方はいくつじゃ?」


「わたくしは18歳になったところです」


「そなたの方が年上じゃな。なればわたくしの夫リュートが相手となるやもしれん。しかも空きは第3夫人だけ。当然権力は順序通りとなる。わたくしと第1夫人に仕えることになるのだ。しかも夫が其方を寵愛するかわからぬ。それでもよいか?」


「もしリュート皇弟殿下の元に嫁ぐ場合は、寵愛に関わらず皆様に誠心誠意お仕えします」


 エリザベートがそう言ったことに俺は驚いてしまった。彼女はものすごくわがままって程ではないが我が強い。恋愛脳でカイルしか見てなかったし、そんなに簡単に切り替えができるのか?


 でもテレジアは彼女を見逃すことはないだろう。そうなれば命も掛かっているし、いろんな男に抱かれないといけないかもしれない。エリザにはそれが耐えがたいのはわかる。それなら他の女性と夫を共有した方がいいと思うのかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。

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