地球へ
今回のタイトルを見て「テラへ」と読んだ人いるでしょうね。
宇宙戦艦ヤマトと同時期に劇場公開されたのはご存知の方も多いと思います。
矢上は魔法が使えるようになったので、地球人類から見ると新人類「ミュウ」と同じように見えるかもしれません。
獣人たちは間違いなく異星人。ドラゴン娘は魔族に近いかも。
彼らは分かり合い、協力していくことができるのでしょうか?
拠点開発と同時進行でこっそりと一部の獣人とドラゴン族たちを地球に住まわせてみた。
地球環境に彼らが対応できるかのテストのためだ。
メーダたちサーカ人、トークォ人は実は長年地球に潜伏していたので影響はないことが確認されている。
獣人たちも問題がなかった。彼らの体内に蓄えられた魔法力が有害な菌などを駆逐し、体外から入ってくるウィルスなどへの耐性も強かったのだ。
カーツやドラゴン娘たちも大丈夫だった。自分たちの中の菌とかウィルスを魔法で全滅させてしまったから。(大丈夫なのか?)
さらに広い範囲の気候、風土、文化の調査としてノージとカーツ、ドラゴン4姉妹からノーダ、獣人族から猫族、犬族、兎族から各2名の女性が地球の広い範囲で試験的に過ごすことになった。
カーツたちの魔法で耳とかは隠している。
9人は旅行客として日本で過ごすことになった。地球人である俺も同行する。
地球上での生活に各種族が耐えられるかの検証で行くのが主目的だが、地球の風習も体験してもらう。
旅の様子は録画され、誰でも見られるようにしている。
うら若いオトメたちなので恥をかかせないようにエスコートするのが俺の役目だ。
彼女たちのレポート…というか旅日記(動画)を見た結果、地球との国交については意見が真っ二つに分かれた。
文明のレベルは遥かに地球が下だ。食文化、サブカルチャーなど面白いものもたくさんあり、それらに興味を示す者は多い。
彼らは国交樹立に好意的だ。
だが、あまりにも大きい文明レベルの差が地球に混乱を招かないか。
宇宙に進出したとたんに暴走し太陽系内の資源等を採りつくしたりしないか。
地球の戦乱の歴史と統一政府すらできていない現状を知る者は国交樹立に慎重だ。
だが、魚どもの脅威がある以上、国防の事だけでも地球との国交は必要だ。
もともと地球との交易は考えており、どんな商品を売るかも考えている。
すでに何度か地球に戻り、家族とも会った。
会社を辞め、起業したという形をとって日本に拠点となる会社を作った。
そこに獣人やサーカ、トークォ人を働かせて引き続き地球文化を学ばせている。
さて、国交をどうするか決まらないまま時は流れ…。
事態が急変した。
魚たちの大艦隊が太陽系に向かっている、とサーカから急報が入ったのだ。
「なんでこっちに?」
みんなの疑問ももっともだ……が。
「そのためにやたらと俺を英雄だの戦争の天才だのと持ち上げたんだろ。わざわざ『地球の』ってつけてね。」
こうなると地球も危ない。早急に軍事力を増強しないと。そうなると日本だけでなく全世界の協力が必要だ。
最初は極秘に降下して、日本政府と接触、根回しの上、地球デビュー……。そう思っていたころが、俺にもありました。
スクランブルとかされても面倒なので、レーダー遮断、可視光、音波遮断などなど完全ステルス状態で降下することにした。
あと、他国が過剰反応して核ミサイルとか撃ってきたら大変なんで、ドラゴン4姉妹指揮下の部隊を先行降下させ、日本全域に魔法結界と対空防御兵器網を設置した。
まぁ、トラの尾を踏むような行為をする国があるとは思えないが、念のためだ。
日本の制空圏に入ったところでステルスを解除。数百隻の宇宙戦艦が突然、東京上空に出現した。
飛行看板からはMSとキョーバが発進し、艦の上空を警備している。
