↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家族に内緒でダンジョンに潜っていたら、いつの間にかCランク探索者になっていた件  作者: バモス
第一章 家族に内緒のダンジョン配信

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/30

第20話 Aランク探索者から、合同配信のお誘いが来ました

 月曜日の朝。


 市河信太は大学へ向かう電車の中で、スマートフォンを確認していた。


 土曜日に香澄と食事をしてから二日。昨日は自宅でゆっくり過ごし、次の探索に向けて装備の手入れを済ませていた。


 信太「……次はどこに行こうかな」


 Bランクになったことで探索できるダンジョンは増えたが、まだ単独でのB級探索には慣れていない。


 そんなことを考えていると、配信チャンネルに通知が届いた。


『神崎レイナさんからメッセージが届いています』


 信太「……え?」


 思わず画面を二度見した。


 神崎レイナ。


 登録者百万人を超える人気ダンジョン配信者であり、Aランク探索者でもある。


 以前、九条との合同配信を見て自分のチャンネルをフォローしてくれた人物だ。


 信太はメッセージを開いた。


『シンタさん、初めまして。Aランク探索者の神崎レイナです。以前から配信を拝見しています。もしよろしければ、一度合同探索をしてみませんか?』


 信太「……本物だよな?」


 認証済みの公式アカウントだった。


 さらに続きがある。


『探索場所や日程は協会を通して調整できればと思っています。無理のない範囲で構いませんので、ご検討いただけると嬉しいです』


 信太はしばらく考えた。


 Aランク探索者との合同探索は、九条に続いて二人目になる。


 しかも相手は人気配信者だ。


 信太「……俺でいいのかな」


 少し迷った末、返信することにした。


『初めまして、シンタです。お誘いありがとうございます。ぜひお願いします。日程や探索場所については協会を通して相談できればと思います』


 送信すると、数分もしないうちに返事が届いた。


『ありがとうございます! 楽しみにしています!』


 信太「……決まっちゃった」


 こうして、思いがけない合同探索の予定が一つ増えた。


     ◇ ◇ ◇


 大学へ到着すると、悠斗がいつものように声をかけてきた。


 悠斗「信太! 聞いてくれ!」


 信太「今度は何?」


 悠斗「シンタの登録者、四万人超えた!」


 信太「……そうなんだ」


 悠斗「お前、反応薄いな!」


 信太「毎回驚いてたら疲れるだろ」


 悠斗「それもそうか」


 悠斗はスマートフォンを操作する。


 悠斗「それより神崎レイナさんが、またシンタの話してたんだよ」


 信太「……へえ」


 悠斗「次に一緒に探索してみたい人を聞かれて、シンタって答えてた!」


 信太「そうなんだ」


 悠斗「もし実現したら絶対見る!」


 信太「実現するかもね」


 悠斗「だよな!」


 信太「…………」


 危ない。


 もう決まったと言いそうになった。


 悠斗「でも、九条さんに続いて神崎さんまで共演したら、シンタの知名度すごいことになるな」


 信太「そうかな」


 悠斗「当たり前だろ。Aランク探索者二人から注目されてるんだぞ?」


 信太は苦笑した。


 自分では普通に探索しているつもりなのだが、周囲の評価はどんどん大きくなっているらしい。


     ◇ ◇ ◇


 放課後。


 信太は埼玉探索者協会支部を訪れていた。


 受付の橘沙耶へ事情を説明すると、彼女は驚いた表情を浮かべた。


 沙耶「神崎レイナさんから合同探索のお誘いですか?」


 信太「はい。協会を通して調整したいそうです」


 沙耶「……市河さん、本当に話題が尽きませんね」


 信太「そんなに珍しいですか?」


 沙耶「Aランク探索者から次々に声をかけられるBランク探索者は、そう多くありません」


 信太「九条さんとは偶然でしたけど」


 沙耶「その偶然がすごいんですよ」


 沙耶は苦笑しながら端末を操作した。


 沙耶「神崎さん側からも、すでに正式な相談が届いています」


 信太「早いですね」


 沙耶「仕事ができる方なんでしょうね」


 そこへ黒崎誠司が現れた。


 黒崎「市河、今度は神崎さんか」


 信太「こんにちは、黒崎さん」


 黒崎「お前、Aランク探索者に妙に気に入られるな」


 信太「自分でも不思議です」


 黒崎「まあ、実力を見れば納得はできるが」


 黒崎は沙耶の端末を確認した。


 黒崎「合同探索自体は問題ない。ただし、探索先は慎重に選ぶ」


