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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第八章 戦略物資はテリヤキバーガー! ジャンクフードが世界をつなぐ

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第七十四話 見たい奴には見せればいい

親書に記された関税優遇の文言を何度も確認し、

俺は一つ短く息を吐いた。これで隣国への進出に関する

最低限の土台は、法的な面も含めてガッチリと固まったことになる。


「使節団としての役目は、これで全て果たされた。

見事な手腕だ、八起殿、そしてゼフェル殿」


辺境伯が満足そうに、長机の上の重厚な羊皮紙を丁寧な手つきで

巻き直していく。これだけの破格の条件を引き出したのだ、

彼としても本国への最高の手土産になるだろう。


俺は前に傾けていた上体を、椅子の背に預けることなく

ゆっくりと戻した。


「会談が無事に終わって何よりだ。こっちは何も隠すつもりはねえ。

城下町の製造ギルドでも厨房でも、好きな所を好きなだけ

視察していってくれ」


俺がそう言ってあっさりと許可を出すと、使節団の役人たちが

驚いたように顔を見合わせた。技術やインフラの裏側、

ましてや国家の物流を担う拠点を、他国の役人にそのまま見せるなど、

この世界の常識からすれば普通はあり得ない暴挙だからな。


「いいのか? 我が国の職人が、その技術を子細に模倣する

可能性もあるのだぞ。これほど高度な魔導車両の構造を明かすのは、

いささか無警戒が過ぎるのではないか」


辺境伯の当然の懸念に対し、俺は静かに首を横に振った。


「構わねえさ。見たい奴には見せればいい。むしろ改善案が

あればいつでも言ってくれ。現場を動かす人間が多ければ多いほど、

より良い知恵が現場に集まるもんだ」


「あの大量の車両は、一流の職人が付きっ切りで作った代物じゃねえ。

生活に苦労していた各地の民たちが、俺の渡した図面と

規格の通りに部品を作り、仕事のなかった連中の手で

一気に組み上げたものだ。


図面を真似したところで、その現地雇用を回すシステムや、

現場のノウハウまでは一朝一夕で真似できるものじゃない。


むしろ、隣国の別の視点が入ることで、物流車両の耐久性が

上がったり、部品の量産の効率がさらに高まるアイデアが出るなら、

こっちとしても大歓迎で儲けものだ。


それと、だ。国境を越えて書類のやり取りやら、連絡に時間を

かけるのはもったいねえ」


俺は懐から木製の双方向通信機をもう一台取り出し、長机の上を

滑らせて辺境伯の前に差し出した。


「無線機、一台渡しておくわ」


辺境伯はその小さな木箱を、まるで壊れ物を扱うような慎重な

手つきで持ち上げた。その隣では、魔術担当らしき役人が、

驚愕の眼差しで木箱を凝視している。


「……これを、私に直接託すというのか? これは、遠距離の

通信を可能にする、魔王国の極めて重要な通信端末ではないのか?」


「端末を一つ渡したところで、中の術式や製造の技術までは盗めねえよ。

国境の街にできる新しい拠点と、こっちの配送拠点を繋ぐ、

緊急の直通回線だ。現場で何かトラブルが起きた時、

すぐに直接話せた方が、お互いに仕事が楽だろ」


辺境伯は手の中の木箱をじっと見つめた後、深く納得したように

頷いて懐へ仕舞い込んだ。これで、レオンハルト領と魔王城との

物理的な距離は、通信によって一気に縮まる。


「案内はルナリアとゼフェルに任せる。気が済むまでじっくりと

見ていってくれ」


俺がそう言って控えていた二人に視線を送ると、使節団の役人たちは

早くも中庭に並ぶあの規格化された車両群へと、抑えきれない

好奇の意識を向けていた。

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