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顔の威力を正確に認識しましょう


入学式の翌日から授業が始まる。

最初に自己紹介を兼ねたオリエンテーションのようなものがあった。

そして僕は男に囲まれる。

新入生50人中32人が男だ。僕を含めてね。

まぁ僕や殿下みたいな悩むタイプがいなければ間違ってない。

クラスで男であることを隠してもいいことはなさそう、と思ったし女の子が男に囲まれている僕に若干距離を置いている、ような気がする。

近所の女の子とは仲良くしていたので、ここでも女の子と仲良くしたい。

一緒にランチとか勉強とか買い物とかしたいじゃん。

やだー、思考が女の子ー。

違う違う、楽しい学生生活を送りたいんだよ。

このクラスは年齢は7歳から13歳と前世の記憶がある僕からすると凄い年齢差の同級生?なわけだけど。

飛び級すると更に年齢差が広がる可能性が高くなるけど、ここでは普通のことだ。

短い学生生活になる予定だけれど青春したい。

青春という年齢のときには魔法士団に入団している予定だけれど、それとこれとは別だよね。



だから言ったんだ。

「あのさ?僕、男だからね?」

「.....え?どういう意味?」

隣にいたルカ(10歳)が聞いてきたが、どういう意味って、どういう意味?

「僕、女の子に間違われやすいんだ。皆も、もしかして間違って僕のこと、女の子だと思っている可能性があるかな、と思って」

「男の子の振りをしている女の子?」

「ではなく」

「ではなく.....、え、ホンモノの男?」

「うん。わかってくれた?」

「えーっ!本当に男!?嘘だろっ!?」

声、大きいぞ。思わずルカから距離を置きながら答えた。

「本当だよ」

やっとわかってくれたか。

一気に周りがざわざわとし始めた。


それは僕を取り囲んでいた男の子たちだけでなく、教室にいた女の子たちの方まで広がりを見せている。

...まさか全員が女の子と思ってたわけじゃないよね?



そんなわけでクラスの子の勘違いは正された。

すると、今度は女の子に囲まれだした。わかりやすっ。

男の子たちは、まだ半信半疑という感じの人もいたが女の子はあっさり信じてくれたようだ。

男の子たちの、僕をどう扱うか手探りな感じが面白い。

今日のランチは僕とルカと女の子5人。

ルカは「詐欺だろ」「犯罪スレスレだろ」「どストライクと思ったのに」「僕の初恋、いや、だったかもしれないのに」「はぁ、やめろ、その顔。変な気持ちになるだろ」などとぶつくさ言っていたが、妙に距離を置く、とかいうことはなく、いい友達になれそうな気がしている。

ランチは養成学校の中にも騎士養成学校と共同の食堂があるが街に出ても構わない。

そして、そのどちらでも使える特別優秀者を証明するリングの出番だ。

どういうことかと言うと養成学校のツケで飲み食いできる、ということだ。

もちろん自分の分だけで人に驕る、とかはできないし街の中には使えない店もあるが学校の近くの飲食店は大体使える。

便利でしょー?

やっぱ最初は学校内のランチだよね、てことで学食に来たのだが入ってすぐのテーブルで騎士の前に置かれた食事量に引いた...。

それ、1人分?


そして、僕たちが入っていくと、僕たちの周りから少しずつ静かになっていく学食。

あんなに騒がしかったのに...。

あぁ、伯爵邸(いつか)の既視感...。


「お前の顔の威力スゲーな...」

「やっぱ僕かな?」

「なんだか一緒にいる私たちの方がいたたまれませんわ」

今日、一緒の5人の女の子たちは、年齢はまちまちだが全員貴族の御令嬢だ。

やっぱり貴族は貴族同士でつるみ、平民は平民同士でつるみがちだ。

ルカも子爵家の子息だった。

トレイに好きなものを乗せて最後で会計、という前世でも馴染みのあるシステムだった。

会計はリングを見せるだけ。


と、ここで声をかけられた。

「アルフレート」

声の方を振り返ると殿下がいる。

「向こうで一緒に食事をとらないか」

え。友達と一緒なんですけど。

周りを見ると、さすがに貴族の令嬢令息だ。

殿下を知っているようで、びっくりしている。

ルカは慌てて僕に「僕たちはいいから今日は殿下と」と言って後ずさっていく。

「そうですわ。私たちとは、また今度御一緒しましょう。殿下のお誘いを断るなんてなさらないでね」

これまた、潮のように引いていく。

取り残された僕のトレイを殿下が持って「こっちだ」などと案内してくれる。

「あ。ちょっ...自分で持ちますから」

いやいや、殿下。

殿下に持たせるとか、僕、何様?

でも殿下はテーブルの間をスタスタ行ってしまう。

一番奥に行くと案内してくれた2人の先輩と騎士がいた。

殿下はテーブルにトレイを置くと謝った。

「すまなかった。もう1つテーブルを確保しておけば友人たちも一緒に誘えたのだが」

ええ、そうですね。とは言えない。


席に着くと2人の先輩は殿下の側近候補兼護衛だと自己紹介してくれた。

更に2人の騎士も護衛としてランチのときは殿下と一緒に過ごすのだとか。

へぇ。

将来の国のトップと、その面々か。

仲良くしておいて損はないな。

「今年入学したアルフレート・マイヤーです。どうぞよろしくお願いいたします」

「よろしく」

「あぁ、こちらこそ、よろす、よろしく頼む」

あ、噛んだ。でも笑っちゃダメだ。口角を上げるだけで堪えることに成功。



◇◇◇◇◇◇◇◇



ランチは、きっと学内を利用するだろう、と思っていた。

アルフレートは友人たちと一緒に入ってきた。

すると、騒がしかった食堂内が静かになっていく。

アルフレートと話している男、アレは誰だ。

おそらくクラスメイトだろうが。

ここには騎士も昼食のためにたくさんいるから牽制には一番良い場所だと思っていたが、身近過ぎると牽制もどこまで効くか。

会計を終えたアルフレートに歩み寄り、声をかける。

友人たちは遠慮してくれたようだ。

オレはアルフレートのトレイを預かるとオレのいた席まで案内した。

アルフレートは「自分で持ちますから」などと言っていたが牽制のためには、これでいい。

オレの側近、護衛候補を紹介するとアルフレートはにっこり微笑んで挨拶した。

あぁ、そんな顔したら...

案の定、騎士の1人が舞い上がったようになっている。

アルフレートは、それをにこにこ眺めているが、周囲の目まで釘付けにしている。

止めさせたいが見たい。

見たいが止めさせたい。

「アルフレート」

アルフレートがオレの方を向く。これでヨシ。

あー、何を言うか考えてなかった。

視線を彷徨わせるとアルフレートの指に特別優秀者のリングがあるのがわかった。

「特別優秀者の資格を取れたのか」

「はい。これ便利でいいですね。卒業するまでキープしたいと思います」

事もなげに言うが、容易でないことはわかってるんだろうな?

特に何も考えてなさそうな、けれど、アルフレートの綺麗な顔を眺めて思った。




読んでくださり、ありがとうございます。


先週水曜、PCの御機嫌が斜めになりまして、どうしようかと思いました。

御機嫌が復活して良かったです。

ブルースクリーンはドキドキするから止めていただきたい...。


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