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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十二章 世界は因果なものよのぉ

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第百五十五話 魔王城って……

城に着いた俺は、

城下町で起きた襲撃の一件をすぐにゼフェルとルナリアに報告した。


不穏な空気の中、護衛ギルドの手によって

ガッチリと連行されてきた暴漢どもの身柄は、

速やかに城の最地下に設けられた頑丈な牢獄へと

収監されることになった。


「やはりこういう施設って、ちゃんとあるんだな」


ゼフェルの案内に従って石造りの薄暗い階段を下りた俺は、

初めて目にする本物の鉄格子の牢獄と、

不気味な器具がずらりと並ぶ拷問室の光景を前にして、

思わず驚愕の声を漏らした。


さすがはこれまでの歴史で恐れられてきた魔王城と言うべきか、

壁のフックや作業台の上には、

呆れかえるほどに各種の生々しい拷問器具が

隙間なく揃っている。


「はい。ですが、これらの器具は過去に

一度も使われた事はありません。

前魔王は、刃物や鞭など使わずとも、

相手の精神を直接操作することに長けておりましたから……」


ゼフェルの顔が、

自身の記憶を書き換えられていた苦痛を思い出したかのように、

小さく不快そうにゆがむ。

物理的な痛みを伴う拷問よりも、

遥かに悪質な支配がここで行われていたのだと容易に察せられた。


「すまん、ゼフェル。続きは嫌でも想像がつく。

……忌まわしい記憶に触れるような役回りを押し付けて悪いが、

捕まえたあの3人の尋問を頼んでもいいか?」


「承知致しました。

我らが、恩人たる八起殿を害そうとした不届き者どもです。

必ずや裏で糸を引いている者を、

白日の下に晒してみせましょう」


現場のトップとして、彼に前魔王の残滓に繋がる汚れ仕事を

任せてしまうのは申し訳ない限りだ。

俺はあとの実務をゼフェルに任せ、

メルたちの作業場へ向かうことにした。


だが、重い鉄扉を抜けて大廊下を歩いている途中で、

金属鎧の擦れ合う激しい音と共に、

血相を変えて突進してきたセシリアに呼び止められた。


「八起殿! ――誠に申し訳ございませんでしたっ!!」


全身をガチガチに緊張させたセシリアは、

床の石畳に額がつきそうなほど深々と頭を下げる。


「ど、どうしたんだセシリア、そんなに改まって」


「治安が最も安定しているはずのこの城下町で、

よもや八起殿のお命が白昼堂々狙われるなど……ッ!

街の治安維持の責任者として、

ただただ自責の念に駆られる次第です!」


セシリアは拳を強く握りしめ、

本気で悔しそうに声を震わせている。


生来の実直さと、

自分の預かる現場で最重要人物に危険が及んだことへの責任感が、

彼女を追いつめているようだ。


「おいおい、そんなに自分を責めるなよ。

案内役をしていた商人の演技が妙にリアルだったから、

俺だって完全に油断してたんだ。誰も予想なんてできないさ」


「いいえ!今後はこのような失態は二度と許されません!

護衛ギルドとして万全の態勢を整え、

二四時間、常に八起殿に護衛を密着させていただきます!」


「いやいや、それだけは本当に勘弁してくれ」


俺は慌てて両手を振って全力で拒否した。


「俺が自由に動けなくなるし、仰々しい護衛を引き連れていたら

街の人たちも一大事かと余計な心配をしてしまう。

気持ちだけありがたく受け取っておくよ。

ギルドとしては俺個人を守るより、

命がけで街道を走る商人たちや、

今後の大規模輸送を守る防衛に力を割いてくれ」


セシリアは根が生真面目すぎるのだ。


俺としては、彼女にはもっと肩の力を抜いて、

普段のように魔獣『サン』と中庭の芝生の上で

無邪気に戯れているくらいが丁度いいと思っている。


「あ、そうだ。

今ゼフェルが地下の牢で襲撃者たちの尋問を始めているところだ。

今後の参考として、一度立ち会って見てきな」


「は、はい!畏まりました、

直ちに尋問室へ向かいます!」


セシリアはキリッとした凛々しい表情で一礼すると、

足早に地下への階段へと向かっていった。


俺は彼女の細い背中を見送りながら小さくため息を吐くと、

今度こそメルとキャベッツァの職人たちが

アタッチメント作りに励んでいる、

作業場に向けて歩き出すのだった。

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