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アクマテキ  作者: なん
三章
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新しい任務

「髪があぁなくなったんやぁぁ。デーモンの所為やあぁあ」


 陀付の放逐から数日後。

 目前の老人が禿げ上がった頭を撫でながらそう云った。

 その老人は杖で体を支え、空いた手で自らの頭を摩っている。


「ここにもっとあったんよおぉおぉふわふわのがあああ」


「あらららら、それはデーモンのせいですね」


 老翁のしよれた言葉に男はうんうんと頷く。


「そりゃあ絶対デーモンの所為だなあ、うんうん」


 男はボサボサの茶髪を揺らしながら大仰に頭を振る。


「もしくは近くの美容室で切ったんじゃないですか?ほら、Reo──レオ──って名前のがあったよーな」


「いんやあ、きっとらんよ、、わしそんなぼけとらんよ」


 ケラケラと笑う老翁を見て、「歯ねぇですね」と、男は云った。

 唖然とする老翁を歯牙にもかけないで


「それじゃあ辺りを調べますんで、ちょっと待っててくださいね」


 老翁を自宅に帰し、男は大きく欠伸をした。

 高めの身長、その身体を包むのは漆黒のスーツ。

 鬱陶しそうにネクタイを緩めて再び欠伸。

 周りを見渡して目当ての人物を見つけた。


「あぁせんぱ「どうだった?」


 男の言葉を遮って質問する女。


「どうせおじいさんの勘違いかなんかだろ?まあこーゆー事にも対応すんのが私らの仕事だわ。しゃーなし」


 女は呆れたようにため息をついた。


「いや、欠伸しないでくださいよ」 


「ため息だわ、あくびしたのはお前だろ」


 女は髪を耳にかけつつジト目でそう云う。

 女は指先大のチョコレートを取り出し口に運んだ。

 形は三角錐で上部がピンク、下部が焦げ茶色の二層になっている。

 二種類のチョコが協力し合い甘味を届けてくれる。

 名前は何だったか。


 考えながらじっと女を見詰める。

 黒のセミロングヘアに白のインナーカラー。

 スーツの上からでも分かる健康的で力強い肢体。

 凛とした顔立ち。


「すれ違う人々が思わず振り返るほど魅力的な脚部。注がれる視線を睨めつけるような強気な双眸。強気な眼光に貫かれようと不快では無い。むしろご褒美に感じるほどに整った顔立ち。フゥ生きててよかったぜ。おおと、神からのプレゼントを眼に焼き付けねば」


「キモイな」


「いや、構わないでくださいよ」


「キモイな!」


 強気な言葉と裏腹に恥ずかしそうに足をよじらせた。

 首に付いたチョーカーの装飾がリンと鳴る。


「今日はこれでいいや」


「どういう意味だよ!キモイんだけど!?」


「よく考えたら今日はこれでいいやって失礼ですよね。体張ってんのに……シンプルに、頂きますとかでいいのでは」


「いや、よりキモくなってっから」


 云いながら背中を殴打した。


「ほら、一応調査するよ」


「痛ったい!描写が殴打になるくらい強い」


「はよしろボケ」


「はいすみません」


 女はため息を小さく吐き、


「ただでさえ私らの評価は低いってのに……もっと結果を出さねえといけねぇんだから真面目にやってくれ頼むから」


 女は男を横目に見つつ告げた。

 言葉を受けて納得した様子の男だったが、少し間を開けて言葉を返した。


「確かにそーですけど、にしたって先輩焦りすぎじゃあないですか?」


 云いながらしまったと男は思った。こんなこと云ったらお前のやる気が無いだけだ等と叱られると思ったからだ。

 しかし女の語気は若干弱まった。


「人は人の役に立たないといけないんだ」


 良い言葉の筈なのにどうしてそんなに悲痛に語るのか。

 男はその理由を知っているが敢えてそれは言わなかった。


「どこ行くんでしたけ」


 女はムッとした。


「伊達寺、私が送った調査概要みてねえだろ」


「いやいや見ましたって」


「じゃあわざわざ聞いてくんな」


「先輩との会話に間があったら俺と先輩が仲悪いみたいじゃないですか」


「そもそも仲良くなってねえだろが」


「ええ……俺知ってるのに、この前先輩が掛け算を……」


「ああああああまてまてまてそれは云うなあ!」


 云い合いながら二人は住宅街を進んでいく。

 男と女。

 伊達寺削鍬と田擦日田向は少し先、デーモン被害者の家へと向かう。

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