63 後味が悪かった
ボニボニが眉間に皺を寄せて、考え深そうな顔をした。
「イコマさん、タァーレルとのご関係は?」
「私ですか? 知り合いでも何でもありません。分科会で一緒になったというだけです」
「わかりました。で、被害者に個人攻撃されている時の、タァーレルの様子、いかがでした?」
「それまでは自分の主張を懸命に説明しようと頑張っていましたが、あきらめたのか、黙って聞いていました」
タァーレル自身も興奮していたかもしれません。
理不尽なことを一方的に言われているのですから。
眉間に皺をよせ、レイミを見つめていました。
そして首を振ったり、束ねた髪に手をやったりしていました。
その仕草が、レイミをさらにイラつかせたのかもしれません。
イコマは自分の感想を交えて、そう語った。
「なるほど、とても参考になりました」
警察署長は立ち上がり、握手を求めてきた。
「ありがとうございました。お聞きしたいことは以上です。お手間を取らせまして、すみませんでした」
「いえ、なんの」
後味が悪かった。
これでは、まるでタァーレルが犯人だと決めつけたようなものではないか。
分科会に出席し、ボニボニに事情を聴かれた者は、ほとんどがよく似た話をしたことだろう。
きっと、コリネルスも話すはずだ。彼の場合は、レイミの、あまり良くない噂話も披露するかもしれない。
もしかすると、その噂の根拠が、タァーレルに纏わる何らかの事実と関連していることもあるかもしれない。
ボニボニの前を辞そうとした時、チョットマが呟いた。
「ひどいよ、みんな……」
頭を垂れていた。
差し出した手をチョットマは体を捻って避けると、「いや」と小さく、しかし鋭く言った。




