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入学



合格でーすっ!

合格通知が届いたよ。

しかも特別優秀者の枠にも入れたよ。

ここから僕のエリート街道まっしぐら快進撃がはっじまっるよー。

浮かれてる?

仕方ない。

だって合格。しかも特別優秀者。

特別優秀者の該当なし、ていう年もあるんだから僕って凄い!

転生チート入ってるよね!

この特別優秀者は進級のタイミングで再認定を受けないといけないから卒業まで頑張るよっ!

それにマリアさんも官僚登用試験に合格したんだって!

わーい、一緒にお祝いだ!



合格通知を受けて制服採寸のために学校指定の店へ母と行ってきた。

問答無用で試着用スカートを出してこられたときは、またか、と思った。

この世界、この国で男はスカートはかないよ。

他の国は知らんけど。

ちなみに女の子はスカートとスラックス、どちらもOKだ。

サイズが合わなくなれば買い替えだから特別優秀者はキープしないとね。

採寸してくれたお姉さん2人に褒めちぎられた。

母は終始、にこにこして聞いていた。

営業トークでもあるのかもしれないけど、次第にいたたまれないような気持ちになってくる。

魔法士養成学校の制服はお洒落だ。

丈の短いジャケットとスラックスは前世の闘牛士みたいだ。その上に脛の中程まであるローブを着る。

フードはない代わりに帽子がある。

いかにも魔法使い、みたいな三角帽子ではなくベレー帽だ。

これは、もともとは5色の魔法石を使ったアクセサリ(イヤーカフやピアスが多いので)を隠すためだったらしい。

制服は、黒に差し色に臙脂が入っていて一目で魔法士養成学校の学生だとわかる。

騎士養成学校の制服も格好いい。魔法士養成学校と並んで憧れや羨望の目で見られる。

めちゃくちゃ優越感に浸れる制服なのだ。

さっさと卒業しようとしてるけどね。



この世界でも入学式というものはあって母は張り切っていた。

「アルが入学できるのは確信していたけど、いざ制服を着て入学式となると感慨深いわねぇ。アル、とっても素敵よ。自慢の息子だわ」

そして、左サイドを編み込んでくれ、合格祝いに買ってくれたシンプルな髪留めで止めてくれた。

男の子のする髪型ではない、というわけではないけど、ますます美少女っぷりに磨きがかかってしまう。

けれど、母のやりたいようにさせた。

最近になって、どうも頭の傷を隠したいのでは、と思ってきたからだ。

出来上がりを見ると、ちょうど編み込んだ中に傷跡ハゲがあって見えなくなっている。

入学式には母も出席するそうだ。

母も綺麗に余所行きの恰好をして、とても綺麗だ。

入学式が終わると母は仕事があるから、と帰って行った。

母の心配性も一区切りついたようだし僕にとっても魔法士養成学校の入学は自由を少し取り戻した気分でもある。

養成学校の制服を着たものを誘拐なんて、そうそうないだろう、と母は言った。

ま、確かにな。

てゆうか誘拐なんて、そもそも頻発するものではないんだけどね。


入学式を終え、教室で連絡事項を受ける。

その後、先輩方が校内を案内してくれるらしい。

けれど入ってきた顔を見てびっくりした。

3人の先輩が入ってきたのだが、そのうちの1人がリリーロンド殿下だったのだ。

殿下が僕を見つけて、にやっと笑った。

にやっ、だったと思う。

僕が驚いているのを見て悪戯が成功した、とでも言いたそうな顔だった。

3人が自己紹介をする。

名前から王族だとわかった人もいたようで、はっとした空気が漂う。

そして、そのまま3人が案内してくれたのだが50人いる新入生の、なぜ僕の横にいるのか。

殿下、あなただよ、あなた。

他の2人は先頭と最後尾についている。

代わるがわる説明をしてくれるが、僕はちらっと横にいる殿下を見上げた。

僕を見ていたようでバッチリ目があった。

1年と少しぶりに会った殿下は前よりも男の子っぽくなっていた。

以前よりも身長差が大きくなったようにも感じる。

王子様だ。

いや、王子様なんだけど、お話に描かれる王子様って感じ。

目が合って、にっこり微笑む様子も王子様っぽい。

そういえば、前世王子様系が好きだったな。

そんなことを思い出して小さく会釈すると説明している先輩を見た。

うわー、なんか恥ずかしい。

そんな人が横にいて微笑まれたことに逃げ出したくなった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



新入生名簿を見た。


アルフレート・マイヤー。


「殿下、何回確認するんです」

オレの側近候補のミシェルが呆れたように言う。

確かに、もう何度目かわからないそれをオレはファイルにしまう。

あれ以来、会う機会はなく()()が入学する年になった。

新入生を案内する係に立候補して確認しよう、という魂胆だ。

婚約者候補は、あの後も何人かと会う機会があったが彼女以上に記憶に残る令嬢はいなかった。

このままなら彼女を婚約者としてもいいと思っている。

一発で合格した実力と言い、きっと王太子妃に相応しいと期待している。

魔法士養成学校卒業までには決めたいと思う。


教室に入ると、すぐに彼女は見つかった。

相変わらず美しい少女だった。

僕を見て驚いている。

そんな顔も可愛い。

知らず知らず顔が緩んでしまった。


案内する間、僕は彼女の傍にいた。

ときどき、ミシェルが咎めるような視線をよこすが仕事はしている。

そんな目を向けられる筋合いはない。

アルフレートを見ていたら、ふいに視線を寄越して目が合う。

綺麗な目も健在だ。

にっこり微笑んで見せると小さく会釈して視線を逸らしてしまった。

恥ずかしそうにしているアルフレートを見て何故か気持ちが満たされる。

だが最初からずっと感じている周囲の男どもの視線に自然と眉が寄る。

騎士養成学校程ではないが魔法士養成学校も男の方が多い。

オレのお気に入りと認識させて牽制しておいた方がいいな。




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