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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第五章 おっさん達の小競り合い――最後に勝つのは腹の虫

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第三十八話 おまえかぁぁ!

隣国の国境の町から、命からがらの強行軍。


いくつもの過酷な荒野を歩き越え、

八起たちはついに、見慣れた魔王城の大城壁へと戻ってきた。


「ああ……なんとか、無事にたどり着けたな」


八起は深く重いため息を漏らした。

五十歳の体にはいささか刺激が強すぎる徒歩での旅路だ。


宿場町の手前で長旅を共にした高級商人の商隊と別れ、

互いの健闘を称え合いながら、八起たちは魔王城の重厚な正門をくぐった。


「――あらぁ? おじ様の魔力を感じますねぇ〜」


城の広場でジャガイモの仕分けをしていたシオリが、

その鋭い感知能力で八起たちの帰還に気づいた。


「ルナリア様、ゼフェル様!おじ様が戻りましたよ〜!」


シオリはおっとりとした声ながらも、大急ぎで城の廊下を駆け抜け、

奥の執務室にいた側近の二人を呼びに走った。


「おじさん!? 本当に無事なの!?」


「八起殿! ついに壮大なインフラ戦略からご帰還されたか!」


部屋を飛び出してきたルナリアとゼフェルは、

砂埃にまみれた八起の姿を見て、大きく安堵の息を吐く。


しかし、再会の挨拶もそこそこに、ガウラのお腹が限界を迎えていた。


グゥゥと激しい地鳴りのような音が響き、一同はひとまず食堂へ移動し、

現状と今後の対応を思案する『食堂会議』を開くことにした。


そこには、しびれを切らしていたガルム将軍も深刻な顔で同席した。


「さて、皆が揃ったところで、早速だが国境の町での報告がある」


八起はお茶を一口すすり、切り出した。


「まず一つ目。日本から召喚された鈴木コウタロウ……

つまり勇者一行が、すでにこの魔王国の間近まで来ている。

その場でフライドポテトを全員に無料提供して、

他国の人々の胃袋は完全に掴まえた。

当面はこれで誤魔化せるはずだ」


八起の言葉に、ゼフェルが誇らしげに頷く。


「さすがは八起殿!敵の最高戦力を無傷で無力化するとは!」


「問題は二つ目だ。途中の宿場町、あそこにフライドポテトを売る

『店舗』を出したい。

あそこは近くの迷宮のおかげで冒険者や商人の往来が絶えない。

確実に外貨が稼げる」


「宿場町へ出店するの……?」


ルナリアが首を傾げた瞬間、ゼフェルが不敵に微笑み、

懐から一枚の羊皮紙を広げた。


「フフ、すでに八起殿の手紙からその『真意』を読み取り、

具体的な出店計画書を作成してあります!」


ゼフェルは、保護している孤児の年長者を店舗運営の中核とし、

魔改造圧搾機を使った『純正黄金油』の現地供給体制など、

極めて具体的で綿密な計画を披露した。


その淀みのない計画を聞くうちに、

隣で腕を組み、沈黙を保っていたガルム将軍の目が見開かれていく。


(……待て。他国を侵略し、血を流さずとも、

このフライドポテトの流通と宿場町の商業インフラさえ握れば……

魔王国の食糧難と財政難は、完全に改善へと至るのではないか!?)


将軍の脳裏に、かつてない平和的な国再建の道筋が、

明確な驚きと共に理解へと至った瞬間だった。


しかし、話がまとまったその時。


バァァァン!!と食堂の扉が開き、

テオとリナの兄妹が、顔を真っ白にして飛び込んできた。


「お、おじさん! 大変だよ!!

荒野の畑に……っ、ものすごく大きなドラゴンが降ってきたのっ!」


「何だとっ!?」


一同に衝撃が走る。


「急ぐぞ!!」


八起の叫び声と共に、全員が食堂を飛び出し、

荒野の畑へと大急ぎで駆けつけた。


畑に到着すると、そこにはすでに緊迫した光景が広がっていた。


しかし、魔王城で保護されていた子供たちの年長者たちが、

冷静に幼い子供たちを安全な場所へと避難誘導しており、

幸いにも子供たちは全員無事であった。


「フハハハ! 間に合ったか、間抜けども!」


上空を見上げれば、巨大なドラゴンの頭上に、

豪奢な外套をなびかせた大臣バジールが立っていた。


本来、誇り高き竜族が他者に従うはずがない。


どんな方法かは不明だが、

ドラゴンはその濁った瞳で、完全に大臣に操られていた。


「この高貴なる魔王国を芋臭い国へと貶める売国奴どもめ……!

今日が貴様らの命日よ!」


操られたドラゴンの咆哮が、荒野を激しく揺らす。


バジール大臣からの、明確な宣戦布告であった。

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