第十六話 見学
フィーロの治癒が終わり、部屋の空気がようやく落ち着きを取り戻した頃だった。
コンコン、と控えめなノック音が響く。
「どうぞ」
グウェンが返事をすると、扉が静かに開き、一人の女性職員が姿を見せた。
丁寧に頭を下げ、落ち着いた声で告げる。
「お取込み中のところ申し訳ございません。
グウェン様、冒険者ギルドとの会合のお時間になりましたので、お迎えに上がりました」
「あぁ、もうそんな時間かい。待たせてしまって済まない。すぐに向かうよ」
グウェンは軽く息をつき、紡の方へ向き直る。
「アマノ君。話の続きは……そうだね、また明日にしようか。
今日は色々あったし、無理に続ける必要はない」
紡は小さく頷いた。
正直、頭も心もいっぱいで、これ以上話を聞いても整理できそうになかった。
グウェンは柔らかく微笑む。
「このまま部屋で休んでくれてもいいけれど……
せっかくだから、“再編の針”の施設を見て回ってみるのもいいと思うよ。
ここがどんな場所で、どんな人たちが働いているのか……知っておくと安心できるだろう?」
そう言って、ネロとフィーロに視線を向ける。
「ネロ、フィーロ。アマノ君の案内を頼めるかい?」
ネロは背筋を伸ばし、先ほどの失態を取り返すように力強く答えた。
「はい、グウェン様。責任をもってご案内いたします」
フィーロもふわりと微笑みながら頷く。
「アマノさん、歩けそう? ゆっくりでいいからね」
紡は少し戸惑いながらも、「はい」とした。
胸の奥に残るフィーロの温もりが、まだほんのりと残っている。
グウェンは満足そうに頷き、女性職員とともに部屋を後にした。
扉が閉まると、ネロが咳払いをして紡の前に立つ。
「……では、行くぞ。
“再編の針”のこと、ちゃんと知ってもらわないとな」
フィーロは隣でにこりと笑う。
「大丈夫。怖くないところから案内するから」
(……怖いところもあるのか?)
紡は心の中でツッコミを入れつつ、
二人の後ろについて歩き出した。
閲覧いただきありがとうございます。
ブックマークをつけていただけてうれしいです!
初心者過ぎてわかりづらい点も多々あるとは思いますが、
よろしければ今後も読んでいただけると幸いです。
また今回きりのいいところで切ろうと思ったのですが、
結果めちゃくちゃ短くなってしまいました…
次回は長めになっておりますので、
ぜひ明日も視ていただけると嬉しいです




