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【第三章:魔王の台本を(裏技で)破れ】

【第三章:魔王の台本を(裏技で)破れ】


三河を平定し、ようやく私は今川の呪縛を解いた。

武力と交渉を使い分け、ついに駿府から愛する瀬名と子供たちを奪還することに成功したのだ。


岡崎城の奥御殿。

数年ぶりに再会した瀬名の姿は、記憶の中の美しさそのままに、どこか鋭い哀しみを湛えていた。


「殿……。私は、あの日に捨てられたのだと思っておりました」

「捨てはせぬ。一刻たりとも、忘れたことはなかった」


私は彼女を抱き寄せた。

その肩は驚くほど細く、震えている。


だが、この平穏は、織田信長という巨大な「力」との同盟

――清洲同盟によって辛うじて保たれている砂上の楼閣に過ぎなかった。




1570年代、時代は加速する。


東からは「戦国最強」武田信玄が、

西からは「魔王」織田信長が、天下という一点を目指して火花を散らしていた。


私はその狭間で、徳川家という小舟を操らねばならなかった。


そして1579年。最悪の報せが届く。

安土の信長から遣わされた使者の手には、一通の書状があった。


「築山殿、ならびに嫡男・信康。

 武田と内通せし証拠あり。速やかに処刑せよ」


頭を殴られたような衝撃だった。

内通など、信長が徳川の力を削ぐための言いがかりに過ぎない。

だが、これを拒めば、織田の軍勢が三河を焼き払い、私の掲げる「泰平」の夢は灰に帰す。




天照大御神(GM):

「……さて、家康よ。絶体絶命じゃな。

 史実のそなたは、ここで妻子を殺し、忍耐の泥水を啜った。

 それが江戸幕府への道となった。

 じゃが、この世界ではどうする?

 そなたの『志』は、愛する者を殺してまで貫くべきものか?」




私は震える手で、自身のステータス画面を見つめた。


【共鳴】は最大級。家臣たちは私の決断を待っている。

【天命】は削られ、焦燥が全身を駆け巡る。


だが、私は転生者だ。

「……アマテラスよ。私は、悲劇を繰り返すためにここに来たのではない」




私は本多正信を呼び出した。


「正信、この書状を信長に見せよ。

 ……そして、もう一通の書状を、密かに甲斐の武田勝頼へ届けろ」


正信の目が大きく見開かれた。


「殿……それは、信長公への反旗にございますぞ。正気ですか?」

「正気だ。信長公の創る世は、恐怖による平定だ。

 それは私の願う泰平ではない。

 強き者が弱き者を踏みにじる連鎖を、ここで断ち切る」




【判定:外交の綱渡り(武田との電撃同盟)】




難易度: 75


基本成功率: 20%


スキル[本多正信の献策]: +15%


スキル[徳の源泉]: +10%


[瀬名との絆]補正: +10%


最終成功期待値: 55%


女神が黄金のダイスを、まるで星を投げるように放った。




ダイスロール……「38」!!【成功】




「うふふ! 面白い! 運命の糸が、完全に史実から外れたぞ!」




武田勝頼は、私の「覚悟」を認めた。


信長が三河へ牙を剥くと同時に、北から武田の騎馬軍団が織田領へ牙を剥く。

長篠の地で、私は織田の精鋭と激突し、これを押し返した。


数日後、私は瀬名の元を訪れた。

「瀬名。もう、誰もそなたを殺せはしない。

 私が、この世のすべてを敵に回してでも守り抜く」


瀬名の目から、大粒の涙が溢れ出した。

磨き抜かれたその顔が、初めて年相応の、一人の女性の顔に戻った瞬間だった。


「殿……。私は今、初めて鎖が解けた心地がいたします」


その笑顔は、かつて駿府で見たどの姿よりも、神々しく、美しかった。


「見事じゃ、家康。そなたは『愛』を選び、歴史を壊した」

天照大御神が、少しだけ悲しげに、それでいて称賛を込めて微笑む。


「じゃが、報いは来るぞ。

 信長は死なず、そなたを『裏切り者』として地獄の果てまで追いかける。

 そして、その影でほくそ笑む一匹の『猿』……豊臣秀吉が、力を蓄えておる」


私は瀬名の手を強く握り、空を見上げた。

「望むところだ。愛する者を守れぬ太平など、偽りだ。

 次は江戸……荒野を拓き、真の王道を見せてやろう」




天照大御神(GM):

「物語は佳境じゃ。

 次は1590年、秀吉による小田原征伐。

 そして、家康が三河を奪われ、湿地帯の『江戸』へと封じ込められるシーンから始めよう。

 そなたが江戸の荒野に、どんな夢を描くのか……見せてもらうぞ?」

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