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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百二十九話 いい奴で良かったよ……

ドラゴンとの戦闘が終わってしばらくした頃、

魔王城から後続の部隊が到着した。

解体と運搬をするためにゼフェルが手配した、作業人員たちだ。


彼らが慣れた手つきで大きな道具を取り出し、

解体の段取りを始める中、

俺たちはドラゴンの魔核をすぐに持ち帰るため、

取り出す作業が終わるまで現場で一息入れることにした。


岩肌に腰を下ろし、俺はコウタロウに話しかけた。


「それにしても強すぎだろ、勇者ってやつは」


「そうですか? 実感ないなぁ……」


コウタロウは照れくさそうに頭を掻いた。

その気負いのない姿を見て、

俺は心の底からの本音を口にした。


「良かったよ、コウタロウがいい奴でさ。

魔王の討伐に本気で来られてたら、

俺なんてあっという間に退治されてたと思うぞ」


俺が苦笑いしながら言うと、

コウタロウは少し真面目な顔をして手元を止めた。


「それなんですけど、実は僕も考えたことあるんです。

もし、あのまま魔王を討伐してたら、

僕は今頃どうしてたんだろうって」


「そうだな……。もしそうなってたら、

今頃魔王国と聖法国で泥沼の戦争になってたかもしれんな。

他の近隣国ともこんな良い関係にはなれず、

世界中が貧困と飢えで荒みきっていたはずだ」


「そうですよね。今日のように、

みんなでドラゴンと戦って『楽しい』なんて思える日は、

絶対に有りえなかったですよね」


コウタロウがしみじみと頷く。


「ところで、戦っている時のお前、本当に楽しそうだったぞ。

俺なんてみんなの戦いっぷりに呆気にとられちまって、

強化スーツを着てるの忘れてたからな」


「最初はすごく緊張してたんですよ。

誰かが怪我をしたらどうしよう、とか。

でも、なんかあの大きな尻尾が目の前を掠めた時、

首筋がゾクゾクしたんです。

それでなんか、変なスイッチが入っちゃって。

あはははは」


「ちょっと、あの時の豹変ぶりには引いたわ。

現役の勇者の本性を見た気がしたよ」


俺がからかうように言うと、

コウタロウは顔を赤くして笑った。


俺は視線を少し離れた場所にいるメルへと移した。


「メルも、あの魔法はすごかったぞ。

流石は勇者一行に選ばれるだけのことはあるな」


いつもならこれ以上ないドヤ顔を決めるところだが、

メルは大きな魔女帽子を深くかぶり、顔を隠すようにして俯いた。

耳のあたりが微かに赤くなっている。

どうやら本気で照れているようだった。


「ガウラとワンもよくやった。あの動きは流石だ。

コウタロウと初めて会った時は一触即発の空気だったからな、

今じゃ完璧に連携が取れてて、いい感じだったぞ」


「あの時は敵だと思ったからな。ボス守るのに必死だったよ」


ワンに寄りかかったガウラがニシシと笑う。

あの日、宿場町で先走って威嚇した空気を思えば、

信じられないほどの変わりようだ。


「僕もガウラさんの殺気にゾクッと来て緊張しました」


コウタロウも当時のガウラを思い出して苦笑いする。


「詠唱中のノエルも、本当に神々しかったな」


(……途中からは、

何か黒いオーラみたいなものが混ざってた気がするがな……)


「なんにしても良かったよ。

今はこうやって、みんなで笑ってられるからな」


そこに、解体を行っていた魔王国の兵士の一人が、

丁寧に布に包まれた大きな結晶を抱えてやってきた。


「魔核が取り出せましたのでお持ちしました」


「おお、ありがとう。

……よし、これで、もう一台軽トラが作れるな」


俺がそう呟いた瞬間、隣にいたメルが勢いよく身を乗り出し、

普段の平坦な表情からは想像もつかないほど、

眩しい笑顔を見せた。


「師匠……私が……作る……。

それで……この前の貸し、無し……」


宿の場所を教え忘れて迷子にさせたあの『貸し』を、

ここで帳消しにしようというわけか。

遠慮のないところが実にメルらしい。


「おう、頼んだぞ、天才魔導技師!」


俺が笑って応じると、

メルは嬉しそうに何度も細かく頷いた。


裸一貫でこの世界に放り込まれ、

色々と慌ただしい日々が続いていたが、

こんな平和な時間がいつまでも続けばいい――。


夕暮れに染まる山並みを眺めながら、

俺は心からそう思うのだった。


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