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【本編完結】50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十二章 世界は因果なものよのぉ

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第百六十五話 新しい世界の幕開け

先頭車両は魔力の唸りを大きく響かせながら

ゆっくり前へ前へと進み始める。


観衆は手を振る人や、車列と並び併走する人、

それぞれが世界の発展に歓喜していた。


車列が木々の影に消えるまで人々は見送り続けるのだった。


マイクを握り直した俺は、大群衆の歓声の合間を縫うようにして、

最後の言葉を響かせる。


「人と物が自由に移動できる仕組み、

正式名称は『縦列魔導大車団じゅうれつまどうだいしゃだん

少し呼びにくいかとは思いますが、

これからはみなさんの生活に大きく関わって来ることでしょう。

呼びやすい名称で親しんでいただけたら幸いです」


俺は最後を締めくくると拍手のうねりに包まれた。


地鳴りのような歓声が響き渡る中、演壇から降りてきた俺を、

ゼフェルが誇らしげな表情で出迎えてくれる。


「お疲れ様でした八起殿。

素晴らしい演説に魔王国の威光も響き渡ることでしょう」


式典は終了となったが祭りの熱気は冷める事なく続いている。


俺は貴賓席へと移動すると各国の代表と言葉を交わした。


「初めてお会い致しますシーバルト国王陛下。

ご挨拶が遅れまして大変失礼しました」


俺が手を差し出すと、

国王は破顔して俺の手をがっしりと握り締めてきた。


「ああ、八起魔王陛下。こうして直接お会いできる日を、

心から楽しみにしておりました!

あのテリヤキバーガーの感動から、

第一次物流事業における改革に至るまで、

ただただ感嘆の至りでございました。

そこで此度、このような世界の変革にまで

参加させていただけることは、

誠に光栄の極みに存じます」


「おや、シーバルト国王陛下。

そんなに暑苦しく詰め寄ったら八起殿が困惑しますよ」


横から軽快な声が響き、

振り返るとコレットとアンバーが式典用の華やかな装いで登場した。


「コレットさん、アンバーさん。

その節はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」


いきさつはどうであれ、失礼な振る舞いを取ってしまったことに対して、

俺は頭を下げて謝罪した。


すると、コレットは悪びれもせずに手を振って笑った。


「あれは、いいんだよ。理由はわかったからね。

それより、四つの国が集まったんだから

未来の話をしたほうがいいんじゃないかい?」


コレットの言うことはもっともだ。


これだけの国家の顔ぶれが一度に揃うことなど、

今後そう何度もあることではない。


これからの大量輸送幹線の運用や、

陸路で張り巡らせる物流ネットワークの段取りについて、

ここでしっかりと話し合っておくのは自然の流れである。


俺たちは会場を離れ、

魔王城の応接室に臨時の会談の場を設けることにした。


城に到着すると、ルナリアやゼフェルの手際によって、

速やかに体裁が整えられた。


四カ国の首脳が卓を囲み、

これからの多国間物流に関する重要な会談が始まろうとした。


――まさにその時だった。


『おうおう、俺に逆らう馬鹿どもが

雁首揃えやがって今度はなんの悪巧みだ。ん?』


突然、聞き覚えのある不遜で不気味な声が、

城内に激しく木霊した。


声と共に、

部屋の隅々から不快で澱んだ魔力がじわじわと広がっていく。


(うっ……気持ち悪い……吐き気が……)


この澱んだ気配に対して目眩がするほどの凄まじい悪寒が体を襲う。


部屋にいる全員が顔を青ざめさせ、意識を失いかけていた。


ガシャッガシャッガシャッ!


重厚な金属音と数人の激しい足音が、

扉を蹴破るようにして駆け込んできた。

セシリアとノエルだ。


「シャット!」


セシリアの声が響き、部屋に満ちた魔力を一瞬で掻き消した。


「聖なる障壁!」


ノエルが祈るその姿から清らかな光が放たれていく。



「皆様方、ご無事ですか!?」


セシリアが剣を構え、一同を庇うようにして前に立つ。


「この部屋に結界を張りました。もう安心です」


ノエルが息を切らせながら告げた。


応接室の四方を光の壁がガッチリと囲み、

不快な気配を完全に遮断する。


しかし、その結界の向こう側の虚空から、

あの男の声が嘲笑うように再び響き渡った。


『小賢しい勇者のオマケが……玉座で待っている。

決着にしようではないか』


その言葉を最後に、不気味な声の気配は消えた。


「二人とも助かった。ありがとう。

ノエルは、ここの人たちを頼んでいいか?」


「はいっ」


ノエルが力強く頷き、首脳たちの防衛を引き受けた。


「セシリア、俺と一緒に玉座まで来てくれ。

ようやくラスボスのお出ましのようだ。

これ以上おかしな事が起こらないように望み通り決着を付ける」


「はい! お供いたします」


セシリアは迷いのない鋭い目で俺を見つめ、

剣の柄を強く握り締めた。


長かった見えない因縁、仲間たちへの屈辱、

悪意の塊に対峙する、最初で最後の機会と胸が告げていた。


俺はアーマースーツに魔力を一気に流し込むと、

セシリアと共に、決戦場である玉座の間へと向かって、

力強く一歩を踏み出すのだった。

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