7 故郷の星 人が住める場所
パリサイド星域において、古代宇宙生命体ロームスを、ベータディメンジョンのエネルギーを解放することによって粉砕し、地球に帰還した人類。
そもそも、太陽フレアの極大化によって人の住めない星となった地球を諦め、宇宙の遥か彼方パリサイドに移住しようとした人類だった。
しかし、パリサイドの市長アイーナがもくろんだベータディメンジョンへの移住。
そしてロームスを神と崇める集団との戦い。
加えて三百年後の世界から来たオーエンらの対ロームス作戦に、図らずも巻き込まれ、こうしてまた青い惑星に戻ってきたのだった。
この故郷の星に人が住める場所はただひとつ。
北アメリカ大陸中央部、カリブ海に面した都市ニューキーツの下層に広がるかつての街サントノーレ、そのまた地下深くに用意されていた避難フロア。
レイチェル率いる一万五千ばかりの人類がここに辿り着いたとき、すでに人の姿はなかった。
洞窟内や通路に白骨が散らばるだけの地下エリアに、街灯だけが白々と灯っていたのだった。
そしてパリサイドから帰還した人類最後の生き残りは、避難フロアよりさらに深部、この岩盤の中に潜ってきたのだった。
「まだ早いのかな。選挙は」
「まだ二年やからね。それほどみんな、落ち着いたとは言えへんし」
「でも、今やからこそ、必要。違うかな?」
「まあね。でも、もう何百年も選挙なんてやったことないんやし。みんな、ピンと来ないんとちがう?」
二十一世紀の後半、人類は極度な人口減少に見舞われた。
災害、伝染病、異常気象、そして歪な社会構造。
そういったものが人類に試練を与え、それに耐えきれなかった社会が地球全体を巻き込む大戦へ突入したのだった。
そこで生み出されたのが、人間の再生技術。
マトと呼ばれる肉体を更新していく人々、その子孫であるメルキト。
そして肉体を持たず記憶と思考だけを有する、いわばデジタルの中だけに生息する電脳の存在アギ。
純正種である人間は、数百年間の間に数十人となり、ホメムと呼ばれる彼らが、それぞれの街の長官として一切を取り仕切ってきたのだ。
選挙など、絶えて久しい。




