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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百五十話 やるしかねぇかなぁ~

城に戻ると、中庭に大きな人だかりが出来ていた。


何事かと人混みを掻き分けて近づいてみると、

コウタロウの運転で順番に軽トラの試乗をしているところだった。


荷台や助手席に乗せて貰った者たちが、

一様に歓声を上げている。


「おかえり、八起殿。コウタロウ君も運転できるんだね。

これって誰でも運転出来るものなのかい?」


人だかりの中から現れたアンバーが、

興味津々といった様子で聞いてきた。


「ええ、操作方法と、

何が危険かさえしっかり覚えてもらえば簡単ですよ。

計画しているガイドウェイ輸送車の運転者も、

各国から広く募集しようと考えています」


「えっ? うちの国民からも募集してくれるって事かい?」


「そうです。国家間での共同運用ですからね。

当然、交代要員も必要になります。

一人での長時間の運転は危険ですから。

ただ、身元の怪しい人だけは勘弁してくださいね」


「わかっているよ。他国内で何かトラブルでも起こされれば、

国家信用の問題になるからね」


アンバーが真面目な顔で頷く。


「そこで、運転者には公務員として運行してもらいます」


「コウムイン?」


聞き慣れない単語に、アンバーが首を傾げた。


「わかりやすく言うと、

国が身分を保証して直接雇用する人材です。

賃金は運行に関わる各国で均等に出し合います」


「もうそこまで具体的に考えているんだね。

でも、各国の通貨がそれぞれ違うのはどうするんだい?」


「それは魔王国の商業ギルドが両替を担います。

その為の調整に、先程商人の元に行ってきました」


「じゃあ、それはお任せするね。

姉さんもその条件なら問題ないはずさ。……ところで……」


アンバーはそう言うと、

急に俺の耳元で声を小声にした。


「八起殿、アタシもあの軽トラが欲しいのだけど、

どうしても作れないのかい?」


「ははは、作れない事はないです。

ただ、どうしても心臓部に、

ドラゴン級の魔核が必要なので難しいんですよ」


「……そればっかりはねぇ。

もし、何かの機会があったらお願いできるかい?」


(ということは、

コレットの分と合わせて二台分の魔核が必要じゃねぇか!!)


俺は心の中で悲鳴を上げつつも、

職人の顔を崩さずに応じる。


「はっはっはっ、機会があればご連絡しますよ」


そんな話をしていると、

コレットが大きく手を振りながらこちらに向かってきた。


「アンバー、話はつきましたよ。急いで出発の準備をしなさい」


「え、もう帰られるんですか?」


「シーバルト王国まで直接行ってきます。

なので、八起殿、軽トラをお借りできるかしら?」


「えっ、今からですか?

俺は別の用事があるので同行できませんよ?」


「大丈夫! コウタロウちゃぁん」


コレットはこれでもかというくらいの黄色い声で、

試乗を終えたばかりのコウタロウを呼んだ。


「お願いがあるんだけどぉ、軽トラを運転してくれるぅ?」


「え? 運転ですか? いいですよ」


「今からシーバルトまで行くから準備してね」


コレットがパチンとウインクをすると、

コウタロウの顔から一瞬で血の気が引いたように見えた。


「コウタロウ、大丈夫か?

断ってもいいぞ、と言えない所が本当に申し訳ないんだが……」


「師匠、大丈夫です。

ノエルにも一緒に行ってくれるように頼みますから……」


笑顔を作ってはいるが、顔は完全に引きつっている。


「すまんな、頼んだぞ」


俺は同行できない代わりに、

辺境伯への一筆を書こうと執務室へと足を向けた。


すると、廊下の向こうからゼフェルが歩み寄ってくる。


「八起殿、こんな事になるのではないかと、

事前に内容を記した親書をしたためておきました」


本当にこの軍師は有能だ。


俺は受け取った親書をコウタロウに手渡した。


(これ……急に他国の女王を迎え入れることになるシーバルトの内政官は、本当に大変だろな……)


あたりまえだが、

普通の馬や徒歩の護衛では軽トラの速度に到底追いつけない。


そのため、ガウラに急遽道中の護衛をお願いすることにした。


ガウラを探しに行くと、

裏庭でワン達と仰向けになって戯れていた。


「ガウラぁ、仕事頼んでいいか?」


「ボス! どうしたんだ、なんかいつもと違うぞ?」


「ああ、悪いんだがシーバルトまでコレット達の護衛をして欲しいんだ」


「えぇー、あの人なんか怖いからヤダ」


「ワン達も一緒に行っていいから頼むよ。

小遣いもやるから、向こうの街で海のうまいもんでも食ってこい」


「わかった! 奮発してくれよ。あいつらと腹いっぱい食ってくるから!」


そう言うとガウラは尻尾をブンブンと振りながら、

白いモフモフ達の下へと走っていった。


中庭に戻ると、

俺とコウタロウは軽トラの連結器にワゴン・キャリアを取り付け、

エントランスの前に車を回した。


少しすると、

旅の準備を整えたコレットとアンバーがワゴンへと乗り込む。


軽トラの運転席にはコウタロウ、助手席にはノエルが収まった。


周囲を固める護衛にはガウラ、

そしてワンを筆頭にした白いモフモフ達が綺麗にそろった。


「事故と、それから聖法国の動きには十分気をつけてな」


俺は動き出した軽トラを見つめ、

全員が無事に戻ってくることを心から願いながら、

静かに見送るのだった。

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