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50歳の何でも屋、セカンドライフは魔王城~今度の依頼は国再建! 異世界バーガーで追放勇者を弟子にしました~  作者: おっさん5963
第十章 旅ゆけば農産国に酒の香り

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第百二十一話 ふっふっふっ、負けねぇぞ

俺は先ほど織り上がったばかりの伸縮布を抱え、

再びシオリの部屋を訪れた。


部屋に入ると、俺は出来上がった布が

魔力を通すことで伸縮する特性について説明する。

これを部分的に使うことで筋力を補う、

体全体を覆うスーツが作れないかと相談を持ちかけた。


大城壁の外での安全対策には、

絶大な能力を発揮すると思ったからだ。


「お安い御用ですぅ、体をぴったりと覆う

お召し物ですねぇ、おじ様がぁぁ、

お怪我をしないようにぃぃぃ、丁寧に最高のぉぉぉ、

お召し物をお作りいたしますぅぅぅぅ」


「……シオリ、鼻血……出ているが頼むぞ」


俺の言葉が聞こえているのかいないのか。

シオリはどこか熱に浮かされたような声を漏らしていた。


だが、シオリもプロの職人である。

いざ作業が始まるとその瞳は真剣そのものへと変わり、

一切の無駄がない超高速の裁縫技術が披露された。


伸縮布と通常の布を的確に、かつ強固に縫い合わせていく。

あっという間に、俺専用のインナー型ボディースーツが完成した。


「おじ様ぁ、試着してみてくださいぃ」


恍惚とした表情で少し息を荒くしたシオリに勧められ、

俺は早速その場で袖を通してみる。


「おお! やっぱりシオリの仕立てはすごいな、ぴったりだ」


イメージしていたよりも遥かに細身で伸縮性に富んでおり、

これなら上からいつも通りの作業着を問題なく着込める出来栄えだ。


シオリは先ほどよりもさらに息が荒くなり、

やはり鼻血も垂れていたが、職人のこだわりへの熱量だと思って

そっとしておくことにした。


「ありがとな、シオリ」


俺が率直にお礼を言うと、

彼女は少し顔を赤くして嬉しそうに微笑み返してくれた。


「でもぉ、まだ完成ではないですよぉ」


「え、まだなの?」


「ノエルちゃんにぃ、色々付与してもらって完成ですぅ」


シオリの魔糸で編まれたこの布は、

現段階でも防刃、防寒、防炎、衝撃拡散と、

現場作業に欲しい超高性能な機能が目白押しだ。


そこにさらに聖女ノエルのバフや付与が加わるとなると……。

なんだか、とんでもなくヤバいスーツが完成しそうな予感がする。


「シオリ、今のままでも筋力の補助は効くんだよな?」


「はいぃ、ご注文の能力は発揮できますよぉ」


「じゃあ、少し将軍と力試ししてみてくる」


「はぁい、頑張ってくださいねぇ」


俺は一旦シオリの部屋を出ると、

この夜遅い時間でも確実に体を動かしているであろう

ガルム将軍に会うため、城の訓練場へと向かった。


「いたいた、将軍、少しいいか?」


「どうしたんだ、八起殿。何用だ?」


案の定、訓練場で一人黙々とトレーニングに励んでいた

ガルム将軍を捕まえ、俺は単刀直入に力比べをお願いした。


「何、わしと力比べがしたいだと?

ガハハハ……。いい根性だ、受けて立とう!」


歴戦の老雄とはいえ、相手は百戦錬磨の人狼族の将軍だ。

俺はガルム将軍と正面からがっしりと組み合うと、

作業着の下のスーツに魔力を通わせた。


瞬間、布地が俺の魔力をギュンギュンと吸い上げ、

人工筋肉のように爆発的な反発力を生み出し始める。


「さあ、どうした八起殿! 威勢がいいのは口だけか?

はっはっはっ……くっ、ぬぬぬ……ぐぬぬぬ……くはっ!?」


普段なら俺などひとひねりにできる体格の将軍が、

突如として苦悶の表情に変えた。

どれだけ力を込めてもビクともしない俺の腕力に圧され、

将軍はついに耐えきれず、どさりと地に膝を付く。


その巨体は俺と同じ視線までガクリと落ちる。


「し、信じられん! なんだその力は!?

八起殿、まさかまた何かおかしな食物でも新しく開発したのか!?」


息を切らせて驚愕する将軍に、

俺はしてやったりと不敵に笑って見せた。


「ふっふっふっ、違うぞ将軍。新開発の魔導スーツだ。

力だけなら、将軍にだって勝てる。大成功だ」


俺は、大城壁の外での移動や作業の際、

自分の身を自分で守れるようにと思いついたスーツの仕組みを、

未だに信じられないといった顔で自分の腕を見つめている将軍に向けて、

職人らしく淡々と説明するのだった。

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