89 本当は、雲の上の人だったりして
ねえ、パパ。
大好きなのよ。
昔と同じように、今も。ホントに。
でも、なぜだろう。
どこか違う気がする。
私が少しだけ大人になったから?
パパがフライングアイじゃなくなって、普通の人の姿になり、その姿がコンフェッションボックスで会っていた姿とかけ離れていたから?
パパがレイチェルに言われた仕事に精を出しているから?
この普通じゃない街で、息が詰まる生活をしているから?
以前のようにパパの話を聞く時間が少なくなったから?
ううん。
それは違うよね。
私が話を聞かせて欲しいと言えばいいことなんだから。
ねえ、アヤちゃんはどう思ってる?
アヤちゃんもこんな気持ちになったことある?
それにしても、アヤちゃんって、すごいよね。
片足を失ったのに、そんなことなかったかのように、頑張ってる。
サリとは違う雰囲気だけど、私にとって大切なお姉さん……。
もしかすると私が一番尊敬しているのは、アヤちゃんだったりして。
私の家族って、ほんと、すごい人ばかり。
ママは大昔、光の柱の守り人だったっていうし、スパイとして神の国巡礼教団に潜り込んで宇宙に旅立ったんだって。
パリサイドの中では軍の中枢にいたし、何よりすごいのはアギになったパパを見つけ出したんだもの。
この広い地球で、しかもアギのパパを。
いったい、どうやって?
私がママって呼ぶことに、不自然な感じはしてない?
本当は、雲の上の人だったりして。
すごすぎるよ。
スゥは口数は多くないけど、ンドペキを見るときの瞳の色が明らかに違う。
もう、私、嫉妬なんかしていないよ。きっと。
彼女のすごいところは、ライラおばあさんは自分を超える弟子だと言ってたし、あの洞窟があればこそ、攻撃隊もレイチェルも、私も含めて生き延びたと言えるんじゃないかな。
もしかすると荒地軍との戦い、そしてアンドロとの戦いにおいて、最大の功労者かも。
スゥはそんなことを自慢することもないし、なんにもお礼なんて求めないし。
そしてエーエージーエスに飛び込んでアヤちゃんを救い出した。
オーエンがその気なら瞬殺されてもおかしくないところだったのに。
普通、そんなことできないよ。
ん?
できるのかな。
大切な人のためだったら。




