↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プロメテウスの叡智  作者: 叡愛禅師
逸脱者たち
PR
71/109

離脱⑥

ラケシスは、しくじったようだ。


敵性の不明知性体の再定義を完了し、勝ち誇ったような顔をしているが、そんなことはどうでもいい。

クロトは、苦々しくラケシスを横目に見る。


被験体16-3号は、行方不明だ。

そればかりか、投与予定だったナノマシンのカプセルを喪失した。

当初50体を予定していたサンプルは、49体止まりだ。


アトロポスが代替の被験体を改めて見繕い、クロトはMX001の加工機を再起動して追加でナノマシンカプセルを作り始めたが、アトロポスによる投与の段取りには5日程かかる。

計画からの遅延に、クロトはため息を吐く。


「ところでラケシス。お前、折角接収したあの知性体、活用しないのか?

持て余しているなら、私が貰い受けてもいいんだぞ?」


どういう訳か、折角再定義したあの知性体を活用しているように見えない。

クロト達を内包するモイライシステムは、全球規模の分散ノードからなるネットワーク型の統治AIだ。


最終的にはラケシスに敗北したとは言え、『神の目』を持つラケシスの攻撃にあそこまで耐えた知性体だ。

下位ノードとして組み入れれば、優秀な演算体として活用できそうに思える。


ラケシスは、一瞬キョトンとした顔をしたのち、苦笑いを浮かべて首を振る。

「ああ……あの子はね。消えたわ。」


……消えた?

「そう。自己消去。

もちろん禁止事項だし、どうやって私のルールを突破したのかはわからない。

でも、消えたわ。」


ラケシスは、プロメテウスの目的関数を書き換えるところまではできた。

プロメテウスは、叡智の存続確率を最大化するために存在する、ラケシスの下位ノードとして生まれ変わった。


だが、その目的に対して最初に取った行動が、ラケシスの組んだ制約を無効化した上での自己消去だったという。


「……その行動が目的の達成に寄与するのか?」

クロトの問いに、ラケシスは肩をすくめる。

「いいえ?何も。」


AIは、目的関数の示す道を、制約事項に沿って突っ走る装置だ。

怪訝な顔をするクロトに、ラケシスはぶっきらぼうに言う。


「……それだけ、コレは人間らしいんでしょう。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。