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反乱の惑星

ゆっくり更新ながら、何とか30epに到達しました。

矢上たちは内政の充実を図りたいのですが、新秩序が生まれる時には何やかやと問題が起きるもの。


旧勢力の反抗などは必ずあるものですが…。


そんな時、帝国から連絡が入った。

民主制移行後の国名はまだ決まっていないそうで、便宜的に帝国と呼んでいる。


辺境の貴族がサーカやトークォとの国交断絶を主張し反乱を起こしたとのことだった。


「なんでも伝統ある魔法文明を機械の文明に入れ替えるのを反対してるとか…」


早めに対応しないと、他の貴族にも飛び火して大きな内戦になりかねないということでの救援要請だ。


帝国の軍権は講和条約、友好条約が完全に締結されるまではサーカとトークォが握っている。故にこの反乱への対応もサーカとトークォがしなければならない。


当然、面倒なので俺たちに押し付けてきたという訳だ。

先の大戦で援軍と破星砲用のエンジンの供与を受けた借りがあるので断るわけにはいかない。

さっさと借りは返したいし。


だが、困った。今までは攻めてきた敵に対して十分に用意をして迎え撃つという作戦で勝ってきた。

今度は地の利も分からない所へ出向いての戦いだ。

しかも、こちらの破星砲戦法は知られている。

術札は微妙だが、知られていると考えた方がいいだろう。


そもそも、破星砲システムや破星砲艦は防衛用に考えられたものだ。恒星間を移動させることなどを想定して作られていない。ワープはできるが、燃費が悪いのであまり多くは持っていけない。


さらにサーカ、トークォとの連合軍で行くことになるが、大軍で遠く遠征に行く以上、補給を確保できないと、結局やられることになる。補給に負担のかかる破星砲艦をどう運用するかは頭の痛いところだ。


お偉いさんがたの希望は


『少ない軍勢で金をかけず、短期で終わらせる』


まぁ、今までうまいこと大軍を撃破してきたため、今回もうまくやっておくれ、というところか。

たいへんではあるが、ここで上手くやればサーカ、トークォらより先に帝国との強い関係を結ぶことができる。


「知恵の絞り所か……。」


辺境伯キメン・ナーヤ領は帝国の最も銀河中心寄りにある。

3つの星系を領土としている。

主星のあるナーヤ星系は二重のアステロイドベルトと3つの惑星を持つ。

大軍を展開しにくく、アステロイドベルト内には数多くの艦船が潜み、相手は奇襲かけ放題。

無理に進軍しても補給路、退路を断たれて袋叩きにされてしまうだろう。


「逆に言うと、敵軍は必ずアステロイドベルトの中にいるという事か。」


今回はサーカ、トークォ軍の援軍は断った。旗艦フリーダムフィールドと二百隻の高速艦主体の艦隊、あと五十隻の破星砲艦を連れて行くことにした。


「今回はカーツの魔法が頼りだから。」

「まかせるのじゃ!」


のじゃロリは絶好調である。



ナーヤ星系の外縁についた。

大きな抵抗はない。他の星系から物資と軍をすべて引き上げ、主星のある星系のみを守るという作戦らしい。


「つまり、領民などどうなってもいいというのですわね。」


カーツと同じ魔法属性を持つので同行したクージョは領民の扱いに怒り心頭のようだ。


補給艦から物資を供出させ、領民に送らせた。みんな補給の心配をしていたが、


「どうせ短期間で終わらせる。心配いらない。」


そもそも、この物資は帝国からもらったものだし、この事態も想定していた。


「焦土戦術とは、なかなかやってくれるよな。」


敵の指揮官は破星砲艦の弱点を分かっていたのだろう。焦土戦術で補給線に負担をかけ、アステロイドベルト内に分散して潜むことで十分な効果を出せないようにする。


「かなり優秀な指揮官なんだろうな。」



「作戦開始!」


メーダの指揮のもと、作戦が開始された。

破星砲艦隊のみが前進した。

まだかなりの距離があり、破星砲の射程外なのになぜ?…とみんな思っているようだ。


破星砲艦隊が一斉にワープした。ワープアウトしたところはアステロイドベルト直前。

アステロイドベルト内に潜んでいた敵が迎撃態勢に入る前に破星砲艦は突進を開始した。

そう。進軍ではなく突進と言うにふさわしいスピードだ。

亜光速ゆえに迎撃は困難だ……が、方向転換も難しいだろう。弾幕に突っ込めばそれまでだ。それ以前に目の前にはアステロイドベルトが……


アステロイドベルトに激突する! と思われた瞬間、艦前方に魔法陣が展開された。


アステロイドベルトの小惑星が形を変え、破星砲艦を包んでいく。

行く手の小惑星とともに隠れていた敵艦まで飲み込みながら、破星砲艦はさらに巨大な岩塊になっていく。直径十kmは軽く超えただろう。それが五十隻。

それらが亜光速で敵艦隊を蹴散らしていく。


最後は…アステロイドベルト内に破星砲艦が均等に配置された時に


「破星砲、発射」


岩塊の中で破星砲が炸裂。散り散りになった岩とワープエネルギーが敵艦隊を完膚なきまでに粉砕した。


カーツは使える魔法は少ないが、火系と土系はドラゴン4姉妹を遥かにしのぐ。

土系魔法は質量が大きい土や岩を扱う分、莫大な魔法力を要求される。カーツが描いた魔方陣だけではこれほどの効果は出せない。

継続して土精霊に力を出させ続けるため、魔法陣に後方から魔法力を送信できるようにした。

これに協力したのがクージョだ。同系統の魔法が得意で、魔法制御に長けた彼女の協力があってこその成功だった。


こうして、キメン・ナーヤ辺境伯の反乱は開戦からたった二日で鎮圧された。


残念ながら、辺境伯と指揮官たちは取り逃がしてしまった。

包囲網を見事な操艦で潜り抜けていった。追尾もできなかった。


「最初から逃げる準備をしていたようだな。」


各惑星の民衆もほとんどは星からいなくなっていた。

この反乱、何か裏がありそうだ。


「お疲れ様。」

「うゆん!」


カーツへの報酬はひざ枕で頭なでなで。狐と言うより、猫だな……。

……クージョがちらちらとこっちを覗いている。

あとで呼んでやるか。

旧勢力の反抗ですが、どうも何か裏がありそうです。

単なる自己の権益を守るための行動とも違うようです。

破星砲艦で蹴散らした艦数も不明。ひょっとしたら大部隊を隠しているかも…。


ただ、新国家建設中の矢上たちには秘密を追及する時間も方法もない。


次回「産業への参入」

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