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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百四十四話 困った時の風呂頼み

俺はルナリアに付き添われるようにして大食堂で夕食を済ませた後、

そのまま大浴場へと向かった。


やはり、溜まりに溜まった疲れを芯から洗い流すには、

湯船にどっぷりと浸かるのが何よりも一番だ。


ざっと体を洗い、なみなみと湯が張られた湯船に肩まで浸かる。

じんわりと熱が染み渡る感覚に、思わず長ため息が漏れた。


心地よい湯気に包まれていると、

ふと地球にいた頃のお気に入りのアイテムが頭をよぎる。


「入浴剤ねえかなぁ。あのシュワシュワするやつ、

体を芯からほぐしてくれるんだよな……」


炭酸ガスの泡を懐かしんでいると、

脱衣所の方からパタパタと小気味よい足音が響き、

湯気の中に小さな影が現れた。


「あ、八起さん帰ってたんですね」


「お、テオ。なんか久しぶりだな。少し背が伸びたか?」


そこにいたのは、農園の管理を任せている元孤児の少年、

テオだった。


「そんなわけないですよ。

久しぶりって、まだ遠征に出てから七日くらいですよ?」


「いやいや、年頃の男の子は少し見ないうちに

急に背が伸びてたりするものなんだぞ」


背の話は冗談だが、表情から幼さが消え、

なんとなく大人っぽさが出てきた気がする。


仕事を任せたことで責任が芽生え始めているのだろう。


俺は改めて首まで浸かると、

隣に並んだテオも同じように首まで湯に浸かり、

二人同時に息を吐き出した。


「「はぁぁぁ……」」


温かい湯に浸かりながら、俺とテオの声が綺麗に重なった。


「テオ。今のは、ちょっとおっさんくさいぞ?」


「おじさんなのは八起さんですよ!」


「……」


少し生意気がかってきたが、これも成長の証か。


飢えに怯えていたあの頃の雰囲気が消え、

普通の子供らしく口を利けるようになったのは喜ばしいことだ。


「そういえば、最近畑の方はうまくいってるか?」


「はい!新しい人たちも働きに来てくれて、

もう、お腹空かせる事なんてないくらい沢山収穫してます」


テオが誇らしげに胸を張る。


ギガント改を使った開墾の成果は、想像以上に出ているようだ。


「そうか。じゃあ、もう畑の開墾も落ち着いたし、

ギガントは無くても大丈夫そうだな」


「え!?……ギガントどうしちゃうんですか?……」


俺が今後の配置替えのつもりで言った言葉を、

テオは完全に勘違いしたらしい。


「ああ、勘違いするな。取り上げるわけじゃないからな。

新しい仕事に使うだけだ。もちろん、テオに手伝ってもらうぞ」


そう話すと先程までの悲壮感は綺麗に消え去り、

新しい仕事への期待感がその顔に現れた。


現金なやつだが、その素直さが頼もしい。


「今度は何を始めるんですか?」


「今度はな、土木工事だ」


「土木工事?」


「そうだ。ギガントを少し改造しないといけないが、

現場での操作はテオにやってもらいたいんだ」


「はい!やります」


テオは迷いのない良い返事をした。


やはり、腹が満たされ明日の生活に心配がなくなると、

人はみんな良い顔をするものだ。


「まだ、想像の段階で具体的には決まってないが、

今度の仕事は大掛かりだぞ。

南側の国から西側の国まで、一気に長い溝を掘るんだ」


「溝?」


「ああ。

その溝に、軽トラを大きくしたような乗り物を走らせる。

沢山のメガトランスポーターを引かせてな。大量輸送機関だ」


この国で育ち、外の世界を知らないテオには、

溝の中を巨大な車両が何台もの大きな荷車を引いて走る姿など

想像すらつかない事だろう。


自分が操作するギガントがどれほど壮大な仕事に関わるのかを考え、

彼は目を丸くしたまま湯船の中で完全に固まっていた。


「ははは、今はまだわからなくてもいい。

始める時にはみんなの前でちゃんと説明するからな」


俺はそう言って湯船から立ち上がると、ざっと上がり湯を浴びた。


「さてと、長湯もいいけど風呂上がりの牛乳だな!」


ゆくゆくは、風呂上がりにビエール国で作られた冷えた極上ビールだ。


それを楽しみに待つのも、大人の贅沢というものだ。


俺はテオと脱衣所に並び、地球の作法に則り腰に手を当てて、

白い牛乳を一気に飲み干すのであった。


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