視点R オヤスミナサイ
話はいきなり戦闘シーンから始まる。三崎さんからの連絡を3人が受け駆け付けたのは渋矢メインストリート。クリスマスを目前に控えた12月23日。大勢のカップルや夫婦で賑わう中、ツクモが現れた。
「あなた!どうしちゃったの!速く起きて!」
「ケンちゃん?どうしたの、ねぇ起きてよー。」
女性たちが最愛の男性に声をかけるが起きる様子は全くない。
「白雪姫症候群ってやつ、あんたの仕業か?」
「そーだよー。見ての通りさー。」
そのツクモはコミュニケーションが取れるようだ。というか、前に一度会ったことがある。
「改めましてー。僕の名前はフートだよー。布団に怨念が宿ったツクモだからフートっていうんだよー。前にいた7体の内の1体だから覚えてる人もいるのかなー?」
布団か。確かに容姿はもふもふとしてるし。なんなら布団を羽織っているように見える。浅はかな女子なら「かわいい」って言言いそうだ
「もう自分語りはいい?被害が相次いでんの。さっさと倒させてもらうわ!」
そういって槍で切りかかったのは流瑠さんだ。その槍は炎を纏う。しかし、フートはふわりふわりと連撃を避ける。
「おぉー。凄い攻撃だねー。確かに僕の弱点はー火だけどー、当たるわけにはいかないからー、素直に避けさせてもらうねー。」
「こいつ、口調も動きもフワフワと・・・。」
「落ち着け陽川。」
「おい、フート。なんで男だけを眠らせる?」
冷静に話に割って入ったのは風也くんとレッジさんだ。
「えー、そういうのはあんまりー言いたくないんだけどー、ま、別にいいかー。理由はねー、ちょっと不完全だからだよー。」
「不完全?」
「元々は男女関係なく眠らせれたんだけどねー。1回倒されて、また新しい体をもらったときになんでか女性を眠らせることができなくなったんだよねー。おかげで変な病名がつけられたけどねー。」
「じゃ、私はあんたの術に関係なく叩けるってわけね。」
「いや待ってください、流瑠さん。嘘の可能性もあります。慎重にいかないと。」
僕は流瑠さんの発言に対して注意を促す。
(自分も眠らせれるわけにはいかないし迂闊に近づけないな。それなら、)
僕はお仕事手袋を取り出した。この前作った新作だ。
「お、お前また作ったのか?俺も西条さんからクリスマスプレゼントもらったが。」
風也君も手袋を取り出した。手袋には野球のグローブとバットが描かれている。
(あれ?全く一緒だ。)
自分が作った手袋も野球だ。柄は少々差異があるけど。でもこれって「合わせ技」ができるってこと?
「よし、同時攻撃、行こう!」
両者手袋をはめる。風也君にはバットとボールが。自分には目の前にピッチングマシンが現れた。
「ピッチングマシンは職業じゃないだろ?」
「ま、でもでちゃったから・・・」
風也君でバットで高速な打球を一定間隔で、自分はマシンから緩急のついたボールを連足でフートにぶつけに行こうとする。
「へー、鋭いものから緩いものまでー。厄介だねー。でも、避けちゃうよー。」
フートはふわりと軽やかに、まるで牛若丸のように飛び交うボールを避けていく。
「と見せかけて―ー-」
(消えた!)
さっきまでボールを避けていたフートがいない。どこへ?瞬間移動でもできるのか?
後ろか。右か。左か?それとも・・・。
「上だ!」
風也君の大声で上を見上げる。直ぐ上にフートがいた。
「じゃー君からおやすみしてもらうかなー」
まずい、避けれない。このままだと眠らされる。そう思ったとき、横から強い衝撃が走る。何も抵抗できないまま、地面に叩きつけられた。横たわったまま上を見ると攻撃を食らっている風也君を視認できた。
(まさか、かばってくれた?)
次の瞬間、流瑠さんがフォローに入る。応戦してる間に風也君のもとに駆け寄る。
「風也君!」
「風也!目を覚ますんだ!」
自分とレッジさんで声をかけるが応答がない。静かに寝息を立てている。
「どうあがいてもー起きないよー。一人につき一回。僕の術にかかった人は永遠に目を覚ますことはーないよー。あ、でも僕を倒したら起きるよー。倒せるかどうかはー別問題だけどねー。」
フートは流瑠さんの攻撃を避けながらこちらを煽ってくる。
「倒せばいいんでしょ!倒せば!」
「おぉー怖い。女性って怒らせるとやばいもんねー、眠らせれないのはホントーに残念。でも君しつこいなー。ここは一旦退却かなー。」
フートは大きく後退する。
「じゃあーねー。」
別れの挨拶をした後、フートは姿を消した。
「おい!逃げるな!アイツは、私がケリをつけないといけないのに・・・」
こうしてフートとの初戦は一人が戦闘不能になる結末となった。
お仕事手袋の違い。
お仕事手袋とは本来は職業の力が込められており。国内唯一の職人である西条が作るものは正当に力が作用する。(例、ボクシングなら格闘技術の向上。野球ならバッティングによる攻撃)
しかし真白が自作するものはそれに当てはまらない。猫やじゃんけんなど、そもそも職業ではない。さらに同じ野球でもピッチングマシンと人間が直接関与しないものが出現するなど枠にとらわれない仕様になっている。




