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再編の針と失われた縁  作者: 神田長十郎
第一章 再編の針
36/70

おまけ 手のかかる人

第三十二話の後のおまけの話です。

まだ閲覧前の方はそちらを先に読んでいただければと……

レオンは、まるで処刑場へ向かう囚人のような足取りで、

グウェンの執務室の前に立っていた。


扉の前で深呼吸を三回。

それでも手は震えている。

(やばい…死ぬほど緊張する…)


意を決してドアの前から声をかける。

「グウェン様!レオン・アッシュフィールドです」


「どうぞ」


中から聞こえた声は、いつもの穏やかさを保っていた。

だが、レオンの背筋は凍りつく。


ゆっくり扉を開けると――

グウェンは机に向かい、書類に目を通していた。


顔を上げる。

微笑んでいる。


……なのに、怖い。


「レオン君。座って」


「は、はい……」


レオンは椅子に腰を下ろしたが、背筋は棒のように固まっていた。

グウェンはしばらく書類を閉じず、


静かにページをめくり続ける。


沈黙が痛いほど重い。


(ひぃぃ……これが一番怖いやつだ……!)


ようやく書類を閉じ、

グウェンはレオンに視線を向けた。


「……レオン君」

「は、はいっ!」


「アマノ君のこと、心配してくれたのはわかっているよ」

レオンの肩が少しだけ緩む。


「だけど」

その一言で、また全身が固まった。


「君は“焦ると周りが見えなくなる”癖があるね」

「……っ」

「今日もそうだった。

アマノ君のために討伐クエストに一人で行ったり……

みんなを安心させるために先に帰って報告してといったのに

逆にみんなを混乱させてしまったり」


レオンは唇を噛んだ。

「……申し訳ありません」


「謝るのは簡単だよ。

でもね、レオン君――」


グウェンは机に肘をつき、指を組んだ。

「君は“縁”を呼ぶ人間なんだ。

良い縁も、悪い縁も、全部ね」


レオンは目を見開く。


「だからこそ、君が焦ると周りが巻き込まれる。今日のようにね」


レオンは深く頭を下げた。

「……本当に、すみませんでした」


グウェンはため息をつき、

しかしその声は優しかった。


「レオン君。私は怒っているわけじゃないよ」


「えっ……?」

「ただ、君に“気づいてほしい”だけ。

アマノ君は、君の焦りを見て余計に不安になった。

君は優しいからこそ、落ち着いて動くべきなんだよ副リーダーとしてもね」


レオンは膝の上でぐっと手を握りこむ。


グウェンは微笑んだ。

「大丈夫。

君はちゃんと成長している。

今日は……少し空回りしただけ」


レオンの目が潤む。

「グウェン様……」

「ただし」

「ひっ」


「次からは、ノックをしなさい」


「……はい」


「そして、アマノ君の前では“頼れるお兄さん”でいてあげて」


レオンは拳を握りしめ、力強く頷いた。

「……はい!

次は絶対に、落ち着いて行動します!」

グウェンは満足そうに微笑んだ。


「よろしい。

じゃあ、今日はもう休みなさい」


レオンは笑顔になり深く頭を下げ、

執務室を出ていった。

バタン!と扉が閉まる。


グウェンは小さく笑い、

机の上の書類に視線を戻した。

「……次は扉の締め方も教えないといけないね」

レオンをこの先どう格好いいお兄さんとして書けばいいのか

わからなくなってしまいました。

もうこのままでもいいですかね……


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