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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第一章 湯船で召喚!? 壺ハメおっさん魔王(仮)――気付いたら国を救ってた

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第七話 ギガント、ヒーローとなる。

軍部との激しい「審議会」と、これに続く『(キョ)ジャガ』の

実食会に予想以上の時間を取られてしまった。

そのため、本格的な開墾は翌日に持ち越されることになった。


翌朝。


魔王軍の過激派を束ねるガルム将軍と軍の幹部たちは、

「一年以内に食糧難を改善せよ」という納期を八起に突きつけた。

そして、朝靄の中を前線へと引き上げていった。


嵐が去った後の城門前は、昨日までとは違う別の熱気に包まれていた。


「……なんだ、ありゃ。保育園の遠足か?」


八起が鉛筆を指で回しながら、呆れたように呟いた。

待機させておいたギガントの周囲を、

城下町から集まってきた大勢の子供たちが取り囲んでいたのだ。


大人たちが「死の行軍」と恐れ戦いた禍々しいトラクター。

だが、純粋無垢な子供たちの価値観は違った。


無数に並んだ回転刃、巨大なキャタピラ、漏れ出す魔力の光。

そのすべてが、彼らにはたまらなく「かっこいい」ものに見えていた。


「すげー! このトゲトゲ、武器なの?

ギガント様、僕たちを守ってくれるの?」


「 おじさん、これ空飛ぶの!?」


恐怖の象徴だった兵器の成れの果ては、今や子供たちの憧れの的だ。


八起は、彼らの細い腕や汚れきった頬を見た。

彼らがかつてのテオやリナと同じ、

行き場のない路地裏の子供であることを察した。


「おい、ガキども。そこに突っ立ってると、

ギガントの駆動音で耳がイカれるぞ。

……それより、お前ら。メシ、食いたいか?」


「メシ」という単語が出た瞬間、子供たちの喧騒がピタリと止まった。

八起はしゃがみ込み、一人の少年の目を見て言った。


「今日からここで仕事がある。そこら中に自生してる

(キョ)ジャガ』を、芽を傷つけないように丁寧に集めてこい。

種芋にする」


「……報酬は、腹いっぱいの蒸し芋と、魔王城の寝床だ。

今日からお前ら、俺が雇う。さっさと城に行って、

シオリさんやゼフェルさんに準備してもらえ。今日から住み込みだ」


子供たちから驚きと歓喜の混ざったどよめきが上がる。


八起は背後で、大きな尻尾を振るガウラに振り返った。


「ガウラ、走れるか。城に戻ってテオとリナを連れてこい。

あいつらならこの子たちの顔もわかるだろ。

それから、ゼフェルさんとシオリさんに、

子供たちの部屋と服の用意を頼むと伝えてくれ。現場は今から動かすぞ」


「わふっ! 任せとけ、ボス!

すべては美味い『(キョ)ジャガ』を腹いっぱい食うためだ!」


人狼の血を引くガウラは、誇らしげに尻尾をブンブンと振った。

四つん這いに近い猛スピードで、城へと駆け出していく。


それから数日間、荒野には活気と怒号が響き渡った。


日中はギガントが大地を耕す。

テオとリナの指導のもと、城に住み込み始めた子供たちが、

土まみれになって『(キョ)ジャガ』を植えていく。


「ギュオォォォォン!!」


八起が跨るギガントは、まさに絶好調だった。

コンクリートのように硬かった大地が、

まるでバターを削るかのように粉砕されていく。

それが美しい畝へと姿を変えていった。


その光景を見守っていたゼフェルが、ふと足を止めた。

掘り返されたばかりの土を手に取る。


「……八起殿、見てください。この土、しっとりと潤っています。

ただ耕しただけでは、これほど生命力に満ちた色には

ならないはずですが」


八起はギガントを一時停止させ、その土をまじまじと見つめた。

ひび割れていた土壌が、なぜか養分をたっぷり含んだ土に変わっている。


「……後で調べてみるか。何でも屋の『ニコイチ改造』が、

変な化学反応でも起こしてんのかもな」


夕暮れ時。


すべての植え付けが完了した広大な農地を見渡した。

ルナリアが作業着の汚れを払いながら呟く。


「……賑やかになったわね、おじさん」


「現場は活気があるのが一番だ。

静かすぎる職場は、大抵ろくなことにならねぇからな」


土だらけになって笑い合う子供たち。

シオリが作った新しい服を、誇らしげに見せ合う彼らの姿に、

八起は満足げに鼻を鳴らした。


その日の夜。

八起は一人、ガラクタ部屋で待機状態のギガントの装甲に触れていた。


触れた瞬間に頭に流れ込む「能力」の情報。

改造時に個々のパーツを確認した時にはなかった「未知の挙動」を、

鑑定の力で深層まで読み取っていく。


(複数パーツの干渉によるイレギュラー:

浮遊床板の魔力循環と、武具ブレードの魔力粉砕が同期。

対象の分子構造を活性化させ、地脈の魔力を強制抽出・固定する――)


「……なるほどな。そういうことか」


浮遊させるための板と、斬り刻むための刃。


別々の能力だったガラクタを強引に繋ぎ合わせた。

そこに八起の規格外の魔力を流し込んだ。

その結果、偶然にも『大地を活性化させる』という新機能が、

生まれてしまったらしい。


「耕すと同時に、勝手に地中の魔力を肥料に変えてブチまけてたわけだ。

何でも屋の『ニコイチ改造』が、とんでもねぇ副産物を

生み出しやがったな」


意図せぬ幸運だが、これなら一年と言わず、

もっと早く結果が出るかもしれない。


八起は満足げに笑い、ギガントの装甲をポンと叩いた。

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