↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/36

入学試験



さて、褒賞も無事受け取り(この世界にも銀行があって預けたよ)やっと、本当にやっと普段の生活が戻ってきた。


マリアさんに本を返して少し傷がついたことを謝った。

「アルくんが無事だったんだから本くらいどうってことないんだよ」

と言ってくれたが、そのマリアさんは官僚登用試験に落ちてしまったらしい。

「まぁ1回で受かるとは思ってなかったけど、ちょっと悔しい。来年は絶対受かってみせるよ。アルくんも来年は入試だもんね。一緒に受かって一緒にお祝いしよ」

それは絶対受からないとね。

マリアさんとお祝い。楽しそう♪


そして、ルチアさんは実は国から依頼を受けて僕のことを報告していたらしい。

なんだそれ。

それで僕に近づいてきたの?悲しくなったが、よく聞くと違った。

僕と話をするようになったところにモニカさんが指名依頼を持ってきたらしい。

そういえば調べてみる、とか言ってたな。

だったら、もっと早く教えてくれても、と思ったけど素の僕を見たかったから、と言われた。

国に報告するからって変なことしないよ?

ルチアさんとは定期的に郊外へ出掛けて街中では試せない魔法をやってみている。


モニカさんは最近は雑談ばかりだ。

僕の勉強でわからないところは大抵モニカさんもわからない。

薬草のことなら完璧っていうくらいなのにね。

治癒魔法もアレだし。ぷ。

ちなみに僕の治癒のイメージも伝えてみたけど血液の成分などイメージが沸かないから無理、と言われた。

まぁ、人には向き、不向きがあるよね。



こうして、僕は近所の子に捕まって一緒に遊んだり家や図書館、ときどきマリアさんちで勉強したり、ルチアさんと郊外へ魔法を試しに行ったり、伯爵邸へ行ってお嬢様とお茶、ときどきダンスしたりと、とっても有意義な1年を過ごした。

7歳になった僕は相変わらず美少女だ。

女の子に告白もどきをされたときはビビったが丁重にお断りしてお友達として接している。

大事なのは女の子に告白された、という点である。

女の子から。

嬉しかったけど、それだけだった。

今のところ、女の子を好き、という感情はそれほどでない。

これだけだと焦るが、同時に男の子を好き、という感情も特に持ったことはない。

まだ7歳だ。

こんなもんだよね?

どうか女の子を好きになりますように。



そして、入試当日を迎えた。

試験を受けるのにもお金がいる。

もちろん褒賞から払ったよ。

試験は様々な人が受けに来ていた。

最年少は、もちろん入試許可の出る7歳だが最年長は19歳。

特に上限はないのだが、20歳以上は恥ずかしくて受けに来なくなるらしい。

7歳で初めて受験して毎年受けているのなら13回も落ちていることになる。

そして、入学すると5年で卒業となる。

ただし、優秀なら飛び級が認められている。

僕は、この制度を利用してさっさと卒業したいと思っている。

で、高給取り魔法士のエリートコースを直進さ。

まず筆記試験が2つ。

それから魔力判定と実技試験がある。

終わるのは昼過ぎ。お腹すく。


筆記試験は何の問題もなかった。

周りがどうかわからないからいいのかどうかもわからない。

そして、魔力判定。

1人ずつ呼ばれて部屋に入る。

「アルフレート・マイヤー、きみ...女の子だよね?」

「...いいえ、男です」

「如何に優秀でも性別の詐称は不合格だ」

え!?ちょっと待ってよ。

「志願書にある通り、男です」

どうしよう。脱ぐ?え、マジで?

「ホーベル先生、詐称していた場合は校長の判断に委ねればよろしい。ここで議論することではない」

「...いいでしょう。では判定をします」

めちゃくちゃ納得がいっていない、不服ありありの態度を隠しもせず、僕に判定の魔道具を差し出した。

とりあえず、ほっとする。

魔力判定は真っ黒な円柱の棒を握るだけ。長さは50センチくらいかなぁ。

魔力量に応じて棒の下から白くなっていくらしい。

実は、これが楽しみだった。

この魔道具は魔法士養成学校と王宮にしかないらしい。

転生チートとか期待しちゃいたい。

ホーベル先生とやらの態度はムカつくが、ワクワクしながら棒を握った。

途端に下から凄い勢いで真っ白になってしまった。

一瞬のうちに真っ白になった棒を眺める。

えーと、これって凄い?

2人の先生?を見ると口を開けて棒を見つめている。

「ちょ、ちょっと貸しなさい」

ホーベル先生とやらが僕から棒を取り上げ自分で握る。

僕の手から離れた瞬間に真っ黒に戻った棒(魔力測定具)だったが、棒は下から3分の1辺りまで白くなったところで色の変化が止まる。

「正常だね」

「...そのようです」

ホーベル先生とやらは非常に残念そうだ。

「アルフレートくんは志願書通り前世持ちで間違いない」

そこも疑われていたのか...。

「もう良い。次は広場に行きなさい」

この結果が凄いのか知りたかったのに、あっさりと外に出された。

えー!! これ凄いの?そうでもないの?どっちさー。


その後、広場という名の原っぱに行くと何人かが実技に挑んでいるところだった。

順番に火を出したり水を出したりしている。治癒ができる、という人は先生が手に傷をつけ(無表情で指で手の甲をなぞり血が流れたときはびっくりした、痛い顔しなよ)それを治癒していた。

皆が集まっているところに行くと、ちらちらと視線を感じる。

ん。もう慣れたよ。

皆の実技を見ているとたいしたことをしていない。

アレが精一杯なのかな。

中には顔を赤くして「はぁっ」とか叫んで炎をぼわっと出して終わり、なんて人もいて吹き出すのを止めるのに苦労させられた。

その子は僕より2、3コ年上っぽい男の子だったが終わると「ふーっ」と息を吐きだして満足げにしていた。

笑わせないで、頼むから。

そして、振り返ると僕を見てほけーっとしていた。

僕は慌ててにこりと微笑み笑いを誤魔化す。


そして僕が呼ばれる。

「アルフレートくんは前世持ちのようだけど魔力測定結果はどうだった?」

「真っ白になりました」

「そうではなく、どこまで白く変化した?」

「全部です」

「...全部?」

「はい」

「下から上まで?」

「はい」

「...まぁ、いいか。では程々の力で何か見せてもらおうか」

「はい」

実技では雪を降らせると決めていた。

危険もないし氷系の魔法は、この辺りでは珍しいものだから。

インパクト大だよね。合格間違いなし。多分。

辺りに雪を降らせる。

足元に小さな雪だるまを氷で作る。

なかなか可愛い出来上がりだ。

それを持ち上げて先生?に差し出す。

「これは?」

「雪だるまです。氷で作ってみました」

「雪だるま?」

この辺じゃ雪だるまなんて作れないからわかんないか。

いや、そもそも前世にしかないのかも。

まぁいいや。氷で何かを作ることは見せられたわけだし。

目的は達成、だよね?


これで試験は終わり。

あー、お腹空いた。

何か買って帰ろうかな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。