おまけ 手のかかる人②
第三十四話のおまけになります。
まだ読んでない方はぜひ先に読んでみてください
執務室の扉が閉まると同時に、
ラオフはへらへら笑いながらだらしなく椅子に座った。
「いやぁ〜昨日はほんま、すんませんでしたわ〜。
僕も反省してまんねん、ほんまに」
グウェンは自分の椅子に座り、
ゆっくりと腕を組んだ。
「ラオフ君」
「なんです?」
「ちゃんと座りなさい」
「え、あ……はい」
ラオフは慌てて姿勢を正す。
グウェンは机の上の書類を一枚取り、
淡々と読み上げた。
「昨日、アマノ君に”7万クラウン”の借金を背負わせて,
色んなお手伝いをいただいてたみたいですね」
ラオフは笑顔のまま固まった。
「いろんな、というか……たくさんの目撃証言がありましたよ」
苦笑いをするグウェンを見て
ラオフの背中に汗を大量にかく
「それで、結局計算間違いだったんでしたっけ?」
「いやぁ〜、ワイもうっかりでしてねぇ……」
「うっかり、ですか」
グウェンは書類を置き、
ラオフの目をまっすぐ見た。
「ラオフ君。
あなたは“計算が得意”でしたよね?」
「え? まぁ……冒険者ギルドも商売ですし……」
「そんなあなたが、
8万ルーンと7万クラウン”を“うっかり”間違えると?」
ラオフの笑顔が引きつる。
「い、いやぁ〜……その……」
グウェンはにっこりと笑った。
しかし、その笑みはどこか冷たい。
「それに…あなたは
“弱い立場の人間”を利用するのも得意ですよね?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよグウェンさん。
僕はそんなつもりは――」
「ラオフ君」
グウェンの声が、
一段階だけ低くなった。
ラオフの肩がビクッと跳ねる。
「アマノ君は“僕の客人”です」
ラオフの肩がビクッと跳ねる。
「……っ」
「僕の客人に、
“嘘の借金”を背負わせた。
その時点で、あなたは一線を越えています」
ラオフは必死に笑顔を作ろうとしたが、
口元が震えている。
「い、いやいやいや……
ワイはただ、ちょっとした冗談で……」
「冗談で“7万クラウン”?」
「……」
ラオフはむすっとした顔で言い訳を始めた。
「僕はただ、グウェンのお気に入りって聞いたから、
ちょっとどんなもんか見てみたくて……」
その言葉に、グウェンはふっと微笑んだ。
「さて。ラオフ君」
「……は、はい」
「あなたとは昔からの仲ですし、
ギルドマスターとしての腕も認めています」
ラオフは一瞬だけ安堵の表情を浮かべた。
「でも――
アマノ君を含む“異世界人”を巻き込むのは、二度と許しません」
その言葉は、
静かで、優しくて、
……そして底知れずに怖かった。
「次からは僕を通してください。約束……してくれますよね?」
にっこり笑うグウェン。
ラオフは椅子から転げ落ちそうになりながら叫んだ。
「もちろんです!
二度と勝手に手ぇ出しません!!」
グウェンは満足そうに頷いた。
「よろしい。
では、今後ともよろしくお願いいたしますね」
「すんませんでした!」
ラオフは逃げるように部屋を飛び出した。
扉を閉める直前、ちらりとグウェンを見て――
(ほんま今のグウェンの怒り方は、違う意味で怖すぎますわ……)
と心の中で呟き、そっと扉を閉めた。
扉が完全に閉まったのを確認すると、
グウェンは小さく笑い、
机の上の書類に視線を戻した。
「……本当に、手のかかる人達だね」
グウェンからのおしかりシーンパート2です。
レオンとラオフは似たものどうしなので
しょっちゅうグウェンにしかれらてます。
多分




