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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第九章 ファンタジー世界に馴染んだおっさん――ドラゴン骨で追放勇者とラーメン作る!弟子を取ったら部屋追い出される

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第九十一話 何してくれてんのっ!?

東の農業大国キャベッツァ農国へと続く街道での

初陣を無事に終え、魔王城へと帰還したセシリアの足取りは、

これまでにないほど荒々しいものだった。


いつもならば誇り高く響くはずの白銀の足音が、

ガツガツと廊下の床板を激しく踏みつける鈍い音に変わっている。


その怒気に満ちた叫びが、静まり返った魔王城の廊下に

すさまじい勢いで響き渡った。


「メルゥーッ! メルゥーッ!! ちょっと来なさいっ!!!

どうなってるんですかこれはっ!?」


バン、と凄まじい音を立てて応接室の重厚な扉が勢いよく開き、

駆け込んできたセシリアの姿に、室内にいた一同は言葉を失い、

ただ息を呑んだ。


かつて彼女の気高き矜持であり、聖騎士の揺るぎない証でもあった

白銀の鎧。

まばゆい光を放っていたあの美しい装甲は、今や見る影もなく、

どこを探しても面影すら残っていなかった。


代わりに彼女の全身を隙間なく包んでいたのは、

周囲のすべての光を強欲に吸い込むような、禍々しくも美しさを湛えた

『漆黒の鎧』だった。


騒ぎを聞きつけて、ガラクタ置場の引きこもり部屋から

ひょっこり顔を出したメルが、

その禍々しい鎧の姿を見るなりこれ以上ないほど両目を爛々と輝かせた。


「おおおっっ…… か、かっこいい……!

我が深淵の魔導を以て、ついに目覚めし、昏き闇の執行者……。

これぞ我を守る漆黒の暗黒騎士(ダークナイト)……」


「おいメル、ちょっと待ちな」


俺はその中二病全開の口上を強引に割って入り、

太い手でメルの動きをピシャリと制した。


「セシリア、どうしたんだその鎧、何があった?」


余計な飾り気のない、八起の実直さが滲み出るその問いかけに、

セシリアは未だに怒りで激しく上下する胸を押さえるように、

深く息を吸い込んだ。


「戦闘が終わった直後です。戦場に漂っていた魔力を、

ノエルの袋が浄化しました。それを、メルの作ったあの護符が、

私の鎧に無理やり付与したのです!

その瞬間、どこからともなく腹立たしい声が脳裏に直接響いて、

気がつけばこんなことに……」


悔しそうに拳を握りしめ、自身の変貌した鎧を睨みつける。

その話を一歩前に出て聞いていた軍師のゼフェルが、

真面目な面持ちでその鎧の表面をじっと見つめた。


「……ただの呪いの鎧とは違います。

禍々しいが、内包する魔力の純度は極めて高い。

八起殿、この鎧、調べていただけないでしょうか?」


「ああ、ちょっと触らせてもらうぜ」


俺はセシリアの前へと歩み寄り、その漆黒の鎧に手を当てた。


応接室にいる全員が息を詰め、静寂の中で見守る。

俺が持つ直感的な能力鑑定が、

その鎧の奥深くに刻み込まれた驚くべき素性を明かした。


(……おいおい、何だこりゃあ。元々の聖なる加護に、

浄化された悪意ない闇の魔力が、メルの護符のせいで綺麗に

混ざり合っちまってやがる。

お互いに喧嘩せずに、完全に溶け合ってやがるんだ)


それは、光と闇、相反するはずの両方の特性を奇跡的なバランスで備えた、

まさに伝説級の鎧へと完全な変質を遂げていた。


俺は触れた手から伝わるその絶対的な効果を頭の中で静かに反芻し、

背中に冷たい汗が流れるのを感じた。


「……物理被害を半分に抑える。それに、聖属性と闇属性の攻撃を、

完全に無効化する、だと……?」


ゼフェルがその並外れた性能を耳にして、感激のあまり熱い涙を浮かべて

称賛の声を上げる。


「素晴らしいです! 完璧な防御力に聖闇属性無効化!

このような優れた鎧、古今東西あったでしょうか」


しかし、その横に立つ俺の顔は、あまりの事態に不格好に引き攣っていた。


「いや、待て……無効化ってのは、つまり何だ?聖属性を完全に弾くってことだろ、

これ、万が一の時に回復魔法も、一切効かないんじゃねえのか……?」


俺のその言葉が室内に落とされた瞬間、それまで怒っていたセシリアの顔が、

さらに恐怖に青ざめた。


前衛を任される戦士にとって、戦場での治癒が受けられないというのは、

あまりにも致命的で恐ろしい制約に他ならない。


「ククク……我が冥府の加護は、生ぬるい救済の光すら拒絶する孤高の証明……。

傷など、己の血肉で癒せという漆黒の理よ……!」


だが、そんな深刻な空気を一切読まず、メルだけがふんぞり返って誇らしげに

小さく鼻を鳴らした。自分の作った護符がもたらしたあまりの高性能ぶりに、

完全に悦びが勝ってしまっている。


「理じゃねえわ! 治癒魔法が効かねえ前衛なんて

危なっかしくて見てられるかっ!」


俺の怒号が響く中、セシリアは白銀の誇りを奪われ、さらに戦場での命綱を

勝手に絶たれてしまった怒りが限界を超えて爆発した。

セシリアは青筋を立てた拳を前に突き出し、

部屋が震えるほどの声量で絶叫した。


「メルゥーーーー!! 何してくれてんのぉ!!」


と膝から崩れ落ちた。

いつも作品をお読みいただき、誠にありがとうございます。


毎日の更新を楽しみにしてくださっている読者様には大変申し訳ありませんが、

今後の展開をより深く練り直したく、1日2回行っておりました投稿を

「1日1回」に変更させていただきたいと思います。


変更後の投稿時間は、毎日12時30分となります。


先の分の書き溜めはございますので、投稿が途絶えることのないよう、

しっかりと執筆に努めてまいります。


突然の変更となり恐縮ですが、ご理解いただけますと幸いです。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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