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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百三十八話 押してダメなら引いてみよう

ゼフェルすら困惑する状況に、俺は一つ一つ話を整理することにした。


「司祭はなんと言ってたんだ、詳しく聞かせてくれ」


「はい、奴は聖法国王が勇者を召喚すると言い出した頃から

記憶が曖昧との事で、なぜ、人々を扇動して

魔王国の商隊の邪魔をしたのかわからないと言っていました。

しかも、元々奴は司祭ではなかったようです」


「は? 司祭じゃない奴が司祭を名乗ってたのか?」


「いいえ、少し違います。

元は聖法国の商人で、フランチャイズの噂を聞き

聖法国王に報告したところ、タリスマンを渡され、

そのまま司祭へと叙階されたそうです」


「んん……わからんなぁ、叙階ってそんな簡単に行われるものなのか?」


「いいえ、きちんとした手順に従って行われるものです」


「そうだよなぁ……レオンハルトさん、

俺もその司祭と話がしたいんだがいいかな?」


俺は辺境伯に許可を取ると、

フィッシュサンドを片手に尋問室に向かった。

薄暗い部屋の椅子には、

豪華な法衣を身に纏った男が怯えた様子で座っている。

俺は椅子を引き、机を挟んで男の前に腰掛けた。


「ジャコブさんだったかな、度々すまんね。

俺は七転八起、一応今の魔王ってことになってる」


「まっ……!!」


魔王の登場に、ジャコブの顔が一気に引きつる。


「ああ、悪いようにはしないから、敬語もいらないから普通にしてくれ。

とりあえず、腹減ってないか?

今度フランチャイズで出す新商品があるんだ、

毒なんか入ってないから、まずは、食ってみてくれ」


俺は二つのフィッシュサンドを机に置いた。

好きな方を選ばせてもう一つを俺はかじった。

ジャコブもそれを見て、恐る恐る手を伸ばすと、

奇妙なサンドを口に運んだ。


「味はどうだい? 感想を聞かせてくれ」


「……お、おいしいです、これが魔王国の食事……

なぜ、私はあんなことを……申し訳ない……」


ジャコブは涙をボロボロと流しながら、

夢中でフィッシュサンドを咀嚼する。


「別に責めようと思っている訳じゃないさ、

俺は美味い物食って大勢が喜んでくれればいいんだ。

聖法国が信仰で人々を幸せにしようとするなら、

俺は食で幸せにしたいだけだからさ」


「わかります……私も商人です。

現実を見てきたつもりです。聖法国は変わりました。

人々から笑顔は消え、聖王様の言葉以外関心を持たない。

私自身、欲望に身を任せる様になってしまいました……

今思えば、聖王様も別人の様になってしまわれた……」


「んん? 別人だと?」


(どこかで似た様な話があった気がするな……)


「はい、今の聖王様は自己顕示欲と欲望が表に現れています。

それに、咎めようとする臣下さえ居なくなってしまいました。

勇者様がたさえ出て行ってしまわれた……」


「ちょっと待ってくれ。コウタ……勇者は追放されたと言っていたぞ」


「え? 追放?」


ジャコブはきょとんとした顔で、食べる手を止めた。


「ああ、追放だ。王から『もうお前に用はない』と告げられたと

聞いている。

だが、君の話だと『出て行った』と聞こえたが、

そこはどうなんだ?」


「お触れには、勇者様たちが聖王様のお考えに恭順できず、

なすべき事に異を唱え、自ら国を出奔したと書かれていました。

それが、まさか追放だったとは……」


ジャコブは戸惑ったように視線を彷徨わせた。


「なるほど、国の上層部が情報を操作しているか、

あるいはそれすらも誰かの都合の良いように

書き換えられているか、だな」


聖法国のトップに起きている異変と、当事者たちの認識のズレ。

俺は背筋に冷たいものが走るのを覚えながら、

さらなる真実に近づくためにジャコブの言葉を待つのだった。

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