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一丁目のほとり ー悪魔との対話形式による日常記ー  作者: 蘭鍾馗


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【日常の33】水餃子をつくろう

「大根買って来たわよ。」


 ◇


 お疲れ。まあ上がって。


「今日はなんか集合時間早いけど、なんで?」


 今日はね、これから餃子を作るんですよ。

「は?」

 今日の晩御飯は、水餃子です。

「待ってそれにしても集合早くない?今三時前よ。」

 今日つくる餃子は、ちょっと時間かかるからね。

「なんで?」

 皮から作るから。

「おいなんだって?」


 ◇


 まずは大根をおろします。


「待って今から作るの餃子よね?」

 餃子。

「餃子って餡に大根入れたっけ?」

 餡には入れない。

「じゃあなんで大根?」

 皮に入れます。

「皮に大根練りこむの?」

 うーん、似てるけどちょっと違う。

「じゃあどうやって入れるのよ?」

 小麦粉を、水の代わりに大根おろしで練ります。


「……マジ?」

 大マジ。


「……ショウキ、本気なんだね。」


 ◇


 まず、小麦粉を300g用意します。強力粉ね。

「強力粉でつくるんだ。」

 で、大根150gを、おろし金で皮ごとおろします。


 ダンタリオン、大根をおろし金でおろす。

 ショウキ、その間にボウルを用意し、強力粉をボウルの中に入れる。


「出来たわよ。」

 では、ボウルの中に大根おろしを全部ぶちこんで。

「ぶち込んだ。」

 じゃ、私は皮をこねるから、その間に餡をお願い。

「どうやるの?」

 まず、細ネギを1束みじん切りにして。


 ダンタリオン、ネギ刻み中。


「意外と目に来るわね。」

 泣きたければ泣いてもいいんだよ。

「うっさいわ。」


 で、刻みネギが出来たら、豚ひき肉150gと混ぜます。ごま油も少し入れてね。


 ダンタリオン、餃子の餡をこねる。


 そこに、挽いておいた八角があるから、それ全部ぶちこんで。

「ぶち込んだ。」


 さらに捏ねて、これで餡の出来上がり。


 ◇


 さて、皮の方も捏ねて寝かせて出来あがった。これから伸ばして皮をつくるよ。


 皮を包丁で適当な大きさに切ったら、棒状に伸ばす。

 それを四角柱の形にととのえる。

「結局最後は丸く延ばすのに、なんでわざわざ四角くするの?」

 円柱より角柱の方が同じ大きさに切りやすいでしょ?

「なるほど。」


 切った皮の生地を、今度はすりこぎで延ばして丸い形に作っていく。麺棒だと大きすぎるので、餃子の皮にはすりこぎ位が丁度いい。


「結構難しいわね。」

 まあ、だいたい丸くなってればいいから。


 で、延ばした端から餡を包んで、トレイに載せていく。


「包み方どうやんの?」

 指に水をつけて、皮の周りを濡らす。それから最初に真ん中をくっつけて、それから両端へ皮を折り込むみたいにして包む。端から折り込むやり方もあるから、どっちかやりやすい方で。


 ダンタリオン、最初に真ん中をくっつける方法を選択。

 包んだ端から、打ち粉をまぶしてトレイに載せていく。

 これを、延々と繰り返す。延々と。


 ……………………



「出来たね!」

 出来たね。では茹でますか。

「焼くんじゃないの?」

 最初に水餃子、って言ったでしょ。


 ◇


 熱湯に入れて5分くらい。

 餃子が浮いてきたらさらに1分くらいゆでて、ゆであがり。


 ◇


「出来たね。」

 お疲れ。では食べますか。


 たれは酢醤油で。


 ……………………


「……歯ごたえがすごい。何これ!」


 水の代わりに大根おろしで練ると、大根の繊維が入ってるからこういう歯ごたえが出るんですよ。

「そうなんだ。」

 大根の繊維でせん断抵抗力が増すんだよ。グラスファイバーとか鉄筋コンクリートと同じ理屈。

「……すごい理屈ね。でもおいしいわ。」


 ◇


「ごちそうさま。」

 おそまつさまでした。


「……で、今日はなんかしゃべらなくていいの?」

 今日はこの餃子がネタだから。

「なんだそうか。でもなんで餃子?すごい唐突なんだけど。」

 昔、私の父親が戦時中に中国で覚えて帰ってきて、以来うちの家庭料理だったんですよ。

「そうなんだ。」

 で、正月とか、家族が揃った時に作って食べてたんだよ。

「ハレの日の料理だったんだ。」

 人数揃わないと作れないからね。

「確かに、時間かかるしめんどくさいわ。ひとりだときついわね。」

 最近、物忘れすることが多くなってきた気がするから、このへんで久しぶりに作って、作り方思い出しておこうかと思ってね。

「思い出した?」

 なんとか。


 ◇


「ごちそうさま。じゃ、またね。」

 またね。


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