表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第八章 戦略物資はテリヤキバーガー! ジャンクフードが世界をつなぐ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/98

第七十五話 だ、だめだそこは、やめいぃ!

使節団の一行がルナリアたちに連れられて応接室を出ていくと、

室内の空気が一気に緩んだ。張り詰めていた法的な交渉や

政治の探り合いが終わり、ようやく肩の荷が下りた感覚だった。


俺は深く息を吐き出し、窮屈な上着のボタンを外していく。


「やっと気が抜ける……」


シオリが仕立ててくれた貴族風の衣装は、

じっとしているだけでも窮屈で仕方がない。

こんな服のままじゃ次の現場の段取りも確認できやしねえ。


俺は襟元を緩めながら、ガウラたちが新しく開拓しているという、

城の裏手に広がる放牧地の様子を見に行くことにした。


動きにくい正装のまま、魔王城の裏手へと続く緩やかな坂道を

歩いていく。少し歩いて開けた大地へと出ると、柵の向こうに

広がる広大な放牧地の大地では、ガウラの部下である大型の

犬たちが、砂煙を上げながら激しく駆け回っていた。


ほぉー、やるなあの犬たち。って、あの牛もどきもデカいな……。

この世界の物はなんでもデカいのか!?


しかも何だあの巻き毛。牛と羊を足して3で割ったうちの2

みたいなフォルムだな……。


その奇妙な生き物は、全体的に丸っこい毛玉のような格好のくせに、

近づいてよく見てみりゃ、地球の乗用車並みのデカさを

していやがる。


あの巨体がこれだけ狭い場所に密集して群れをなしている光景は、

それだけでなかなかの威圧感だ。


その巨体の群れを、犬たちは見事な連携で、一箇所へと綺麗に

追い込んでいく。あっちが逃げ出そうとすれば先回りして吠え立て、

こっちが遅れれば後ろから突っつく。現場の統率力としては

文句のつけようがねえ。


犬たちの実に見事な現場仕事のクオリティに感心しながら、

柵の近くで眺めていた、その時だった。


おっ、気づいた……。


群れをまとめ終えたデカい犬たちがこちらへと

真っ直ぐに視線を向けてきた。


次の瞬間、親愛の情を隠しようともしない勢いで、地響きを

立てながら突撃してくる。

柵を飛び越えこちらへ向かって一直線だ。


バウッ!


「ンべんべべバッべバッノコバンベムベッッ! やめいっ!!」


突然のことに避ける間もなく、正面から飛びかかってきた

3匹のデカい犬に、一気にもみくちゃにされた。


強烈な力で地面へと押し倒され、巨大な舌で顔から頭まで

熱烈に舐め回される。必死に前足を突っぱねようとするが、

3匹分に完全に押さえ込まれ、身動き一つ取れやしない。


顔の前に迫る大きな鼻づらを押しのけようとしても、ぬるぬるした

ヨダレで手が滑る。容赦ない親愛の猛攻は止まらず、視界の全てが

濡れた毛並みで埋め尽くされていく。


ようやく犬たちが満足して去った時には、俺は地面の上で、

完全に疲れ果てて大の字になっていた。全身ぐしょぐしょだ。


シオリがあれだけ時間をかけて心を込めて仕立ててくれた

高級な正装が、無残にも犬のヨダレでシミだらけになってやがる。


髪の毛はヨダレでベチョベチョに乱れ、首筋からは生温かい液体が

シャツの内側へとゆっくり伝い落ちてくるのが分かって、

最高に気味が悪い。


「……着替えてこよう……」


地面から立ち上がり、城へと戻る途中の細い道で、どこからか

牧場に向かおうと走ってきたガウラと、ちょうど鉢合わせになった。


俺の惨状を見たガウラは、目を輝かせて無邪気に声をかけてくる。


「あっボス! あいつらと遊んでくれたのか! ありがとな!」


「お、ガウラ、あいつらに歓迎は手加減しろって言っておいてくれ。

この格好じゃ仕事にならん」


俺がベタつく顔を手の甲で何度も拭いながらため息をつくと、

ガウラはふさふさの大きな尻尾をブンブンと力強く振り回した。


「わかった! じゃあな, ボス!」


彼女はそのまま、嵐のように放牧場の方へと走り去っていく。

勢いよく跳ねる彼女の足元から、また小さな土へんがこちらのズボンに

飛んできた。


遠ざかるその後ろ姿を見送りながら、俺は手のひらで濡れそぼった

顔のヨダレを乱暴に拭った。


「……ほんとにわかったのか、あいつ」

評価やブックマークをしてくださった方、本当にありがとうございます!


皆さんの応援のおかげでとても励みになりましす。これからもがんばります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