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再編の針と失われた縁  作者: 神田長十郎
第一章 再編の針
33/72

第三十一話 誰のせい?

「天野さん、起きてる?」

扉の向こうから聞こえたのは、鈴木の声だった。


「……どうぞ」

扉が開き、鈴木がそっと入ってくる。

紡の顔を見るなり、ほっとしたように微笑んだ。

「よかった……体調、大丈夫?」

「はい……少しだるいですけど……」


鈴木はベッドのそばに腰を下ろし、

申し訳なさそうに目を伏せた。

「……あの時、もっと私がレオンさんたちを止めるべきだった。

ごめんね、天野君」


紡は慌てて首を振る。

「そんな……俺が起こしたことですから。

むしろ皆さんを巻き込んでしまって……すみません」


落ち込んだ声。

鈴木はその様子に胸を痛めた。


「レオンさんたちも、すごく心配してたよ」

そう言った鈴木は、ふっと何かを思い出したように笑った。


紡は不思議に思い、尋ねる。

「どうしたんですか?」

「いや……レオンさんがね、帰ってきた時の様子が……」

鈴木は思い出し笑いをしながら話し始めた。


―――

――


バタン!!

ロビーの扉が勢いよく開いた。

「うわっ!?」「な、なんだ!?」


今まで見たことのないほど慌てたレオンが、

転がるように中へ飛び込んできた。

息も絶え絶えで、顔は真っ青。


心配して駆け寄る冒険者たちを手で制しながら、

レオンは死にそうな声で叫んだ。

「すずきくんを……よんでくれ……!」


鈴木が慌てて駆け寄ると、

レオンは肩で息をしながら必死に言った。


「アマノ君が……七万…いや五万クラウンの借金をして……

グウェン様が……怒って……もうすぐ…帰って来るから…!」


ロビーは一瞬で騒然となった。

「は!?」「あのグウェン様を怒らせた!?」「死んだなアイツ」

「どうやったら半日で五万クラウンの借金作れるんだよ!」

「もうすぐ帰って来るって…レオンさん私たちどうすれば」

軽いパニック状態。


鈴木は慌てて声を張った。

「お、落ち着いてください皆さん!

レオンさんも、報告は正確にお願いします!」


レオンは必死に続ける。

「だから……アマノ君が……冒険者ギルドで7万クラウンの借金をして……

それが5万クラウンになって……グウェン様が来て……」

「いや、その辺の説明は良いから、結局何でそんなに慌ててるんですか!」


その時――


ギィ……

ロビーの扉がゆっくり開いた。


ネロが姿を見せ、

その後ろから――


グウェンが紡を抱えて入ってきた。

ロビーは再び騒然。


「えっ!?」「抱えてる!?」「死んでないよな!?」

「グウェン様……怒って…ない?」


ネロは周囲の騒ぎを見て、

(……こいつら、なんでこんな騒いでるんだ?)

と本気で不思議そうな顔をした。


グウェンは微笑みながら言った。

「レオン君、先についてたんだね。

ちゃんと鈴木君に報告してくれたかい?」


「は、はい……」

レオンは答えた瞬間、

糸が切れたようにその場に倒れた。


「グウェン様、早くいきましょう」

ネロは先導するように、

紡を抱えたグウェンと共にロビーを後にした。


グウェンが去ったあと、

ロビーはさらに騒然となり――


鈴木は

(結局レオンさんは何を慌ててたんだ……

っと…それより)


鈴木はロビーを見渡しはぁとため息をつく

(この混乱したロビーをどう落ち着かせるか)


この後頭を抱えることになった。


―――

鈴木は苦笑しながら話を締めくくった。

「……って感じでね。

レオンさん、本当に必死だったよ」


鈴木は笑い話のつもりで話したのだが、

紡はどんどん顔色を曇らせていった。


「……俺、そんな大勢に迷惑かけてたのか……」


(……まただ……

俺が関わると、周りが動いて……巻き込んで……

高校の事故も……友達のことも……家族のことも……

全部“俺が原因”だった……

どうして俺は、いつもこうなんだ……)


胸の奥がじくじくと痛む。

鈴木は慌てて首を振った。


「違うよ。

みんな、天野さんのことを心配して動いただけ。

誰も迷惑だなんて思ってない」


その言葉は優しいのに、

紡の胸の奥の“古い傷”がうずいた。


(……心配して動いた結果、怪我した人もいた……

俺のせいで友達が離れた……

俺が声をかけたせいで、家族が……)

