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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第三章 現代知識はチート級! 決戦の場は策謀で――おっさん策士は旨み産む

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第二十五話 マヨネーズ量産と初出荷!

「よーし、これでボトル詰めも完了だな。シオリ、そっちの箱詰めはどうだ?」


「はいぃっ! 八起様の特製マヨネーズ、一本たりとも傷つけぬよう、

頑丈な麻布を敷いて完璧に梱包いたしましたぁ!」


魔王城の地下調理場。

そこには、あの『忌まわしい壺』から無限に湧き出る特製の酢と、


子供たちが搾った黄金油、手配した濃厚な卵が八起の魔力で攪拌され、

数千本ものマヨネーズが整然と並んでいた。


「あとは、これをどうやって売るかだが……」


八起が耳の鉛筆をくるりと回し、今後の流通ルートについて考え込んでいた、

まさにその時だった。


「失礼いたします、八起殿。ゼフェル様。

お約束の品、揃えてまいりました」


調理場の重い鉄扉が静かに開く。

衣服の乱れを整え、洗練された所作で一礼したのは、


大陸指折りの大商会を率いる高級商人だった。

かつて魔王城の広間で開いた大試食会が大成功で幕を閉じてから、


しばらくの時が流れた。

あの時、八起が本格的な商談の条件として商人たちに課した、三つの素材。


『赤い地獄の実(唐辛子)』

『鼻がもげるわさび』、

そして『魚卵の塩漬け(たらこ)』。


すでに唐辛子はクリアしていたが、残る二つの成果を携えて、

ついに約束の男が八起の前に戻ってきたのだ。


「おう、待ってた。あんたなら必ず持ってくると信じてたよ」


「お言葉、恐悦至極に存じます。ではまず、北の寒冷な清流の村より

買い付けました、これが『鼻がもげる根』にございます」


商人が差し出したのは、独特のツンとした香りを放つ、みずみずしい緑の根。


「そしてこちらが、南の沿岸地域より我が商会の総力を挙げて極秘裏に運ばせた、

『魚卵の塩漬け』でございます」


高級商人が合図をすると、供回りの者が氷魔法で冷やされた小さな木樽を

恭しく差し出した。


蓋を開けると中には、薄い皮に包まれた淡いピンク色を帯びた大粒の魚卵の束が

ぎっしりと並んでいる。

地球でいう、まさに高級な「たらこ」そのものだった。


「よし、これで条件はすべて揃ったな。商売人、お前、最高に運がいいぞ。

ちょうど、これの相棒が完成したとこだ。

……シオリ、奥の竈で特大の『(キョ)ジャガ』を蒸かしてくれ」


「はいぃっ! 喜んでぇ!」


八起は不敵に笑うと、おもむろにマヨネーズのバリエーション作りに着手した。

巨ジャガが蒸し上がる時間を利用し、持ち前の職人魂で


4種類のソースを手際よく仕込んでいく。

まずは、死神唐辛子から抽出しておいた真っ赤な『唐辛子オイル』を


マヨネーズへ落とし、好みの辛さに微調整した旨辛の「唐辛子マヨ」。

次に、たらこの皮を破り、中身をマヨネーズへ贅沢に混ぜ合わせた、


濃厚な磯の香りが漂う「たらこマヨ」。

さらに、そのたらこマヨへ先ほどの唐辛子オイルを絶妙な比率で加え、


ピリッとした刺激を引き出した「唐辛子を混ぜたメンタイ風マヨ」。

最後は、緑の根――山葵をその場でおろし、爽快な香りと共に


マヨネーズへと素早く調合した「わさびマヨ」。

調理台の上へ綺麗に4つの小皿が並んだまさにその時、


見事なタイミングで極上の香りが立ち込めた。


「八起様、あつあつの『(キョ)ジャガ』、蒸し上がりましたぁ!」


シオリがホクホクと湯気を立てる巨ジャガを運び込み、八起がそれを

つややかな厚切りに切り分けた。


「ほら、食ってみろ。この蒸したての巨ジャガに、

4種のマヨソースをたっぷりつけてな」


八起に促され、商人は礼儀正しい態度を崩さぬまま、黄金色に輝く熱々の巨ジャガに

まずは「たらこマヨ」をつけて口へ運んだ。


「な、なんじゃこれはぁぁぁっ……!?

現地では保存食以外の用途がない安値の魚卵が、


マヨネーズと巨ジャガの圧倒的な包容力で、極上の旨味へと昇華している!」


驚愕する商人は、すぐさま2皿目の「唐辛子を混ぜたメンタイ風マヨ」へ

巨ジャガを伸ばす。


「ふおっ!? たらこの旨味の後に、ピリッとした小気味よい刺激が

追いかけてくる! 味が引き締まって、箸が止まらない!」


さらに、赤みがかった「唐辛子マヨ」を貪るように口へ放り込む。


「辛い、しかしコク深い! 食べるほどに食欲が内側から刺激されますぞ!」


最後に、緑がかった「わさびマヨ」を恐る恐る口に含むと、

大商会の主はカッと目を見開いた。


「ツンと鼻を抜けるこの爽快な辛み……!

マヨネーズの油分と合わさることで、驚くほど上品な味わいへと変化している!

八起殿! これは、これほどまでの味の波状の至福は、

私の商人人生でも経験がありません!」


上品な大商会の主が、衣服の乱れも忘れてハフハフと巨ジャガを貪り、

咀嚼して震えた。


「これが条件を満たした『魔王印の4大マヨソース』だ。

どうだ、商売人。これなら売れるか?」


「売れる、どころではありません!

王侯貴族が欲しがる世紀の大発明です!

八起殿、どうかこのマヨネーズの独占販売権を、我が商会にお譲りください!」


商人はその場に深く平伏し、必死の形相で懇願してきた。


「いいだろう。ただし、試食会の時に言った通り、売り上げの七割は

魔王国の復興資金として城に納めてもらう。

あと、このマヨを詰めるためのガラス瓶の工房を、

この城の城下町に大急ぎで作るのが条件だ」


「な、七割……! くっ、ですが、ガラスの量産インフラまで

手に入るなら……! 分かりました、その条件、呑みましょう!」


大商会の主は震えながらも、莫大な富の匂いに抗えず、

がっちりと八起と握手を交わしたのだった。


こうして、八起の無自覚な内政無双により、

魔王国初の輸出品『魔王印のマヨネーズ』の初出荷が、

歴史的な調味料ビジネスとしてついに動き出す。

魔王国の経済再生は、もはや誰にも止められない速度で加速していくのだった。

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