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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第六章 「ハラが減っては戦にならぬ、ハラが膨れりゃ戦はできぬ」

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第四十八話 男のロマン2号!

店舗の建設や宿場町での開店準備は、ゼフェルたち配下とガルードの

ベルモンド商会にすべて丸投げすることにした。あいつらなら、

八起が細かく口を挟むよりも手際よく完璧なインフラを整えてくれるはずだ。


大人たちが忙しく走り回る中、八起は自室にこもっていた。

サボっているわけじゃない。どうしても必要な物の製作に

入ることにしたのだ。


「通信と自動車だ! これなくして生きるのはつらい……!」


地球の文明に浸かりきった五十男にとって、スマホも車もない生活は、

不便を通り越して涙が出るレベルだ。今後、宿場町の店舗と魔王城で

密に連絡を取り合い、大量の食材を迅速にピストン輸送するためにも、

この二つは絶対に欠かせないインフラだった。


「まずは、材料探しだな」


八起は腕をまくり上げ、自室という名の「元宝物庫」の山積みにされた

ガラクタの奥深くへと足を踏み入れた。埃を払いながら怪しい武具や

調度品をひっくり返していると、この世界に身一つ、裸で召喚された

あの時が不意に思い出されて、なんだか無性に懐かしい気分になる。


あの時は本当にどうなることかと思ったが、何でも屋の経験が

あればどこでも生きていけるものだ。それにしても、前魔王が集めた

コレクションは、見れば見るほど正気じゃないラインナップだ。


呪いのこもっていそうな鈍色の鉱石や、用途不明の禍々しい術式が

刻まれた金属板、奇妙な魔獣の骨。


「ホント、この世界で何に使うんだよ、これ……」


と思わず一人で笑ってしまうようなガラクタばかり。だが、地球の技術と

何でも屋の応用力を持つ八起にとっては、これらは宝の山以外の何物でも

なかった。前魔王の狂った収集癖のおかげで、欲しいものを

作り出すことができるのだ。


「よし、まずは双方向通信機から片付けるか」


八起は魔力を帯びた特殊な一対の金属板と、振動を伝えやすい

不思議な魔獣の膜を組み合わせた。仕組みは至ってシンプルだ。

この構造なら規格外の魔力なんて必要ない。


ほんの少しの魔力を金属板に流し込むだけで、魔力を乗せた空気振動が

効率よく発生するよう設計した。これによって音声を遠くへ飛ばし、

もう一方の金属板でその振動を受信して音に戻す。


地球でいうところの、魔力式トランシーバーだ。これさえあれば、

城と店でのリアルタイムな情報共有が可能になる。


「さぁて……そして本日の目玉は、じゃじゃぁあん!」


八起はガラクタの最奥から、まばゆい輝きを放つ巨大な結晶体を

引っ張り出した。以前、ギガント改が仕留めたドラゴンの魔核だ。

こいつを動力源として、俺は新たなマシーンの製作に没頭した。


ベースにするのは、アイアンウッドの床板。流す魔力で浮力や吸着力を

発生させるあの超素材だ。これにギガント改の駆動システムを応用し、

ドラゴンの魔核によって動く、荷台付き自走車を組み上げた。


その名も、呼称「軽トラ」。


地球の全職人が愛してやまない、最強の作業車だ。流石にタイヤではなく

アイアンウッドの浮力で動くが、見た目はどこからどう見ても、あの

無骨で愛らしい軽トラック。


これがあれば、手押し台車とは比べ物にならない量の食材や専用の魔術

樽を、一瞬で宿場町まで運べるようになる。移動が劇的に楽になること

は間違いなしだ。


「よし……! 動いた! 完璧だ!」


試運転で軽トラが静かに浮上した、八起は嬉しさのあまり、

作業着のまま「よっしゃあ!」と、小躍りしてその場で

ステップを踏んで喜んだ。


「おじさん、夕食の時間…………って、何やってるのよ」


タイミング悪く扉が開いた。そこに立っていたのは、

呼びに来たルナリアだった。俺は片足を上げ、両手を広げた

奇妙なポーズのまま硬直した。

ルナリアは、白髪交じりの五十男が怪しげな塊の前で

はしゃいでいる姿を、この世の終わりでも見るような白い目で凝視した。


「あ、いや、ルナリア、これはだな……」


バタン。


言い訳をする前に、冷徹な速度で扉を閉められた。


「待て! 違うんだルナリア! 皆が忙しくしてる中、俺一人でふざけて

遊んでるわけじゃないんだ!」


閉まった扉に向かって叫んだが、返事はない。きっと今頃、「あのおじさん、

またガラクタ部屋で変な踊りをしてるわ……」と呆れ果てているに違い

ない。まぁいい。誤解は明日解けばいい。


この通信機と、男のロマン2号である「軽トラ」の圧倒的な便利さを

見せつければ、全員のひっくり返る顔が見られる。


「ククク……お披露目は明日だな……!」


八起は不敵に笑い、完成した軽トラの荷台をポンと叩いた。


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