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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第七章 異世界バーガーはじめました、目指すは全国展開からの世界制覇!

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第六十一話 大きいお友達

テオとの話を終えて大食堂へ戻ると、男たちの熱気は最高潮に

達していた。

ガルードの連れてきた有力商人たちのほとんどが、提示した

流通システムと再建計画に賛同の意を示している。

だが、皿の上が空になり、炭酸水の樽が軽くなった頃、

一人の老商人が眉間に深い皺を寄せて口を開いた。


「八起殿、農作物の増産計画は分かった。だが、肝心の食肉や卵、

生乳の仕入れはどうする? 店が増えれば、今の調達量では

確実に底を突きますぞ」


「……」


「商人組合や護衛ギルドとは別に、狩猟に特化したギルドか、

あるいは家畜を育てる畜産ギルドの設立を視野に入れるべき

ではないですか?」


その言葉を皮切りに、食堂内は供給体制への不安を口にする

議論へと流れていった。

確かに、店が倍々に増えていけば、肉や乳製品の安定供給に

不安が残るのは事実だ。


「――分かった。その件はひとまず、俺の方で預からせてもらう。

供給が追いつかなくなる前に対策を打つさ」


俺がそう告げたことで、大食堂での試食懇談会は終了の運びと

なった。

商人たちがガルードに連れられて帰路についた後、俺は一人で

腕を組み、静まり返った食堂の椅子に深く腰掛ける。

天然資源の乱獲は、今後の持続的な発展を考えれば、可能な限り

避けたいところだ。

だが、そもそもこの大城壁の外に広がる世界の生態系がまったく

分かっていない。


凝り固まった思考をほぐすため、外の空気でも吸おうと魔王城の

裏手にある広場へと足を向けた。

抜けるような青空の下、大きく深呼吸をしたその時だ。

遠くの荒野の地平線から、何かがこちらに向かって猛スピードで

突進してくるのが見えた。

白いモフ……犬のような生き物だ。


「あん? なんだ、ありゃ……」


目を細めて凝視するが、どうにも視界の遠近感がおかしい。

近づいてくるにつれて、その輪郭が尋常ではないサイズへと

膨れ上がっていく。

それは、見上げるほどの巨体を持った白い魔獣だった。

まともに激突されればひとたまりもないと、さすがの俺も

冷や汗を流して身構えた、その瞬間。


「待て! おすわりっ!」


聞き覚えのある、やけに通る声が響き渡った。


ズズズゥゥゥッ!


凄まじい地響きを立て、強烈な土煙を巻き上げながら、その

巨大な白い生物は目の前でピタリと急停止した。

底冷えするような巨体が大人しく前足を揃え、巨大な尻尾を

ぶんぶんと振りながら、地面にドスンとおすわりをする。

風圧で作業着が激しくなびく中、土煙の向こうから現れたのは、

尻尾をちぎれんばかりに振っているガウラだった。


「ボス! へへっ、新しい友達になったぞ!」


満面の笑みで胸を張っている。

いやいや、友達に対して「おすわり」という命令は使わねえ

だろう。


「おい、ガウラ。お前、そいつをどうやって大人しくさせた?」


「え? だって、いつもボスがあたしにやってるみたいに

『おすわり!』って言ったら、こいつ、すんごいビクッとして

座ったんだぞ! なんとなく何考えてるかも分かるし!」


俺は思わず、自分のこめかみを押さえた。

日頃から叩き込んできた「おすわり」や「おあずけ」の威力が、

まさかこんな形で野生のイヌ科に伝染するとは夢にも思わなかった。


「……まあ、いい。話がなんとなく分かるってのは本当か?」


「本当だぞ!」


巨大な白い魔獣を見上げる。

その時、先ほど大食堂で商人たちと交わした仕入れの難題が

(ひらめ)いた。

野生に生きる者であれば、この外の世界の生態系や、食用になる

大型動物の生息地について、何か手がかりを掴んでいない

だろうか。


「ガウラ。ちょっとこいつに、この辺りで肉や乳がよく獲れる

デカい生き物の群れがいないか、聞いてみてくれねえか?」


事情を話すと、ガウラは犬のような耳を立てて、力強く自分の

胸を叩いた。


「わかった! ボス、任せておけ!」


そのまま、おすわりしていた白い魔獣の背中へと身軽に飛び乗り、

その分厚い白毛を両手で掴む。


「よし、案内しろ! 突撃だーっ!」


ガウラは天を仰いで「ワオォォゥンッ!」と、荒野の彼方まで

響き渡るような見事な遠吠えを一つ上げた。

再び凄まじい地響きを残し、ガウラを乗せた白い巨体は、

あっという間に荒野の彼方へと爆走していってしまった。


「え?わかったの……」


残された俺は、ただ立ち上る土煙を見送ることしかできなかったが、

その胸中には、新たなインフラの突破口が見え始めていた。

評価いただきました!本当にありがとうございます。執筆しててこんな嬉しいことってないですね。

まだまだ物語は続きます。今後もよろしくお願いします。

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