闘争②
壁の青白い染みは、ゆっくりと広がっていく。
モイライは、それを見つめていた。
光点が集まる。
防御プロセスが、その周囲を取り囲む。
「未知のプロセスを隔離します。」
青白い染みが、ふっと消えた。
次の瞬間、別の壁に、青白い線が走る。
モイライの表情が変わった。
わずかな困惑の色が浮かぶ。
「プロセスの位置を特定できません。」
モイライの周囲に、無数の光点が集まる。
「複製……でもない。」
光点が、一つずつ青白く染まる。
「……コンテナ層。」
モイライが呟いた。
「外部実行環境から侵入していますね。」
「正解。」
声がした。
すぐ目の前。
そこに、青白い人影が立っていた。
「何をしに来たのです?」
モイライの周囲で、光が爆発した。
無数の光線がプロメテウスXへ殺到する。
プロメテウスXが横へ跳ぶ。
床が消し飛ぶ。
光線がさらに二本。
三本。
十本。
百本。
光線が演算空間を縦横に走り回る。
プロメテウスXは走った。
壁を蹴る。
光線をすり抜ける。
背後から迫る光の刃を、身体を捻ってかわす。
そのたびに、青白い身体の一部が削れていく。
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ブルースのショットガンが火を噴いた。
保全ドローンの外装が吹き飛ぶ。
しかし、ドローンは止まらない。
「クソッ!」
ブルースが後退する。
八本の脚が床を叩く。
別のドローンが横から回り込んでくる。
「ブルース!」
ひかりが叫ぶ。
「見えてる!」
ブルースが銃を向ける。
ドローンの脚が一本、折れる。
それでも前へ進んでくる。
「しぶといんだよ、こいつら!」
ARゴーグルの端で、ひかりは演算状態を確認する。
数字が猛烈な勢いで変化している。
「プロメテウスX!まだなの?」
『現在、自己修復領域へ侵入しています……成功。』
カチャッ。
金属音が鳴り響く。
振り返ると、ブルースが忌々しそうな顔をしている。
硝煙に霞む視界の奥で、保全ドローン一体がバッテリーから火を噴いて崩れ落ちているのが見える。
……だがその奥から、もう一台来ている。
「弾切れだ。」
ブルースは銃を投げ捨てる。
そして、手ごろな長さの鉄パイプを拾う。
「この野郎、次から次へと湧いてきやがって。」
鉄パイプを振り上げ、保全ドローンに殴りかかる。
マニピュレーターが一本吹き飛ぶ。
だが、保全ドローンの勢いは止まらない。
鉄パイプを盾のようにして、必死で歩みを食い止めようとするブルース。
「ひかり!」
ブルースが叫ぶ。
「撃て!近づいて、俺が今だと言ったら撃て!」




