97 みんな、お人好しすぎ
サリのこと。
謎よね。
お父さんが種明かしをしてくれたけど。
ハワードが時間を遡ってセオジュンとしてこちらの次元に戻ってきた。
そしてレイチェルを救ってくれと依頼した。
その時、サリも助けてくれって頼んだのかしら。
なぜ?
もうハワードはこの世にいない。
セオジュンとなり、ベータディメンジョンの池の底で眠っている……。
アヤは、この疑問には意味がないと分かっていた。
しかし、時々、胸の中から取り出してみずにいられなかった。
サリは親友を殺そうとした張本人だから。
確かに、アンドロに意識をコントロールされて、あんなことをしでかした。罪はないのかもしれない。
とはいえ、簡単に赦す、という気持ちにはなれなかった。
少なくとも私は。
みんな、お人好しすぎやしない?
レイチェルの気持ちはわかる。
自分の恋人探しのために作ったクローン。
ンドペキを見つけた暁には、レイチェル自身がサリを造り変えようとしていた、つまりサリの人格を殺そうとしていたのだから。
彼女はそれをとても悔いている。
サリの罪は、結局は自分の罪だったんじゃないか、とさえ考えている。
でも、同じ目的で作られたチョットマは、レイチェルを心から信奉しているし、サリに対しても以前のような関係に戻りたいと、一生懸命、話しかけている。
そこに、憎しみの欠片もない。
お父さんにしてもスジーウォンにしても、誰もがサリを赦している。
ようには見える。少なくとも表向き、は。
私は、違う。