 信太「はい」


 黒崎「雁坂深層洞の調査はまだ終わっていない。あそこは候補から外す」


 信太「分かりました」


 黒崎「それと、今回は配信者同士の合同探索だ。戦闘だけじゃなく、撮影や他の探索者への配慮も必要になる」


 信太「気をつけます」


 黒崎「神崎さんは経験豊富だから、その辺りは教えてもらえ」


 沙耶「日程が決まったらご連絡しますね」


 信太「よろしくお願いします」


     ◇ ◇ ◇


 その頃。


 神崎レイナは自宅の配信スタジオで、スタッフと打ち合わせをしていた。


 レイナ「シンタさん、受けてくれたよ!」


 スタッフ「よかったですね」


 レイナ「うん。前から一緒に探索してみたかったんだ」


 スタッフ「そんなに気になります?」


 レイナ「気になるよ。あの人、剣の使い方が独特なんだもん」


 レイナはモニターに映る戦闘映像を再生した。


 九条との合同探索で、ブラックオーガ・ジェネラルを倒した場面だ。


 レイナ「ここ。普通なら大技を使いたくなる場面なのに、状況に合わせて技を変えてる」


 スタッフ「確かに速いですね」


 レイナ「速さだけじゃない。余計な動きがほとんどないんだよ」


 スタッフ「Aランク相当だと思います?」


 レイナ「戦闘技術だけなら、かなり近いところまで来てると思う」


 レイナは楽しそうに笑った。


 レイナ「でも、実際に一緒に動いてみないと分からないこともあるからね」


 スタッフ「合同配信、盛り上がりそうですね」


 レイナ「うん。私も楽しみ!」


     ◇ ◇ ◇


 その日の夜。


 信太が夕食を食べていると、莉奈が突然声を上げた。


 莉奈「お兄ちゃん!」


 信太「何?」


 莉奈「神崎レイナさん、次の合同配信を準備してるって!」


 信太「……そうらしいな」


 莉奈「誰とやるんだろうね?」


 信太「さあ」


 莉奈はじっと兄を見る。


 莉奈「……もしかして」


 信太「…………」


 莉奈「お兄ちゃん?」


 信太「まだ正式には決まってないから」


 莉奈「やっぱり!」


 莉奈が勢いよく立ち上がった。


 莉奈「お母さん! お兄ちゃんが神崎レイナさんと合同配信するって!」


 美咲「あら、そうなの?」


 信太「まだ調整中だよ」


 美咲「相手はAランクの方よね?」


 信太「うん。双剣使いで、かなり強い人」


 美咲「それなら少し安心ね」


 莉奈「登録者百万人以上いるんだよ!」


 信太「知ってる」


 莉奈「絶対すごいことになるよ!」


 信太「……そうかな」


 美咲は微笑んだ。


 美咲「信太、楽しそうね」


 信太「まあ、楽しみではあるかな」


 美咲「でも、安全第一よ」


 信太「分かってる」


 莉奈「それと、今度こそ参式!」


 信太「またそれか」


 莉奈「だって見たいんだもん!」


 信太「使う場面があればね」


 美咲「莉奈、無理に使わせないの」


 莉奈「はーい」


 信太は笑った。


 以前なら、こんな会話すらできなかった。


 母と妹に正体を明かしたことで、探索者としての生活が少しずつ変わり始めている。


 ただし、父の隆一にはまだ秘密のままだった。


     ◇ ◇ ◇


 翌日の昼休み。


 信太がスマートフォンを確認すると、協会から新しい連絡が届いていた。


『神崎レイナ様との合同探索について、日程調整が完了しました』


 信太「……早いな」


 内容を確認する。


 合同探索は翌週の日曜日。


 場所は協会管理下のB級ダンジョン。


 詳細な探索ルートについては、事前打ち合わせで決めるらしい。


 さらに、神崎レイナ本人からもメッセージが届いていた。


『日程決まりましたね! 当日はよろしくお願いします。シンタさんの剣術、間近で見られるのを楽しみにしています!』


 信太は返信した。


『こちらこそよろしくお願いします。神崎さんの双剣も楽しみにしています』


 送信後、スマートフォンをしまう。


 信太「……今度は双剣か」


 九条の大剣とは違う戦闘スタイル。


 自分の剣術にとっても、学べることが多そうだった。


 Bランク探索者になってから、まだそれほど時間は経っていない。


 それなのに、次々と新しい出会いが増えている。


 信太は窓の外を見つめた。


 信太「……楽しみだな」


 その表情には、これから始まる合同探索への期待が浮かんでいた。


 そして、Aランク探索者・神崎レイナとの初めての合同配信が、静かに近づいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。