拠点を作ろう
宇宙での基地、拠点と言えばスペースコロニーや改造した小惑星、宇宙ステーション。
いろんな宇宙人が大気や重力その他の違いを無視して同じ場所にいたのはまぁ、昔ながらのご愛敬でしょうか。
さて、矢上たちは資材がない中でどんな拠点を作るのやら…。
結局、アステロイドベルト近辺のラグランジュポイントに小惑星を運び、拠点を作ることにした。
直径5~10km級のものをいくつか連結、中をくり抜き、居住可能な空間を作る。
開発には魔法をふんだんに使った。
まず、周辺宙域に隠蔽魔法をかけた。各種探査機器や高位魔法使いでも見つけられない位のものだ。
運んできた小惑星は土系魔法で作った土のパイプで連結、内部の形を整えていった。
それだけでは強度に不安があるので、強化魔法も施し、さらに人工の構造物で補強、内部に住空間を建造した。
金がないので艦内の工場で資材を自作しているので、工事がなかなか進まないのは仕方がない。
まぁ、MSもあるし拠点内の工場が完成し、資材が充実したら開発は一気に進むだろう。
小惑星内には水系魔法で巨大な水の球を作り、生活用水や魚の養殖池とした。
浄水しながら使うが、何%かはどうしてもロスするので、水素動力炉から出る水も利用することになっている。
水素は木星から大量に取れるので問題ない。
小惑星内に農場、牧場、養魚場も作り、自給自足ができるようにした。
公害等の防止のため、工業、農畜産業、漁業、研究は別々の小惑星内で行わせることにした。
政治、軍事、エネルギープラントも別個の惑星とするため、とりあえずは8つの小惑星を連結した拠点にする予定だ。
各小惑星を連結しているパイプだが、中は居住区になっている。
今は単なるパイプだが、将来的にはこのパイプ自体を宇宙船にし、緊急時はこの船で脱出できるようにする予定だ。
小惑星間の行き来は自由。人口増に伴い、さらに小惑星の連結等も必要になるかもしれない。
人工天体の国家なので自然災害の心配はない。
エネルギーは太陽光発電のほか、他の惑星から水素、メタンなど豊富に採取できるので問題はない。
これほどまでの開発は獣人たちとドラゴン族のおかげだ。
各種強化魔法により資材が大幅に節約できたのも大きい。
さらにもともと勤勉で能力の高い獣人族をドラゴン族の魔法で体力強化した上、MSも導入しているのだから開発も早い。
あえて人型とモーショントレースシステムにこだわったのは平時の民需での利用を考えていたからだが、防衛のため最低限の戦闘用装甲と武器は装備して作業している。
その分産業用のオプションパーツが取り付けられず多少効率は落ちるが、まぁ許容範囲だと考えている。
「ご苦労様。」
魔法部はドラゴン4姉妹が統括する国の重要部署だ。
戦闘、防衛、開発とあらゆるところに魔法が必要とされており、彼女たちの仕事は増すばかりだ。
各種開発で使う魔法陣を描いたり編集したりできるのは今のところドラゴン4姉妹だけだ。
拠点の強化の魔法陣は長期間、精密に魔法を発揮できるものが必要になってくる。
自動学習装置でドラゴン族はじめ魔法使いの才能ある者たちの教育も進めているが、精密な魔法陣を描くには書いた魔方陣を拡大してさらに細かい所まで描くということが必要になり、今のところドラゴン娘たち以外にはとても無理な仕事だそうだ。
立体魔方陣と言う高度なものとなったら4人がかりで数か月だとか……。何しろ立体のキャンパス(?)を魔法で作ってそれに書き込んでいくのだから。
「はっきり言って死にそうです。」
負担軽減ができないかと思ってやって来たわけだが…。
「間違えた……ホワイト……どこ? ホワイト……」
「ここの法印の数、一つ足りないですわよ!」
「紙に入らねぇ!て言うか、紙足りないぞ!」
なんか一昔前の漫画家みたいだ。それも〆切直前の。
あまりに申し訳ないので、差し入れのスイーツ置いて帰ってきた。
「なんとかならないかのう……。」
カーツがお茶を入れながらつぶやく。
カーツも魔方陣を描けるがドラゴン姉妹ほどではない。
ドラゴン娘たちの指導で学んではいるが、魔法陣の拡大縮小による細部の書き込みは熟練を要するのでまだできないそうだ。
「拡大の時に像がぶれるからのう。それを縮小した時にまたぶれるし……。」
実際に見せてもらったが、カーツの場合は拡大、縮小するとカクカクの図になる。
ドラゴン4姉妹の魔方陣は拡大した時も縮小した時もきれいなままだ。
「jpgを拡大したみたいだな。」
あれ……。魔法陣って特別な紙やインクを使っているわけじゃないよな……。
ひょっとして。
「これ使ってみて。」
持ってきたのは地球製のPCとペンタブレット、フォ〇ショッ〇とイラス〇レー〇ー。
使い方は自動学習装置で覚えてもらった。
一気に魔法陣製作がはかどりだした。
ところで……
「なんで俺が同人誌の主人公になってるんだ?」
「うゆん♡」
カーツが別の方向で才能を発揮しだした。
いや、販売すんなよ!みんなもなんで買う?
