65 義務のみで縛られた関係ではなかった
元々、こんな集いを持ちたいと思ったのは、家族は六人なんだということを、いつまでも確かめたかったからである。
アヤは娘とはいえ、出会いは京都の山奥の村で起きた殺人事件。
その事件によって父親を殺されたアヤが後に、自分から養女になりたいと、大阪に越してきたのだった。
もちろんイコマとユウは、それを歓迎した。
特に、アヤと出会って、娘を持つことの意味に目覚めた気分でいたイコマは。
そうして、イコマとユウとアヤの三人の暮らしが始まったのだった。
イコマとユウはついに正式に結婚することなく、やがてユウは光の女神などと呼ばれて光の柱の守り人となり、とうとう神の国巡礼教団にスパイとして送り込まれた。
そのままユウとは生き別れになった。
離婚して戻ってきたアヤとはその後も一緒に暮らしていたが、マトとなったアヤは再生を繰り返すうち、共に過ごした日々の記憶を失った。
イコマは一人ぼっちになった。
数百年もの間、電脳の中で二人を思い続けるだけの日々を過ごしてきたのだ。
もう、二人を失いたくない。
寿命が尽きるまで、あと何十年、あるいは何年あるかわからないが、家族という形を死ぬまで続けていきたいと強く願うのだった。
チョットマは、イコマがアギであった時に、政府からあてがわれた娘。
いわゆるマトの相談相手、つまりチョットマの話し相手がイコマだったわけだ。
たまたま。
しかし、チョットマの場合、大方のマトのように、義務のみで縛られた関係ではなかった。
チョットマには過去がない。
死にたいと願ったり、正気を失いつつあるマトではない。
レイチェルのクローンとして生み出されたチョットマは、生まれたばかりのマトとして、イコマを父としてごく自然に受け入れた。
そんなチョットマをイコマも心から愛おしく思った。




