視点K 事後報告
12月31日。大晦日という日にも私は資料を整理している。ま、これも仕事のうちだから仕方ない。
あの件から数日が経ったが、色々新しい情報を手に入れたのでまとめなければならない。
まず初めに、戸中潔君の母親である戸中真由美が殺人の容疑で逮捕された。被害者は、
戸中潔君だ。死因は凍死。
死亡推定時刻は12月28日の午前4時。戸中家のベランダで遺体は発見された。
そもそも戸中家自体が普通ではなかった。約1年前に夫である尾瀬 麻義が失踪し行方不明に。警察による捜査も打ち切られ、祖父母をつてに最玉に引っ越したのが2017年の9月。
しかしここから母親である真由美に問題が生じた。夫を失ったことから気が狂ったのか、男との夜遊びに走り、育児放棄をするようになった。終いには潔君の保育園への送り迎えさえも怠るようになり、暴力的にもなっていたという。遺体には死因とは関係無いがあちこちに殴られた跡があり、特に右腕には出血していたことがわかるほど母親からの暴行を受けていたという。
犯行当日。戸中真由美は潔君に暴力行為を行ったあと、しつけとしてベランダに締め出し鍵をかけ放置。その後3人目の男を家に呼び、朝まで色々な時間を過ごしていたということだ。ちなみに男には子供のことは黙っていたという。
このことを六ノ宮君は伝えるべきだろうか?この事実があるということは、あのとき六ノ宮君が潔君のことをどうするか悩んでいた時点であの子は死んでいたことになる。どうするべきか。私は1枚の写真を見る。
「切山さん、どうしたんですか?その写真。」
同じ署の部下が声をかけてきた。最近彼にも彼女ができたらしいが、こんな時期に手伝いを求めてしまい申し訳ない。
「この写真はな、この前の最玉での事件現場で発見された写真なんだが・・・」
「そうですか。このころはこの家族も幸せで溢れていたでしょうに・・・。」
「いつしか、子供だけになったんだな。」
2016年のクリスマスの戸中家の写真だ。みんな幸せな顔をしている。特に真ん中の潔君がそうだ。クリスマスプレゼントが入っていると思われる大きな箱を大事そうに抱えながら満面な笑みを浮かべていた。
第9章 ー完-




