【第二章:信仰と泥まみれの「超成功(クリティカル)」】
【第二章:信仰と泥まみれの「超成功」】
岡崎城へ戻った私を待っていたのは、独立の喜びではなく、
引き裂かれた領国と、駿府に残した家族への癒えぬ罪悪感だった。
「瀬名……待っていてくれ。必ず、この三河をまとめ上げ、迎えに行く」
だが、現実は甘くない。
私が掲げる「泰平」への道に、最大の試練が立ち塞がる。
「三河一向一揆」。
信じる神仏のために、昨日まで共に笑い、共に戦った家臣たちが、私の命を狙う敵へと変わったのだ。
1563年。
三河の地は、阿鼻叫喚の地獄と化していた。
「進めば極楽、退かば地獄!」
そんな怒号が、かつての仲間たちの口から放たれる。
本陣に籠る私の元へ、一人の伝令が飛び込んできた。
「報告!
西野の砦が陥落。
守備していた本多正信殿、渡辺守綱殿……皆、一揆勢に合流いたしました!」
膝が震えた。
正信は、私の知恵袋とも言える男だ。
彼ですら、私ではなく「仏」を選んだのか。
転生者である私は、歴史の知識としてこの事件を知っていた。
だが、実際に向けられる殺意は、紙の上の文字とは重みが違う。
「殿、もはや情は無用にございます。
一気に武力で叩き潰さねば、我らが滅びますぞ!」
鳥居元忠が血を吐くような思いで進言する。
天照大御神(GM):
「さて、苦しいのう家康。
そなたの掲げる『泰平』とは何じゃ?
逆らう者をすべて斬り伏せた先に、安眠できる世などあるのか?
ここは重要な分岐点じゃ。武力でねじ伏せるか、それとも……」
私は、懐に忍ばせた瀬名からの文に触れた。
「武力で鎮めても、心は離れたまま。
私が創りたいのは、誰もが……信じるものが違えど共に笑える世だ」
私は決断した。
一度は「和議」を結び、彼らの矛を収めさせる。
だがそれは、単なる降伏ではない。
三河武士の魂を、力ではなく「情」で繋ぎ止めるための、命懸けの賭けだった。
「使いを出せ。
寺の特権を認め、罪を問わぬと伝えよ」
【判定:和議と赦免(スキルの活用)】
難易度: 45
基本成功率: 35%
スキル[徳の源泉]補正: +20%
(「必ず元通りにする」という真摯な説得力が乗る)
天照大御神が、面白そうに金のダイスを天高く放り投げた。
ダイスロール……「12」!!【超・大成功】
「おおお!
なんという奇跡じゃ!
盤面が……盤面がひっくり返ったぞ!」
ダイスの目は、私の「志」に応えた。
私の送った書状、そして単身で一揆勢の前に立ち、鎧を脱いで
「私はそなたらを、家族として信じたい」と説いた姿が、
狂信に燃える三河武士たちの心を、氷が解けるように溶かしたのだ。
一揆は収束した。
私は約束通り、敵対した者たちを一人も処刑しなかった。
「……殿。この正信、死罪を覚悟で戻りました。
この愚か者に、まだ居場所はございましょうか」
雨の中、泥まみれで平伏する本多正信。
私は彼の手を取り、強く握りしめた。
「場所などない。
私の隣に、お主がいないことなど考えられん。
共に行こう、正信」
この寛大すぎる処置は、三河武士たちの間に
「この主君のためなら、二度と裏切らぬ」という、
鉄よりも固い忠誠心を植え付けた。
【共鳴値(SP)】が爆発的に上昇し、徳川軍団は真の意味で「最強」への一歩を踏み出したのだ。
「ふむ、第一の難局を見事に越えたな。
家康よ。じゃが……」
天照大御神が、その美しい指で盤面の一角を指差す。
そこには、赤々と燃える炎のような勢力――織田信長と、
雪を戴く富士の麓で牙を研ぐ猛虎――武田信玄の影があった。
「三河を固めたそなたに、次は『外交』という名の毒杯が差し出される。
信長という太陽は、近づきすぎれば焼かれ、離れれば凍え死ぬぞ」
私は、瀬名のいる駿府の方角を見つめた。
今川の勢力が衰え、いよいよ彼女を奪還するチャンスが巡ってきた。
だが、そのためには、あの苛烈なる魔王・信長と手を結ばねばならない。
「瀬名……。私の創る泰平には、お主が不可欠だ」
徳川家康、20歳。
ようやく自らの足で立ち上がった私の前に、さらなる巨大な「決断」が迫っていた。
天照大御神(GM):
「家臣たちの絆を取り戻し、いよいよ本格的に天下へ名乗りを上げたな!
じゃが、そなたの『志』を根底から揺さぶる出来事が近づいておるぞ。
次は、信長との清洲同盟、そして……愛する瀬名(築山殿)と再会するも、
信長からの『ある命令』が届くシーンから始めよう。
心の準備は、よいな?」