地上は大パニック……とはならなかった。あまりにも現実離れした光景なので、CGか何かによる特殊イベントとでも思ったのだろう。
まぁ自衛隊や警察は当然、出張ってきたが。
自分の立体映像を空に映し出し、マイクをとった。
「銀河共和国最高評議会議長、矢上利一です。我々は敵ではない。地球は、狙われている!」
空に蒼い流星ならぬ、全長五百m以上の白銀の巨艦群に制空権をとられた以上、日本政府は会談に応じるしかない。
首相はじめ関係大臣、自衛隊の首脳陣。そしてアメリカの関係者も列席している。
こちらの要求は簡単だ。技術を提供するから、銀河魔法帝国との戦争に参加せよ。
それだけだ。
否応なしだ。
こちらの要求に応じなければ大気圏外飛行もままならない地球は滅びるしかないのだから。
政治的な交渉はメーダ達官僚を中心に行われた。
話は国連にも持ち込まれ、全世界体制での軍が編成されることになった。
この際、結ばれたのは軍事同盟だけだった。修好通商条約については双方が慎重だったため…。
全世界の協力の下、宇宙軍の創設が始まった。
宇宙戦艦の建造は既存の造船所を利用して行われた。
無論、MSやパワードスーツなどを使った新工法を取り入れたが、ドック自体の形から艦の形状は宇宙戦艦ヤ〇トみたいな形状のものばかりになった。
宙に浮く巨艦となれば高度な建造技術が要求されるのだが、アーザ達ドラゴン族による強化魔法が施されることにより簡単な工法で建造、量産が可能となった。
さらには魔法防御も施され、地球製の装甲でもビーム攻撃や多少の魔法攻撃ならなんとかできる。
しかも術者からの魔法で必要に応じて効果を代えられるとか。
魔法力は乗組員から少しずつ分けてもらう形になる。
あわせて敵の闘魚対策の新兵器の開発も進めた。ノージとビースが主となり、接近格闘戦の武器を開発。キョーバやMSに装備していく。
ミサイルと主砲の実体弾の改良も進めているようだ。忙しすぎて内容を聞く暇もないが、信頼して任せている。
地球には、キョーバの量産を手伝ってもらった。
うちのキョーバは重力制御装置付きで大気圏突入能力もあるが、地球製のものはそれらを省略し、宇宙空間専用の機体とした。技術供与を拒んだという訳ではなく、まずは数を作ろうとしたためだ。
もっともワープエンジンや重力制御装置は地球では建造できないので、俺たちで作るしかない。しかも、破星砲発射システムも量産しなければならない。工場はフル稼働だ。
ヨーダ大将にも応援を依頼した。魚たちがサーカにも来るかもしれないから多くの軍は割けないが、援軍の派遣も約束してくれた。
ワープエンジンも大量に送ってくれた。
「貸しにしておきますので。」
「揉み手なんてどこで覚えたんですか?」
これほどの数のワープエンジン…。たぶん、魚野郎どもの襲来を予想して作っていたのだろう。
サーカ方面に来るか、地球方面に来るか?
確率的には間違いなくサーカ方面だったのを覆したのが「黒髪の大提督」の名声だ。それを煽ったのは間違いなく彼女だ。
遠慮なくエンジンは受け取ることにした。
半年後。
艦数は七千隻に届いた。うち破星砲装備艦は四千。
破星砲発射システムは七百。改良され連射も可能になっている。
サーカ、トークォの艦隊も地球へ集結する予定だ。
おそらく総数2万隻にはなるだろう。
それでも敵がどれだけ来るか分からないのだから、不安はぬぐえない。
「もう一つ、手は考えているよ。」
英雄として持ち上げられた結果、魚たちの艦隊が太陽系へ。
ヨーダ大将はやっぱり狙ってやっていたんだろうけど。
地球へ全艦隊が集結した。
だが、おそらく前以上の大軍で来るはず。
軍備の増強は間に合うのか?敵艦隊に前の戦法が通じるのか?
次回「決戦」




