視点R 命
翌日12月28日。午前中、僕はあの子に会った公園のベンチに座っていた。昨日と違う点は切山刑事も一緒ということだ。
「・・・ツクモって、『捨てられたもの』に怨念が宿るんですよね?」
切山刑事は返事をしない。
「その『もの』って『人』もあり得ますか?」
「過去に事例無いが。でも安心しろ、もし跡形もなく倒してしまったとしても、君を殺人罪で逮捕はしない。現に被害が出ているんだ、むしろ周りからは敵を倒した英雄として・・・」
「そういう問題じゃないんです!」
「・・・」
「あの子、戸中潔君なんですよね?見つかったんですか?」
「いや、他の警察官の協力で人員を増やして捜索しているが、見つかってはいない。」
「人の場合は、倒したら元に戻るとか、そういうことはないんでしょうか?」
「さあ、ただ考えてほしい。アルマジロを倒したとき、周囲にガラスの破片は散らばっていたか?」
「・・・いいえ、チリひとつ残らず消滅してました。」
今までのツクモは倒したとき、宿っていたと思われるものが形として残ったことはない。もし、潔君があのトナカイのツクモならば、倒したとき僕はーーー。
人殺しになってしまう。
僕の夢は幼稚園の先生だ。子供を守る仕事を目指す人が、未来ある子供の命を奪うなんて。僕にはーーー。
「どうしても、倒さなきゃいけませんか。他の方法はないんですか?」
「私もできれば「捕獲」とかにしときたいが、今の技術じゃ無理だ。君には非常に酷だが倒してもらいたい。」
「少し・・・考えさせてください。」
あの子の命を助けるには。どうすれば。
考えがまとまらないまま、夜を迎えた。




