視点R マフラー
翌日(といっても徹夜明け)。再び戸中家を訪れるも留守だった。泊りがけの旅行なのか?昨晩被害を受けたのはまたしても小宮保育園に通う男の子だった。
手がかりが増えないまま昼ご飯の時間になった。切山刑事がコンビニで色々買って来るらしいので「なんでもいいです」といって任せ雑誌コーナーで漫画の立ち読みをしていた。
すると1つ気になるものを見つけた。雑誌のコーナーからコンビニの向かいにある公園が見渡せるのだが、男の子が独りぼっちでベンチに座っている。
(・・・)
外は寒いが、一度気になってしまっては仕方がない。切山刑事も何か迷ってるし公園の方に重い足を運ぶ。恐る恐る声をかけてみる。
「僕、こんなところで一体何をしてるの?」
「・・・待ってるの。」
「何を待ってるの?」
「・・・サンタさん。」
「サンタさん?でももう27日だよ。さすがに・・・」
この子の親は何してんの?こんな寒空にー
「サンタさん、来ないの?僕いいこにしてたのに・・・」
男の子が今にも泣きそうになる。あ、しまった。
「あーごめんごめん。いい子にしてたならサンタさんが来ない訳ないよねー。えー、えーっと、そうだなー。あ、あれだよ。おくれんぼう なんだよ、きっと。」
「おく、れんぼう?」
「うん、ほら、あわてんぼうの♪サンタクロース♪クリスマス前ーにーやってきた♪。って歌があるでしょ?あわてんぼうのサンタがいるなら怠け者の、おくれんぼうのサンタだっているよ。」
「ほんと?」
「ほんとだよ!僕のところなんかお正月に届いてたからね!イベント1個ずれてるやないかい!なーんてこともあったり?」
口から出まかせが出てしまった。
「そうなんだ。うん。サンタが来ない訳ないよね。」
「うん、きっとくるよ!」
そんな会話をしていると男の子の手に目が行った。
「あれ?君その腕どうしたん?ちょっとごめんね・・・。」
長袖から何やら赤いものが垂れているのが見える。僕は男の子の右袖をまくる。
「わ!怪我してるじゃん!大丈夫?」
「うん。まあ、ちょっと痛いかも。」
「だめでしょー、ここからばい菌入ってくるけん、手当はしとかんとー。」
僕は迷った挙句首に巻いていたマフラーを取り右腕に縛る。
「おうちに帰ったら、ちゃんと親に手当してもらうんよ?あんまり危険な遊びはやめてね?」
「うん。このマフラー、いいの?」
「あーいいよいいよ、それくらい。」
100均だし、使い物にならないし。
「これって、お兄さんからのクリスマスプレゼントってことでいいの?」
「え?まー、そういうことにしとこう!ところで君、名前はなんていうの?」
「尾瀬・・・潔」
イサギ?あの不登校の子と同じ名前だな。顔も先生に見せてもらった写真に似ている気が・・気が
「お兄さんありがとう!メリークリスマス!」
「え、あーメリークリスマス!」
男の子はやや明るい声で公園を去っていった。
「真白君、なんで公園にいるんだい?はいこれ、牛乳とアンパン。」
イサギ君と入れ替わるように切山刑事が来た。
「ありがとうございます。」
あんなに迷ってたのに結局ベタなのチョイスしたのか。
「・・・メロンパンねーのかよ。」
「ん?」
「!いや、なんでもないです。」
また勝手に口が動いてしまった。そんなに食べたかったら予めリクエストしといてよ・・・。