紡は無意識に胸元を押さえた。


その後、再度扉をノックした音が聞こえ

扉が静かに開き、ネロ、グウェン、そしてフィーロが入ってきた。


紡は慌てて上体を起こし、

「グウェンさん、俺……」

と謝ろうとする。


しかしグウェンはそっと手を上げて制した。

「アマノ君は何も悪くないよ」

その声は穏やかで、

しかし紡の胸の奥に深く刺さった。


「ラオフ君には釘を刺しておくから。

この後、変な興味本位でアマノ君を困らせないようにってね」

まるで“困った子だ”と言うように、

少しだけ苦笑する。


「怒ってないんですか……?」

紡が恐る恐る尋ねると、

グウェンは優しく首を振った。


「さっきも言ったけど、アマノ君は何も悪くない。

助けに行くのが遅くなって……申し訳なかったね」

その言葉に、紡の胸がじんと熱くなる。


「レオン君はね、いつもトラブルばっかり持ってくるから」

グウェンは冗談めかして笑ってみせた。


(レオンさん?……なんでレオンさんが出てくるんだ?

だってレオンさんも俺が巻き込んで……)


「でも……」

とまだ自分を責めようとする紡をみて


「……天野さん。違うんだよ」

鈴木が慌てて口を開く。


「多分、君はどっちかというと“被害者”というか……」

「……被害者……?」

紡が不思議そうに顔を上げる。

そのとき、ネロが深いため息をつきながら言う。

「お前も大概だが、レオンのは質が悪すぎる」

みんな同意するかのように苦笑いをしている


「どういう…ことですか?」

紡が尋ねると

ネロは呆れたように肩をすくめた。

「アイツは昔から“縁の引き”が強すぎるんだよ。

良い縁も悪い縁も、全部まとめて引き寄せてしまう」


紡はぽかんとした。

(……つまりどういうことだ……?

俺と……何が違うんだ……?)


まだわかっていない紡にあきれるようにネロが言う

「アイツはグウェン様もあきれるほどの”トラブルメーカー”だ」


(……え?)

ネロの言葉に、紡はぽかんと口を開けたまま固まった。

「……トラブルメーカー……?」


グウェンが苦笑しながら肩をすくめる。

「レオン君はね、昔から“縁”の引きが強すぎるんだよ。

良い縁も悪い縁も、全部まとめて引き寄せてしまうタイプでね」


「縁……」

「むしろお金で解決できるくらいで軽く済んでよかったよ」

グウェンは楽しそうにフフフと笑う。


(お金で解決できたって…………結構な額だったけど

あれで”軽く”なのか…?!)


フィーロが小さく頷く。

「レオンさん、優しいけど……ちょっと、うん……

“事件を呼ぶ体質”っていうか……」


カティアとエイラも苦笑いを浮かべる。

「そうそう……昔から色々あって……」

「本人は悪気ないんだけどね……」

紡は呆然とした。


「でも俺前の世界でも……こんな感じに人を巻き込むような……」

紡が言いかけたところで、

グウェンがそっと微笑んだ。


「アマノ君もレオン君と似ているけど……

レオン君は“縁を引き寄せる”。

アマノ君は“縁を呼び込む”。

似ているようで、まったく違うんだよ」


グウェンは紡をまっすぐ見つめた。

「それにね……

アマノ君にはね、“悪い縁を良い縁に変える力”があるんだよ」


紡は息を呑んだ。

「……良い縁に……?」

グウェンは頷く。


「うん。だれでも誰かとかかわることで”縁”は変化する。

でも君は誰かその縁は必ず”良いように”変化させる力がある。

悪い縁でも、君と関わることで良い方向へ流れ始める。

これはとても珍しいことなんだ」


紡は、気づけばその言葉がすっと心になじんだ気がした。

「……なんか、少しだけ……救われた気がします」


グウェンは嬉しそうに頷く。

「それでいいんだよ。

アマノ君は、アマノ君のままでいい」


その言葉は、

紡の胸の奥深くに静かに落ちていった。



レオンはあくまで引き起こしやすいだけで

絶対トラブル起こすわけではないです……

トラブルの確立を上げる存在とでも言いますか・・・


そこに紡君が加わると相乗効果ですごいことが起きやすくなります。

絶対ではないです


でも今回はレオンも紡も絶好調だったゆえに起きた被害ってことで

みんなはまぁけが人も出なかったし……と結果良かったと思ってる感じです。



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