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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百三十九話 黒幕は裏にいるから怖いんだ

「ジャコブさん、最後に聞いておきたいんだが、

今の聖法国は商人の君が見てどう思う?」


俺の問いかけに、ジャコブは力なく首を振る。

「……終わっています……

このまま月日が流れれば、いずれ廃退するでしょう」


その言葉を聞いた瞬間、ある事が脳裏に浮かぶ。

俺はこの流れをよく知っている。

前魔王によって魔王国が辿った、滅びの道筋そのものだ。


聖と魔、全く反対に位置するはずの二つの国が、

こうも同じような衰退の道を辿るものだろうか。

下を向き意気消沈するジャコブを背に、

俺は深い疑問を持ったまま尋問室を後にした。


レオンハルト辺境伯とゼフェルの待つ執務室に戻ると、

俺はジャコブから聞き出した話を、二人に包み隠さず話す。


「――という話でした。

どこまで信じていいかはわかりませんが、

嘘を話したようにも思えませんでした。

たしかに、思い当たる節があります。

私としてはジャコブに対して、

何かをしようとは考えておりませんので、

騒ぎを起こした処罰に関してはレオンハルト殿にお任せします。

それと、例の『タリスマン(聖宝)』についてですが、

これは魔王国で預からせて頂けないでしょうか?」


レオンハルト辺境伯は少し考えた後、

顎を引いて部下にタリスマンを持ってくるよう指示を出した。


「私も、あの『タリスマン(聖宝)』については、

どうしたものかと頭を悩ませていました。

これだけの力を秘めた危険な魔導具を、

聖法国がこのまま黙って見過ごすはずがないのではと、

そう危惧しております」


俺と辺境伯の懸念は、人々を預かる者として完全に一致している。

地方の小国とはいえこれだけの代物があれば、

それだけで不必要な争いの種になりかねない。


それまで沈黙していたゼフェルが、

俺たちの考えを代弁するように答えを口に出した。


「聖法国はかならず取り返しに来るでしょう。

下手をすれば『魔王に与して我が国の司祭を不当に拘束した上、

信仰の神器を奪い取った』などと、

因縁をつけてくることは明白です。

聖法国を純粋に信仰している周辺の民衆を巻き込み、

国に大混乱が起こる可能性は極めて高いと考えます」


ゼフェルの整然とした言葉に、

レオンハルト辺境伯は俺の顔をじっと見つめ、静かに口を開いた。


「一つお聞きしたい。八起殿はこの危険な魔導具を、

一体どうしようとお考えですか?」


「『タリスマン(聖宝)』の仕組みを詳しく調べた上で、

適切な対策を考えて、最終的には機能を無力化ですかね」


「魔王国では、そのような事が本当に出来ると?」


辺境伯の驚きを孕んだ視線を受け、

俺は少しだけ誇らしげに胸を張る。


「ええ。

うちには、とても優秀な魔導具技師(エンジニア)がいますからね」


「もしや、今回の洗脳を即座に解いた、

あの魔導具を製作された方ですか!?」


(方?……小生意気な小娘ですが……)


俺は魔力を根こそぎ吸い取られた、

あの恐ろしい仕打ちを思い出して身震いした。

今でも鮮明に蘇ってくる。


「そ、そうです。魔王国に『タリスマン(聖宝)』があるとなれば、

聖法国がシーバルト王国に直接絡んでくる事もないでしょう。

もし、難癖をつけられたとしても、

すべて魔王国のせいにでもしてくれればいいですから」


「しかし、それでは貴国に混乱が及ぶのでは……」


辺境伯が真剣に心配してくれる姿に、

俺は思わずハハハと笑い声を上げた。


「はっはっはっ、心配ありませんよ。

うちには聖法国の信者なんて一人もいません。

何しろ『魔』の国ですからね」


「……!」


レオンハルト辺境伯はハッと目を見開き、

今更ながら思い出したかのように深く納得した。

過去の魔王国ならいざ知らず、

今の魔王国に勇者を刺客で送り込んでくるような国だ、

そんな国を信仰する民などいるわけがない。


やがて部下の手によって厳重に保管されたタリスマンが届いた。

俺が直接触れてみる。

効果が脳内に直接浮かび上がってきた。


「なるほど、洗脳だけに特化の魔導具みたいだ。

詳しくはメルに見てもらわんとわからんな」


今の俺の能力だけでは、仕組みまではわからない。


ゼフェルが万が一の誤作動に備えて、時間停止のコンテナへと、

タリスマンを慎重に封印した。


これで今回の遠征における本来の目的は終了だ。

俺たちは辺境伯の治めるこの街を少し見て回ることにした。


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