完全機械化艦隊2
このエピソードは自分が一番書きたかった話です。
超金属と正確無比な攻撃、無限機関
完全無欠の敵をどう倒すか?
いろいろ考えてみましたが…。
さて、魔法艦隊提督はどんな魔法を見せてくれるのやら?
戦場はナーヤ・キメンの元領地の一つに設定した。
無人の恒星系で二つのアステロイドベルトを持ち、かつては帝国有数の鉱物資源の採掘場だった。
今は資源はほぼとりつくされ、採掘で小さくなった小惑星の残骸が漂うだけだ。
おびき寄せるために特別なことはしていない。
戦場と決めた宙域で各種準備をしていただけだ。
そのエネルギーにつられてやつらはやってくるはずだ。
ちょうど準備ができたころ、やつらはやって来た。
総数二千隻余と今までの敵よりはるかに少ない。
だが、相手は破星砲さえ効かない。
交渉も降伏も意味がない冷血の機械化艦隊だ。
乗員の恐怖はとんでもないものだろう。
機械化艦隊はアステロイドベルト帯になんの躊躇もなく侵入してきた。
今まで自分達を破壊できる敵に出会ったことがないからこその自信だろう。
「全艦、攻撃開始!」
アステロイドベルトを盾に攻撃を開始する。
攻撃は実体弾やミサイルを使っている。
破壊ではなく、体当たりの妨害と進路の誘導を目的にしている。
アステロイドベルトと共に相手の進路を限定・誘導し、『死地』へ徐々に導いていく。
シャーチの艦隊運用が光る。数千隻の艦が一糸乱れず移動するのは芸術のようだ。
さりげないサポートだが、ホークォたち魔法技術者たちもすごい。
微妙に小惑星を変形させ、敵の射撃を防いでいる。
だが、こちらの攻撃は相手の進攻を遅らせることはできても損害を与えることはできていない。
「気づかれてないかな?」
普段は艦内の工廠にいるノージとビースが艦橋にいる。自分たちの新兵器のことが気になるのだろう。
「危険な薬品類ではないので、AIは反応しないと思います。」
「苦労したんですよ。AIに危険視されない薬品だけであれを合成するの。」
「少しずつ効果が出てきたみたいですよ。」
メーダがメインスクリーンを指さす。
白銀だった敵艦が徐々に茶色くなっていく。
敵艦に徐々に小さな岩塊が貼りついていっていたのだ。
実体弾とミサイルの中に粘着弾を仕込んでいたのだ。ネバネバするだけで爆発も何もしないので敵艦のAIは危険なしと判断したのだろう。だが、貼りついた岩は艦の動きを徐々に止めていく。
「キョーバ部隊発進!岩塊を敵艦隊にぶつけろ!」
機械化艦隊の恐ろしさはオリハルコン装甲だけではない。射撃が恐ろしく正確なのだ。それ故、機動兵器が使えなかった。
だが、ノージたちの粘着弾作戦で相手の動きを封じることができ、機動兵器が使用できるようになった。
巨大な岩塊を抱えたキョーバ部隊が敵艦隊に突進する。もはや砲塔も回せなくなっている敵艦にどんどん岩塊が貼りついてゆく。
艦同士をぶつけ、岩塊をはがそうとしている艦もいるが、そううまく行くものではない。
「ドラゴン魔法部隊!発進せよ!とどめは任せたぞ!」
ドラゴン部隊が出撃する。4姉妹を先頭に敵艦隊に向かう。
パワードスーツにはホークォがスカウトしてきた魔法使いが同乗している。
彼らの魔法をドラゴンたちの魔法力が増幅強化。一斉に魔法を放った。
ねらったのは敵艦ではない。敵艦にはりついた岩塊だ。
土魔法により岩塊はスライム化した。そう。皇帝がやっていた魔法だ。
最初からスライム化させていたら、やつらはお互いを撃ちあい、砲撃でそれを弾き飛ばしていただろう。
だからノージとビースに粘着剤を作らせ、敵艦にある程度の量を貼り付けてから一気にスライム化させる必要があったのだ。
スライム化した岩塊は砲口や吸気ダクト、ミサイル発射口から侵入していく。装甲の隙間からも……。
無人艦のため気密が厳密でなかったのが災いした。こっちにとっては幸いだが。
艦隊の中で煙を出している艦が増えてきた。無理に砲を撃とうとして内部で暴発しているようだ。
「勝負あったのう。」
「ホントにいろいろ思いつくものですね、提督は。」
「自分はいろんな魔法を開発できてうれしいですけどね。」
「私は艦隊運用の仕事がほとんどないんですが?」
敵艦隊が沈黙するまで長い時間は必要なかった。
敵艦を接収、内部の自動運行システムを停止させ、共和国まで曳航した。
ちなみに半数は帝国に渡す約束になっていた。
無限機関を解析してみたが、今の自分たちの技術では再現は難しそうだった。
敵艦のものでサイズの合うものを自分たちの艦に移設することで無限機関を持つ艦を俺たちも持つことができた。
だが、内部の暴発で破損していたものも多く、新しく作れた無限機関艦は100隻程度だった。
敵艦内には機動兵器らしきものがあった。コックピットはなく、戦闘機と言うよりはミサイルか矢じりという形だ。半分くらいは壊れていたが。
「艦と同様に体当たり攻撃していたら、中の精密機械が壊れて使えなくなった……ってことですかね?」
「それで使うのを控えていたんでしょうね。」
ノージとビースが興味深げに機動兵器を見て回っている。
「いざとなったら、これをだしてきた……?」
機動兵器の高機動力で体当たりされたら…想像するだけでも恐ろしい。
フリーダムフィールドが装備しているラムでの体当たり戦法は対宙獣艦という生物相手でもかなり艦に負担がかかっていた。
今でこそ強化魔法でほとんど問題はないが、この戦法はここ一番でしか使いたくないものだ。
無人機ゆえにできる恐ろしい戦法だ。
「これを使われていたら、オリハルコン装甲艦以外はアウトで、結果は変わっていただろうな。いくら対物理結界魔法でもオリハルコンの体当たりは……」
「そうじゃのう。強化魔法と結界魔法の二重がけだけでは苦しいかのう……」
『カーツなら魔法の三重がけとかしそうな感じだな。いや、発想を変えて別の方法をとるかもな』
ナーヤ兄弟がスカウトしてきた面々も共和国に来てくれることになった。
どうやら優秀過ぎて不遇だった者たちをねらってスカウトしてきたらしい。
機械化艦隊から移設した無限機関はワープ性能もすごかった。一気に五百光年ものワープが可能になった。
超合金オリハルコンの装甲。加えて魔法防御、強化魔法絶対の防御に加え、
収納魔法による、ほぼ無限の物資備蓄。加えて無限機関。
これで外宇宙への冒険の旅に出られる。
……とはいっても、未知の空間へのワープは危険が伴うので、小刻みなワープになる。
まぁ、航路のデータが充実してくれば長距離ワープもどんどんできるようになるだろう。
しかし、召喚されてから短い間にいろいろあったものだ。ゆっくりしたい…とも思うが、これから何をしようかか楽しみな自分もいる。
カーツの入れてくれたお茶を飲みながら自分達の未来に思いを巡らしてみるとしようか……。
完全機械化艦隊はどうにか撃破できた。
しばらくはゆっくりできそうな感じです。
さて、とりあえず銀河共和国の支配下にある地球…特に日本はどうなるんでしょうか?
次回「地球の変化」




