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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第八章 戦略物資はテリヤキバーガー! ジャンクフードが世界をつなぐ

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第六十七話 平等と公平

レオンハルト辺境伯の真剣な眼差しを受け止めながら、

俺は応接室の椅子に深く腰掛け、腕を組んだ。


人間の国が、俺たちの動かしている事業に乗り込んでくる。

あぶれた人間への内職の割り振りに、部品の調達、車両の組み立て。

確かに隣国の領民や冒険者まで巻き込めば、

全体の規模はさらにデカくなる。


だが、国が絡むとなれば、地球にいた頃に多種多様な最前線で

嫌というほど見てきた、不条理な上下関係や仕組みの歪みが

頭をよぎる。


「……参加には反対しません。国境を超えて、全体の経済を

底上げするってんなら、俺たちも大いに協力します」


俺はゆっくりと腕を解き、長机の上に両手を置いた。


「ただし、一つだけ条件があります。――『平等と公平』。

これだけは、絶対にわきまえてください。でなければ、

この商売は必ず不正の温床になっちまう」


レオンハルト辺境伯が、怪訝そうに眉をひそめた。


「平等、と……公平、か。それは、同じ意味ではないのか?

我が国の領民にも、魔王国の民と同じ対価を同じように

支払うということでは……」


「いや、違うんだよ」


俺は手元の書き付けに目を落とした。


長年の経験から得た感覚的なものはあるが、それをこの世界の、

しかも大貴族の男に対してどう説明すればいいのか。

学のない何でも屋のオヤジの語彙力じゃ、どうにも上手い言葉に

落とし込めねえ。


俺は隣に座るゼフェルへと、スッと視線を向けた。


「ゼフェル。俺の言いたいこと、お前の言葉でこの人に

説明してやってくれ」


「――ハッ。八起殿の、その深遠なる大義……確かに我が身へ

と届きました」


ゼフェルは即座に居住まいを正し、その美しい顔に冷徹なまでの

理知を(たた)えて、レオンハルト辺境伯を見据えた。


彼の涼やかな声が、静かに応接室へ響き渡る。


「ベルガー辺境伯。我が主、八起殿が仰せの『平等』とは、

国や種族の垣根なく、誰もがこの事業の門戸を叩き、

同じ規則のもとで働く機会を得られる権利のこと。

つまり、貴国から部品を買い取る際も、

我が国の民と全く同じ基準の検品を行い、等しく扱うということです」


辺境伯は何も言わず、ゼフェルの言葉に耳を傾けている。


「これより多くの人間が関わる以上、大貴族の権力や

身分の高低によって、その買い取りの基準を捻じ曲げることは断じて

許されません。どれほどの有力者の持ち込みであっても、

等しく同じ検品を行い、不合格のものは容赦なく撥ねる。

これが八起殿の掲げる『平等』でございます」


辺境伯の隣で、ガルードが息を呑み、静かに身を乗り出した。


「対して『公平』とは、個々の置かれた状況や、

出された成果に応じて適正な対価を配分すること。

例えば、怪我で外に出られぬ者が家で行う内職と、

危険な最前線で部品を運ぶ作業員を、ただ『平等』という

名目で同じ賃金にすればどうなるか。現場の不満は爆発し、

やがて不正や手抜きの温床となりましょう」


ゼフェルの淀みのない解説に、レオンハルト辺境伯の瞳が

驚愕に大きく見開かれた。


「働く者の安全を確保する護衛、汗を流して組み立てる職人、

そして家を離れられぬ困窮者。それぞれの負うリスクと、

差し出す成果に見合った『正しい公平』をもって報いる。

ただ弱さを憐れんで一律の施しを与えるような、

甘い慈善ではないのです。現場の誰もが納得し、

腐らずに自立の道を歩むため、

この仕組みだけは絶対に従っていただきます」


軍師の凛とした言葉の裏にある、

あらゆる最前線をくぐり抜けてきた俺の感覚。


それが完全に翻訳され、

人間の国の大貴族の胸へと真っ直ぐに突き刺さった。

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