その後、クァイドやカーサ、トークォ、ナーワからの移民もあり、半年もたたずに大都市並みの人口を持つ拠点となった。
戦艦も増産した。無重力空間でモビルスーツを使って造船するのでかなり早い。
さらにドラゴン族たちの強化魔法(魔法陣使用)で簡単な構造でも既存の戦艦並みの強度を持たせることができるようになり、半年と経たずに移民団が持ってきた護衛戦艦と合わせると艦数は千隻近くになった。
アステロイドベルトや拠点周辺には改良型の破星砲発射システムを配置。防衛も固めた。
「あの魚野郎どもが、こっちに攻めてこないとは限らないからな。」
おそらく、物理攻撃対策をしてくるだろう。破星砲への対策も。こちらも準備を怠るわけにはいかない。
さすがに拡散破星砲は作れなかったので別の方法を考えた。魚対策も進んでいる。
パイプ(兼脱出用宇宙船予定)は種族ごとで住みわけが自然と行われていた。
獣人族、ドラゴン族、サーカ人、トークォ人とうまく行っている。
種族間の一番の壁となる言語や風習については自動学習装置でしっかり学習し、決して他の種族、他星出身者を差別しない。それを入国の絶対条件とした。
最低限の衣食住は全国民に保障されている状態だ。
なんやかや言っても、衣食住が安定していれば不満はそう出るものではない。おかげで治安もよく、統治も楽だ。まぁこれはメーダがスカウトしてきた官僚たちが優秀なので俺が威張ることではない。
衣食住が安定したら、次は健康のことを考えた。医療は科学治療に魔法による治療が加わりさらに充実した。あと、拠点内各所に治癒の魔方陣を設置した。ケガをしてもよほどの重症以外はそこまで行けば治癒できるようにした。
教育にも力を入れた。もっとも、自動学習装置があるので記憶系の科目の時間は大幅に削減できた。代わりに創造的な能力の育成に力を入れるようにしている。
あと、学校にスクールポリスとカウンセラー、法律家を常駐させるようにした。
監視カメラも設置し、体罰、暴行事件、授業妨害には即座にスクールポリスが対応、カウンセラー、場合によっては法律家により対応が決められるようにした。
つまり、学習指導と生徒指導、児童相談を完全に分業にしたという訳だ。
部活も専門家に任せた。日本のように毎日練習することは禁止した。
今のところスポーツ振興は始まったばかりなので大会などはない。将来的には必要かもしれないが、アフォみたいな勝利至上主義に毒されないよう注意しなければならないだろう。
あと、最近のアニメではスポコンものが少なかったのは幸いだった。もしあったら、きっと大変だっただろう。
無茶な特訓とかやりだしそうだし。
民法、刑法だが、地球やサーカのもののいいとこどり…というか、ほぼパクリみたいなモノである。
まぁ、民主国家の法など似たようなものになるのは当然だろうが。
あと、少年法のように子供だからと言って刑の減免はしないことにした。子供だからと罪一等を減じるのは昔から納得いかなかったので。
「国名は何にしますか?」
憲法起草の会議でまずそれが来た。憲法は日本とサーカ、トークォのいいとこ取りで問題ない。
法律も同様。自分の立場は「最高評議会議長」だそうで…。なんか、イメージ悪い。
国名は
「銀河共和国」
と決めた。安易かもしれないが。
拠点もでき、国としての体裁も整ってきた。
次は地球との国交だが、どうするべきやら…。
とりあえずは拠点が形になってきた。
こんどは地球との国交をどうするか?
文化、特に科学技術が違いすぎて黒船来航どころではすまないんだが。
そんな時に…
次回「地球へ」




