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【本編完結】50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十二章 世界は因果なものよのぉ

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第百六十六話 お前が魔王?

謁見の間に着くと、

奥の玉座には見知らぬ男が足組みをして太々しく座っていた。


俺とセシリアは男の顔がわかる距離まで足を進める。


「聖法国王……」


どうにか聞き取れる程の声で、セシリアが呟く。


「誰か知らないが、そこはあんたの席ではないと思うがね」


大方の想像は付いていたが、俺はわからないフリを続けた。


「お前こそ、頭を垂れてひれ伏せ。世界の主に不遜だぞ」


男は顎を突き出し、尊大に言い放つ。


「不遜? 世界の主? 大きく出過ぎじゃないのか?

何もうまくは、いってないだろ?」


俺が現実を突きつけると、明らかに男の表情に不快が走る。


「他世界の中年。お前はなぜ生きている。

生きているならなぜ計画の邪魔になる。

シオリはいるのだろ。出てきなさい」


男が空間に向けて高飛車に声を放つと、

音もなくシオリは俺たちの背後に現れた。


「シオリよ、久しいな。

なぜその男を生かしている。そいつを殺せ!」


男の命令に、俺とセシリアの全身に緊張が走った――。


「あなたはぁ、どなたですかぁ?」


首を少し傾げながらの、いつものシオリに、

俺たちの張り詰めた気が一気に抜けた。


「おいおいおい、忘れちまったのか!?

確かに見た目は違うがわかるだろ?

偉大な魔王を包むこの魔力が!」


さらに首をかしげるシオリ。


「いいえぇ、あなたはぁ魔王様ではないですよぉ。

おじ様がぁ魔王様ですぅ」


シオリは男を煽るかのように俺に擦り寄った。


その徹底した態度に、玉座の男の顔が怒りで引きつる。


「クッ、クックックッ、どうやったかしらねぇが!

本当に目障りなおっさんだ!」


城に立ち込めたあの不快な魔力が、

立ち上がる玉座の男に集まりだして渦を巻く。


「サンッ!」


セシリアが声を張ると、

白い毛玉が猛烈な勢いで駆け込んできて、

一瞬で玉座まで距離を詰めた。


「シャット!」


サンに飛び付いたセシリアが鋭く詠唱すると、

渦巻いていた不快な魔力は霧散する。


身を翻したサンの影から現れたのは、

何が起きたのか理解できずに呆然と立ち尽くす男の姿だった。


「何をした!? なぜ消える?」


「大した偉大さだな、何されたかわからないのか?」


俺はスーツの力を一気に解放させ、

足を前に踏み出して男の腹部に拳を深く突き入れた。


「ごふっ……」


強烈な一撃に、

男が苦悶の声を漏らした。

前のめりに落ちてくるその顔に、つづけて拳を叩き込む。


みしりと鈍い音が響き、上空へ跳ね上がる男の体は、

そのまま玉座に向けて不様に倒れ込んだ。


「ふ、ふざけるなぁ!!

この俺様に拳だとぉ! 偉大な魔王だぞ!!」


鼻血を流しながら、男は狂ったように絶叫する。


「殴られたのは初めてか?

魔法を出せずに鼻血を出した気分はどうだ?」


「野蛮な中年がっ! 消し炭になって思い知れっ!!」


男は逆上して再び魔力を練り上げようとする。


「シャット!」


俺と玉座の男の間を、

サンとセシリアが疾風のごとく駆け抜けた。


「……。何故出ない!? なにしやがった!!」


「まだ気づかないのか、魔法は無効化されてるんだよ。

いくら唱えても発動しないぞ」


俺はハッタリをカマしながら、

自分の頬を向けて、そこを拳でトントンと叩いて見せる。


これ以上ないほど怒りに自分を見失った男は、

拳を固めて俺の顔に突き出してきた。


『ぺチンッ』


「おいおい、偉大な魔王様は、

おかしな魔法が使えないと並以下か?」


「な、貴様……っ!」


震えた男の拳が、

思い通りにならない子供のように闇雲に振り回される。


俺はその無様な拳を数発受け止めたところで、

これまでの怒りを込めた、渾身の一発を腹部に返した。


「ごはっ……」


臓腑を貫く重い衝撃に、

男の意識は強制的に切り離された。

白目を剥いた男は、

そのまま力なく前のめりに石の床へと沈んでいった。

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