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74 スミヨシ係留地

 事実、宇宙船スミヨシにいつまでも居住するわけにもいかなかった。

 太陽フレアは今は小康状態を保っている。しかし、宇宙規模の現象がわずか三年で収まることはない。

 通常、百年、千年単位以上のスパンで変動する。いつ何時、またもや地球を逃げ出さなくてはならないとも限らない。


 宇宙船スミヨシはその時のために、常に宇宙に飛び出せる状態を保っておかねばならない。

 人が船内に永住するとなると、仮想の街に頼りきるわけにもいかず、かといって物資を大量に持ち込むとなると、様々な汚染に晒されることを覚悟しなくてはならない。

 やはり、人は星に、どこかの街に住まねばならないのだった。



 今日の議題は事前に知らされていた。

 今の名をファームと呼ぶ宇宙船スミヨシを、あのまま海の底に沈めておいていいものかどうか、である。


 レイチェルの意向ははっきりしている。

 あの巨大船をこの避難フロアの真上に。

 つまり、ニューキーツの街に。


 ニュキーツの街より、宇宙船スミヨシの方がはるかに巨大である。

 空中に浮かべておくことも可能だが無用なエネルギーを要する。

 しかし宇宙船を地上に据えれば、ニューキーツの街はその船体の下で押し潰されてしまう。



 レイチェルは言った。


 心が痛くないかと言えば、嘘になります。私が住んだ街だし、皆さんが暮らした街ですから。

 しかし、もうそんな感傷的なことを言っている状況じゃないと思うんです。

 少しでも今の暮らしが便利になり、消費するエネルギーを削減出来るのであれば。

 現在の状況は、あと何百年続くか分らないんです。

 宇宙船スミヨシのエネルギーも無限ではありません。


 だから、その案の採決を取りたいというのだった。

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