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52 彼女を悪しざまに言う人がいるらしい

 何しろユーペリオンの人口は少ない。それだけで、犯人候補は絞られる。


 直前に言い争いをした者が一番に怪しまれるだろうが、だからといって即断は避けなければならない。

 それにレイミのことをほとんど知らない。素性ともなると知識は皆無。



「裏のある人物らしい」と、コリネルスが口をすぼめる。

「ん?」

「レイミの生まれは、いやマトとして生きてきたという意味だが、アレクサンドリアの出身だそうだ」

「うむ」


 つまり、宇宙船スミヨシに避難してきた人の中で、数少ないニューキーツ以外の人間ということになる。


「彼女を悪しざまに言う人がいるらしい。アレクサンドリア出身者の中には」



 ユーペリオン唯一人の裁判官を拝命しているコリネルス。


 それなりの情報網を構築したようである。

 東部方面攻撃隊の参謀役だった気骨ある男。

 隊長がハクシュウ、ンドペキ、スジーウォンと移る中、隊の維持に貢献してきた。


 戦闘力もさることながら、決して激高することのない冷静な判断が持ち味。

 戦略立案、情報収集、通信、衛生、資材供給など多くの分野で功績を積み重ねてきた。

 チョットマもこの男から多くを学んだと聞いている。



「この短い時間によく調べたな」

「こんな小さな社会だ。政府たって、必要最小限サイズ。組織もまだ構築されたばかり。僕もお役目を遂行するために、人脈は作っておかないとね」


 そう言って、寂しげな笑顔を作った。

 その横顔には、そこここに臨時に置かれた照明灯に照らし出されて、ありありと疲れの色が滲んでいた。

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