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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第四章 ファンタジー世界を舐めてたおっさん――ドラゴンに続き勇者現る!? 肝冷えすぎてソッコー帰る!

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第三十一話 勇者あらわる。

「魔族かっ!?」


ガウラが放った地響きのような怒気に応じるように、

コウタロウの背後にいた重厚な全身鎧の女騎士が、

素早く剣を抜いて戦闘態勢に入った。


その瞬間、大行列を作っていた他国の人々から悲鳴が上がり、

市場は一気に一触即発の戦場へと変貌する。


冷や汗を流しながら、コウタロウを囲む

若い冒険者一行を凝視した。


黒髪の少年コウタロウ。彼を護るように剣を構える女騎士。

後ろで杖を握りしめる魔法使いっぽい女の子。

そして、祈るように聖印を掲げる聖職者っぽい女の子。


地球のゲームで見たような、絵に描いたような

バランスの良い勇者パーティー(多分)が、そこには揃っていた。


マズい。ここで戦闘になれば、せっかく作った移動式屋台も、

フライドポテトビジネスの未来も、すべてが台無しになる。


「ガウラ、待てっ! おすわりっ!!」


八起は、無自覚な魔力(気合)を込めて、

踏みとどまらせる。


「ひゃうん……っ!?」


ガウラの全身から立ち上っていた凶悪な毒気が、

一瞬で綺麗に形を無くした。


正真正銘の狼から一転、お尻を地面にぴったりとつけた彼女は、

耳をペタンと寝かせて涙目で俺を見上げてくる。


「うぅ……ボス、急に大声を出すな。

でも、あいつは絶対に危険な奴だわふ……」


「いいから、大人しくしてろ。……ふぅ。

うちの駄犬が、とんだ無礼を働きましてすみません」


八起は作業着の襟を正し、まずは怯えている周囲の客たちに向かって

深く頭を下げた。


「並ばれている皆さんも、大変申し訳ございませんでした。

決して怪しい者ではありませんので、どうかご安心を」


職人としてのクレーム対応能力をフル稼働させ、場を落ち着かせる。

そのまま、驚いた顔でこちらを見ている黒髪の少年へ向き直る。


「コウタロウさん……と言いましたか。驚かせてしまってすまない。

見ての通り、ただの露天商だ。すみませんが、

お仲間の剣を収めてくれませんか?」


「あ、あはは……。うん、みんな、武器を下ろして。

このおじさんからは、敵意も魔力も全然感じられないよ」


コウタロウが苦笑しながら手を振ると、女騎士たちは

不承不承といった様子で剣を鞘へと収めた。

どうやら少年がこのパーティーのリーダーに違いない。


「お詫びと言ってはなんですが、これ、フライドポテトをサービスしますので。

皆さんで食べてみてください」


八起はカリッと揚げたポテトを、舟形の経木皿に山盛りにした。

それをいくつも、コウタロウたち一行へと手渡していく。


「わあ、美味しそう……! 本当に僕の世界にあるポテトの匂いだ」


「コウタロウ、毒は入っていないだろうな?」


女騎士が警戒しながらも、香ばしい岩塩の匂いに鼻をピクつかせる。

コウタロウは気にせず一本つまみ、口へと放り込んだ。


「サクサクで、中はホクホクだ……! おじさん、これ本当に最高だよ!」


「それなら良かった。さあ、そこのお嬢さん方もどうぞ。

これを持って、ひとまず場所を譲ってもらえると助かります」


長年の営業スマイルを浮かべ、沢山のフライドポテトを持たせて、

まずは勇者一行を列から引き離すことに成功した。

彼らが何者であれ、今は商売を優先させねばならない。


八起は再び、行列を作っている市場の客たちへ声を張り上げた。


「皆さん! お騒がせしたお詫びに、今日はこのフライドポテトを

『全員無料』で提供します! どうぞ、いくらでも食べていってください!」


無料、という言葉が響いた瞬間、市場の人々から

地鳴りのような歓喜が沸き起こった。


「おい、本当にタダなのか!?」


「めちゃくちゃ美味そうだぞ!」


「どうぞ今後も、うちのフライドポテトをご贔屓に!」


無料配布の太っ腹な対応に、行列はさらに膨れ上がり、

国境の市場はポテトを求める人々で埋め尽くされていく。


ひとまずの危機を脱し、八起は遠くで美味そうにポテトを食べる

コウタロウを盗み見た。


(勇者パーティーに地球人の少年……。これは、ただの遠征じゃ済まなくなりそうだ……)


おじさんの異世界お仕事生活に、新たな激動の予感が漂い始めていた。

(勇者パーティーに地球人の少年……。これは、ただの遠征じゃ済まなくなりそうだ……)


おじさんの異世界お仕事生活に、新たな激動の予感が漂い始めていた。

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