完全機械化艦隊
完全機械化と言えば、故 松本零士先生の「銀河鉄道999」を思い浮かべた方も多いと思います。
私もそこからこの敵のアイデアを得ました。
正確無比の判断と行動
強力な攻撃力と防御力
力の劣る人類が排除される恐れから機械の体になるべきかどうか悩む主人公
本当に衝撃でした。
矢上たちが戦う機械化艦隊は完全なる破壊兵器。もっと面倒な敵です。
さて、どう立ち向かうのやら。
ま~た銀河帝国で何かあったらしい。
元皇帝から密使が来た。
「密使っていうのがなんだかなぁ…。かなり面倒ごとらしいな。」
いらんこと考えるんじゃなかった。フラグ回収早すぎるな。
元皇帝との密会で知らされた内容はやはり面倒ごとだった。
帝国艦隊の辺境守備艦隊が大敗したらしい。
しかし、あの艦隊には破星砲艦も何隻か配備されていたはずなのに。
他国の侵略?……ではなく、もっと面倒な相手だった。
「完全機械化艦隊?」
超合金オリハルコンの無敵艦隊。自動で敵を撃破する優れものだったんだが……
「暴走したと?」
「あのオリハルコンの星は暴走した機械化艦隊を葬るための最終兵器だったそうじゃ。だが、それも急ごしらえだったんで暴走して帝国は一度滅びたのじゃよ。」
暴走多すぎだろ…とは思ったが突っ込まないでおいた。
「残存の完全機械化艦隊が生き残った帝国の諸惑星を破壊しまくっての。それを避けるため、機械文明を捨て、魔法文明を発展させるようになったんじゃよ。」
超金属オリハルコン製の艦隊。しかも、無限機関を持っているらしい。
オリハルコンと無限機関。どちらも帝国の崩壊とともに失われた技術だったのだ。
それからおよそ300年。もうとっくに脅威は去ったと思っていたのだが…。
「何とかしてくれたら、太陽系内に儂の土系魔法で一つ惑星を作ってやるぞ。」
そう言いながら手の中の石を自由自在に変形させる。大きさ、形はもちろん、硬さも変える。終いには石がスライム状になっている。
この皇帝、カリスマの能力者だというが、本人の人柄が帝国を支えていたのではないのだろうか?
退位後も彼を責める者は少なく、楽隠居状態になっている。
『彼を敵に回すのは避けた方が良いだろうな』
まぁ、さすがに自分らの本拠地を元敵国の皇帝に作ってもらうわけにはいけないので辞退したが、機械化艦隊討伐は検討してみることにした。
「ところで何で宙獣艦隊はやられたんですか?」
ノージが聞く。ビースも同じ疑問を持っていたようで
「魔法防御で通常攻撃は弾かれますよね?機動兵器もないみたいなのに……。」
「体当たりしてのゼロ距離射撃よ。」
メーダが説明を買って出てくれた。
オリハルコン製ゆえ防御の必要がない機械化艦隊はとにかく真っ向から攻撃を仕掛ける。
体当たりしても決して壊れることが無いのだからガンガン行く。
無人艦隊だから乗員への心配もいらない。
「力押しよのう……。」
カーツが呆れたように言う。しかし、有効なのは間違いない。
破星砲はじめ全兵器が効かないオリハルコン製の艦隊。
さてさて、どう戦えばいいのか……?
「結論から言う。元皇帝からの依頼を受ける。放っておくと太陽系にもやってくるかもしれない。遠いところにいるうちになんとかする。」
幹部たちの顔色は冴えない。
まぁそれもそうか。今までは破星砲の威力で劣勢を跳ね返してきたのだ。
それが効かないとなると不安どころの騒ぎではないだろう。
「心配するな。策は考えてある。」
一同の表情が明るくなった。まぁ、こっちは多少……いや、かなり虚勢をはっているんだが。
「皇帝がヒントをくれたからな……。」
あと、見返りにシャーチとホークォの恩赦を要求した。
あっさりと受諾された。
だが、やったことがことだけに祖国への帰国は許されず、共和国籍になることになった。
まぁ、こちらとしては願ったり叶ったりだが。
機械化艦隊の記録を全幹部で分析した。1~2時間分の戦闘記録しかないが十分だった。
どうやら索敵システムが暴走し、敵と思われるものに過剰反応して片っ端から攻撃しているようだ。
「魔法文明にしたのはこいつらが近づかないようにするためだったのか。」
そう考えるとキメン辺境伯が機械文明を忌避し、反乱を起こした理由もわかる。
高位の貴族なのに戦場で殺されたのも。普通は礼節をもって自裁を勧められるとかになるはずなのに。
「秘密を守るため…か?」
あの航跡を消す装置も機械化艦隊に追跡されないためのものだろう。
たぶん、まだいろいろと隠していそうだ。
帝国敗戦後、俺たちやサーカ、トークォの艦隊が帝国を訪れるようになったため機械化艦隊を引き寄せてしまった。帝国自体も通常の艦を利用するようになったし…。
和平交渉時、交渉が不利になるのを承知で宙獣艦を残したのはこのためだったのか。
そうなると、この依頼の意味も大きく変わってくる。
俺たちと機械化艦隊を接触させることにより、奴らの矛先を俺たちやサーカ、トークォにするのが本当の目的だろう。
帝国には何の損もない。倒せればそれでよし。ダメでも矛先はサーカやトークォなど、よそに向く。
「強かなもんだよ…」
武装はビーム砲やショックカノンだけ。実体弾やミサイルの類はないようだ。
発射管らしきものはあるが、内部に武器製造装置とかはないので最後に補給した武器弾薬がなくなったから使えないのだろう。
だが、射撃が恐ろしいほど素早く正確だ。防衛艦隊の機動兵器や闘魚、カニどもがほぼ一撃で撃墜されている。
俺たち自慢の機動兵器も使えないかもしれない。
「まずはあいつらの射撃を封じる。」
あいつらをおびき寄せるのは簡単だ。アステロイドベルト帯に誘い込んで迎撃する。
「何か考えているようですが…魔法は使うんですか?土系あたりとか?」
まぁ、盾にも武器にもなるアステロイドベルトを使わない手はない。土系魔法が使えるようになった上にホークォの魔法制御技術でさらに利用法のバリエーションも増えているし。
作戦を説明する。
「敵の体当たりを回避しながら時間を稼ぐのが大変ですね。」
「魔法の作りこみは任せてください。」
恩赦のおかげで堂々と活動できるようになった二人は、優秀な人材をどんどん共和国にスカウトしてきてくれた。
敵の射撃対策はノージとビースの役割だ。新兵器の開発に取り掛かってもらった。
魔法も使う予定だが、今回は特別な用意はない。術札も魔法陣も用意しない。
ホークォがスカウトしてきた術師が自信満々で、それらの用意を拒否したのだ。
念のため秘密裏に用意しようかとも思ったが、
「部下を信用するのも提督の役目じゃよ。」
今後、長い付き合いになるんだ。任せるところは任せよう。
準備は整った。
「あの皇帝…まだ何かかくしてることありそうだが…」
目の前の問題から確実に片づけていくしかない。
完全機械化艦隊に立ち向かうべく、準備を始めた矢上たち。
破星砲すら聞かない超金属の艦隊。さらに正確無比の射撃で機動兵器も。
魔法があるとはいえ、超金属の艦をどうするのか?
無人艦ゆえ催眠も麻痺も効かない…。
次回「完全機械化艦隊2」




